■再びモロッコへ?
ここまで「大衆音楽シャアビの父」こと、ホスィン・スラウイについて書き連ねてきたが、これは数少ない資料や情報をパズルのように組合わせて、なんとか明らかにしようとした彼の姿。果たしてどこまでその実像に迫れたか、正直自信がない。それほどに、ホスィン・スラウイに関する情報が乏しく、かつ矛盾だらけなのだ。
自分はモロッコの音楽についてもそれほど詳しくないので、書いたことの中には間違いも散見されることだろう。それでも、ひとまず途中報告として、これまでに調べたことを整理しておくことにした。そして、自分がこの音楽家に興味を持っていることを明かしておくと、たまには何かご教示いただける機会もあるだろうとも考えた。
ホスィン・スラウイに関する基本データが少ないのと同様、世に流通しているレコードも本当に少ない。いや、ほとんど皆無と言ってもいいのではないだろうか。もちろん彼の録音作品は、サブスクや YouTube である程度聴くこともできる。だが、それらの多くの音質があまりに悪すぎるのだ。未知の録音もまだまだある。なので、彼のレコードを探し続けている。
とにかく、ホスィン・スラウイの音楽は面白い。なのに、知名度は低く、謎だらけ。そんな稀有で興味深い音楽家についてより知りたいし、彼のレコードをもっと聴きたい。そのためには、もう一度モロッコを旅することが有効なのかもしれない。今でも彼の音楽が好きだというモロッコ人は多いらいしいので、聞き取りしたり、レコードを探したりするために。
2012年の2度目のモロッコでは、フェズのレコード屋でスラウイについて聞き、マラケシュでは古道具屋を巡ってスラウイのレコードを探し歩いたのだった。彼の SP が出てくる可能性は極めて低いが、それでもルワイスのシングル盤などは、まだまだ大量に残っている気配なので、それらを買い集め聴きこむことにも意味があるだろう。
こんなことを綴っていると、いつかまたモロッコを旅してみたいと願い始めるのだった。近い未来に、その日は訪れるだろうか?
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その前に、ホスィン・スラウイについて知るためには、もうひとつ自分にできることがありそう。そのことについては、また近いうちに改めて。


(写真は、アラビア語表記のホスィン・スラウイの読み方を教えてくれた、レコード屋のオヤジさんとその店内。残念ながら、ここには彼のレコードはなかった。)
(続く)
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