Best Books 2020
大晦日。今年の私的ベストを選んでみた。
まずは本(基準は今年出版されたものではなく、今年自分が読んだもの)。これは10冊選ぶのに1分もかからず。
新型コロナの感染が拡大した春以降、「今年はインプットよりアウトプットの年」と決め、まずはアーカイブスの整理(フィルムや古い録音のデジタル化など)に取り掛かった。そうした作業を優先しようと思い、本はなるべく読まないようにしたため、今年読み通したのは延63冊と、例年に比べるとかなり少ない。
それらの中でダントツ1位は、マーロン・ジェイムズ『七つの殺人に関する簡潔な記録』(これは邦訳が昨年出版された小説)。2段800ページもあるのに、あまりに面白いものだから、2度繰り返して一気読みし、3周目に行きたいところをグッと我慢したほどだった。Twitter に連投しまくったものの、読書メモは書けなかったな。
2位はディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』。これは「読書メモ」で取り上げた通り。
今年の出版ではないが、ウラジーミル・アレクサンドロフ『かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた 二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯』と、ジョシュア・ハマー『アルカイダから古文書を守った図書館員』も非常に面白かった。図書館で借りて読んだこれら2冊、さっさと買って読むに値する作品だった。
以下は、個人的ベスト10(読み終えた順)
・オルハン・パムク『赤い髪の女』
・マーロン・ジェイムズ『七つの殺人に関する簡潔な記録』
・オルガ・トカルチュク『プラヴィエクとそのほかの時代』
・ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』(参照) ・ラニ・シン編『ハリー・スミスは語る 音楽/映画/人類学/魔術』
・千葉文夫+金子遊 編『ジャン・ルーシュ 映像人類学の越境者』(参照) ・ウラジーミル・アレクサンドロフ『かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた 二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯』
・ジョシュア・ハマー『アルカイダから古文書を守った図書館員』(参照) ・カエターノ・ヴェローゾ『熱帯の真実』
#
今年買った純然たる新録アルバムを数えてみたら、たったの 23枚。旧譜やリイシューを含めても 100枚以下だ。(昔は毎年 500枚以上買っていたのに、、、。)
ストリーミングでいくらでも聴ける時代になったので、ネット上を大量に流れる音源を次々チェックし(それも数分以下)、それで済ませることが多くなったからだろう。1曲通して聴くこと、じっくり聴くことが、ますます少なくなった。レコードの置き場所がなくなったことが買い控えにつながっており、本当に気になった作品や昔から好きなアーティストのレコードだけを選んでいる。
(それと、新型コロナが流行したのに、いや新型コロナのせいで?忙しいという不思議な1年でもあった。そして、社会の雰囲気に影響されて、自分も音楽を楽しめる心理状態になかったことも事実だろう。)
じっくり聴いたアルバムがこれだけ少ないのでは選びようがない? 聴いた作品数は少ないものの、それでも以下の3枚は圧巻だった。
・ Nihiloxica "Kaloli"
・ Siti Muharam "Romance Revolution"
・ Groupe RTD "The Dancing Devils od Djibouti"
(追記:コメント書きませんでしたが、どれも話題作だったの必要ないでしょう。)
Nihiloxica "Kaloli" と共に、今年最も多く聴いたのは Klo Pelgag "Norte-Dame-Des-Sept-Douleurs" だった。しかし、過去の作品にあったマジカルさが少し薄れた印象。それは Aya Nakamura や Adriana Calcanhotto の新作についても同じことが言え、彼女らの新作はベストのレベルではないと感じた(Adriana は新型コロナを受けて急ごしらえで制作したアルバムなので、そこは評価すべきだろう)。
その他、印象に残っているのは、Daara J Family、Chari Chari の新作。リイシューでは The The "See Without Being Seen"(17歳の頃の録音)、『刻まれた音楽とノイズ』(ミャンマーのレアSPのコンピ)、Ayalew Mesfin(CD3枚/LP5枚によるエチオピア時代のコンプリート?)、"La Locura de Machuca"(奇天烈なクンビア集)、Joni Mitchell "Archives Volume 1" なども興味深く聴いた。
#
#
#