ナイジェリアを離れロンドンに留学中だったフェラ・クティが、自身初めてのスタジオ録音に臨んだのは、1959年8月のこと。この時、Fela Ransome Kuti & His Highlife Rakers 名義で Melodisc に4曲録音。そのうちの2曲 "Fela's Special" と "Aicana" は、翌年60年の1月ないしは2月にSP盤として発売されたものの、その後リイシューされることがなく、長年激レア音源のままだった。なので、それがコンピレーション "Highlife On The Move" (Soundway, 2015) で初リイシューされ、ようやく聴けたのは、誰にとっても驚きだったに違いない。しかし、残る2曲 "Highlife Rakers Calypso No.1" と "Wa Ba Mi Jo Bosue" はSPでもリリースされておらず、正体不明のまま。まさに第一級の幻の録音だった。
ところが、何と Melodisc 録音のマスターテープが発掘され、4曲まとめた完全版が 10インチ(45回転)盤としてリリースされることに! 当初の予定では、今年4月の Record Store Day に発売するはずだったのだが、新型コロナウイルス感染のあおりを食らって、2度の延期。それがやっと、昨日 8月29日に発売に至ったのだった。
一方の "Wa Ba Mi Jo Bosue" はフェラのヴォーカルが聞けるナンバー。だが、’Wa Ba Mi Jo’ と ’Bosue’ というフレーズを繰り返すばかり(ホント、ほとんど 'Bosue' と呟いているだけだ)。曲調は単純で、曲の終わり方にも締まりがなく、習作のような趣だ(同様のことは他の3曲についても言えるのだが)。