アフリカの記憶 204

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 Nigeria / Niger Delta 2005

 ニジェール・デルタのクラ本村のディスコで豪快に踊る女性。この写真はこれまでにも幾度か披露した。


 ナイジェリアの旅で最高の収穫かつ最大の衝撃は、カラバリ・ミュージックを発見したことだったと思う(カラバリ/カラバールで見つけたこの音楽を、自分勝手に「カラバリ・ミュージック」と名付けた)。それはレゴスで Jazzhole を訪れたこと以上に重要だったとさえ言いうる。長い音楽生活で、これほどの体験は幾度もできるものではない。

 ニジェール・デルタ/リバー・ステイトにやって来てから程なくして、ここの反政府勢力にとって、ある独特なローカル・ミュージックが、一種のアンセムになっていることに気がついた。ナイジェリア南東部には、イボとイジョという民族が多数を占めるが、他にも多くの民族が暮らす。そのうちのひとつがカラバリ/カラバールの人々であり、彼らは石油利権を巡ってナイジェリア政府に対して激しい闘争を続けてきた。

 カラバリ・ミュージックは、エフェクトレスの線の細い澄んだ音色のエレキ・ギター、細かなビートをポリリズミックに刻む複数の民族パーカッション、それにヴォーカル&コーラスからなる、至ってシンプルなサウンドである。細かなパッセージが陶酔感を誘う、泥臭く呪術的な雰囲気が大きな魅力だ。歌詞内容は極めて政治的らしく、反政府ゲリラの頭目、アサリ・ドグボを讃える歌もあった。

 集会などで流れている音楽なのだから、カセット音源もあり売られているはず。そう推測して探し続けたところ、そろそろデルタ地方を離れるかという間際に、クラの場末でやっとカセットテープを2本だけ見つけることができた。けれども、相当数のカセットが作られていることは確実なので、どうにかしてもっと集めて来たかったというのが正直なところだ(YouTube で動画を探したが、見つけられたのはごく少数だったので、かなりマイナーな音楽なのだろうと思う)。

 ナイジェリア南東部と言えば、イボ人たちによる優雅なハイライフ・サウンドが有名で、著名なミュージシャンを多数輩出して来た。その一方で、ハイライフとはまるで対極な特徴の荒々しいカラバリの音楽が存在することに、ナイジェリアの広さを改めて思ったのだった。






by desertjazz | 2020-12-12 00:00 | 旅 - Abroad

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