■ホスィン・スラウイのレコード(5)
<パテ・マルコーニ 未詳録音>
スラウイの録音のいくつかは、"Anthologie de la Musique Arabe (1906-1960)" のディスコグラフィーには掲載されていない。これは、ディスコグラフィーのリストから漏れたSP(曲)が存在するからなのか、それともディスコグラフィーには誤った曲名が記載されているだけで実際には同じ録音なのか。オリジナルの SP盤を入手することによって、正解を知りたいところである。
まず “Ya Lalla” という曲が、ディスコグラフィーと符合しない。ウード、クラリネット、ドラムの3者が一体となった演奏が高いテンションを持続する録音で、女性歌手との歌い分けも印象的な曲である(”Ya Kahla” CPT7871 などの綴り違いかとも考えたが、聴き比べると明らかに別の曲である)。
その他、先に触れた ”Harrouda”(または ”Errada”)や “Tamra Ya Hilwa” なども、リストの中に見当たらない。何より、なされたと伝えられる 40年代初期の録音がごっそり抜けているように思われる。これは記載されている録音年月が誤っているからなのか、あるいは(考えにくいのだが)このリストは再発盤を中心とするものなのか??
今回はこのディスコグラフィーのデータに準じて彼の楽曲を整理してきたが、もっとデータを集めて検討し直す必要がありそうだ。何れにしても、彼の生涯の録音がディスコグラフィーに掲載されている 33曲を超えていたことは十分に考えられる。
Ahmed et Mohamed Ehabib Hachlef "Anthologie de la Musique Arabe (1906-1960)" (Centre Culturel Algérien / Publisud, Paris, 1993)
(ちなみにこの本、エジプトやレバノンやアルジェリアなどの数多くの音楽家について解説しており、Mohamed Abdel Wahab、Oum Kaltsoum、そして名前しか知らない/名前も知らない音楽家たちの長大な SP のリストは壮観である。)
(続く)
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ところで、明日 4/9(金)に何か記念コンサートが開催されるようだ。
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