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旅の追憶 #1

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 Cuba / Habana 2000

 「アフリカの記憶 099」で World Cuicuit と "Buena Vista Social Club" について書いていて、この作品がレコーディングされたハバナのエグレム・スタジオ Egrem Studio のことを思い出した。そのエグレムを訪問した時のネガフィルムも出て来たので、スキャンしてデジタル・ファイル化してみた。"BVSC" のブックレットに掲載されている写真と比べて見たら、どれもそっくりの背景なので(同じスタジオだから当たり前だ)、なんとも懐かしい。

 2000年6月〜8月、ペレス・プラードとキューバ音楽の取材で、アメリカ、メキシコ、キューバを2ヶ月間旅行。ニューヨーク、マイアミ、メキシコシティー経由でハバナへ(NYC では、翌年崩壊する WTCビルの屋上に登り、絶景を眺めたことも忘れられない)。

 エグレム・スタジオを訪れたのは 7月27日(木)の午前。個人的興味から、ハウス・エンジニアにあれこれ質問したことを記憶している。

・ミキシング・コンソールは Amek の Mozart 40ch だった。

・MTR は Studer のアナログ 24ch(でも写真を見ると、メーターは 16ch分しかないな)。「マルチテープは高価なので、毎度使い回ししている。レコーディングの度に上書きしているので、過去の作品のマスターテープなんてないんだ」とのことだった。さすがに "BVSC" のマスターは、ニック・ゴールドが保存しているだろうが。

・エグレムでのレコーディングはワンマン・オペレーションだとのこと(アシスタントはいないということ)。ピアノのマイク・セッティングが興味深かった。

・スタジオ・フロアを歩くと床鳴りが大きい。体重を移動させると軋むほど。その点、レコーディングでは苦心したのではないだろうか。

 1997年の "BVSC" のレコーディングでは、「ライ・クーダーはサブ(副調整室)ではどこに座っていたの?」と訊ねると、「その椅子だよ」と教えてくれた。しばらくそこに座ってご満悦気分になったのだった。

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 この取材では、ライブをたくさん観て、著名な楽団をいくつも自らレコーディングさせていただき(録音は今でも全て保存しているが、某有名オーケストラを、体調崩し40度の高熱を我慢してレコーディングしたことが懐かしい)、多くの生き証人たちともお会いして、とても楽しい思いをした。今でも忘れられないのは、カチャーオ、モンゴ・サンタマリア、ジョニー・パチェーコ、アンセルモ・サカサスの息子、ヘネロソ・ヒメネス、などなど。ヘネロソ・ヒメネスのご自宅で聞いた話は爆笑ものだったし、モンゴ・サンタマリアの NYC のアパートでは彼の生演奏を聴かせていただいた(そのテープもまだ持っている)。モンゴさんと一緒に撮った写真も宝物だな。

 ハバナではキューバ共産党の音楽資料室(ICAIC)にも入らせていただいた。訪問の1ヶ月前にある資料の閲覧を申請していたのだが「見つからなかった」との回答。だが、私が入室して、わずか 30秒でその資料を見つけてしまった。これには一同唖然。まあ偶然なのだろうが、やっぱり自分には何かを見つけ出す嗅覚があるのだとも思う。


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 新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、ライブを観られない、旅行にも行けない今、まずできることは、アーカイブスの整理と、リモート取材/リモート発信だろうと考えている。実際、プロ/アマ問わず、その傾向が見られる(詳しくは後日書いてみたい)。

 そこで拙ブログでも、「アフリカの記憶 ー 追憶/追体験する旅」を起点として「アフリカの記憶」とはまた別に、個人アーカイブスの見直しを進めることにした。だが、ネガのスキャンを始められたものの、その一方で、膨大なプライベート音源をどう整理するかにまだ迷っている。あれこれ課題が山積したままで、時間がいくらあっても足りない。






by desertjazz | 2020-08-24 00:00 | 旅 - Abroad