徹底研究・ブッシュマンの音楽 13:カラハリの親指ピアノ(3)

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■ Music of Bushman - 13 : Thumb Piano (3) & Gantsi Craft ■


◆カラハリの親指ピアノ(番外編)〜ハンシー・クラフト

 ボツワナ共和国の西部の町ハンシー Ghanzi は、国の南東に位置する首都ハボローネとほぼ直線で繋がり、北東へ走ればマウン Maun とオカバンゴ・デルタにたどり着き、西に走れば隣国ナミビアまで抜けることができる。ここはまさに交通の要衝である。

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(ハンシーのメインストリート)

 最初のボツワナ旅行では、ハンシーでカラハリ・アームズ・ホテル Kalahari Arms Hotel という宿に一夜だけ泊まった。ハンシーはほとんど何もない町に見えるが、日本を出発前に読んだガイドブック Lonely Planet で、そのホテルのすぐ隣にハンシー・クラフト Gantsi Craft という施設があることを知った。そこで折角なので訪ねてみたのだが、建物の中にはブッシュマンの狩猟採集生活を紹介する展示があって、なかなか興味を惹かれるし、これからの旅の参考にもなる。またブッシュマンたちが手作りした品々を販売していて、それらの売り上げによって彼らを経済的に支援しているとのことだった。

*1)
 ハンシーの町名の綴りが Ghanzi なのに対して、ハンシー・クラフトの綴りは Gantsi と一致しない。ネットで調べると両者は一緒だと書かれていたが、町名は Ghanzi であり、その Ghanzi も属する区(district)の名称は Gantsi と異なっているのではないだろうか。

 このハンシー・クラフトでブッシュマンの親指ピアノを手に入れたことが、カンタくんとダウンゴさんに親指ピアノの演奏を聴かせてもらう幸運をもたらしたのだった。でもこの時は、これから先の旅のことを考えて、より多く買いたい衝動を抑えたのだった。結果として、カラハリ砂漠の深奥にいる間に「本物」の親指ピアノを譲り受けることができたので、これでよかったのだと思う。それより、売られていた親指ピアノの写真が1枚もないのはどうして?

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(カラハリ・アームズ・ホテル)

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 ここで入手したパンフレット "Bushmen Crafts From Gantsi District. Botswana" は今でも持っている。ブッシュマンたちの日用品や装飾品についてコンパクトにまとめられて、有益な冊子だ(全24ページ)。狩猟道具の解説も詳しいし、楽器もいくつか紹介している。その中で、親指ピアノについてちょっと面白いことが書かれていた。

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「彼らは長距離を歩く時にも弾く。親指ピアノは1時間に3〜4kmのペースで歩く助けとなる。」

 このような話は他では聞いたことがない。本当だろうか?


 以下は音楽から離れた余談を少々。
 
 ハンシー・クラフトではピアスや腰帯(腰巻?)も買った。ピアスは全部プレゼントしてしまったが、美しい腰帯は今でも部屋に飾っている。ひとつはダチョウの卵の殻を加工して作っているのだけれど、これが実に細やかな手作業で素晴らしい。ダチョウの卵の殻を小さな円に切り出し、その中央に穴を開けて紐を通して帯に仕上げている。

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(ダチョウの卵の殻のビーズ細工 Ostrich Eggshell Beadwork の解説)


 このようなブッシュマンたちの器用さ、これらに施されたデザインの世界観は、彼らの音楽と通じ合うものがあるのだろうか? また、必要なものは誰もが自ら作ってしまう、誰もがヒーリング・ダンスに加わり至上な音楽を生み出す一員をなす。そうしたことは誰もがアーティストと驚く混じりで語られるバリ島の人々への賛辞を思い出させる。

 市井の民と芸術との連関については、まだまだ考える余地がありそうだ。

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 ところで、ハボローネのホテルとハンシーのハンシー・クラフトで買ったデング(親指ピアノ)の値段がいくらだったか調べてみた。29.50プラの値札が2枚出てきたので、どちらもこの値段で売られていたのだと思う。当時のレートは1プラが約44円。なので、デング一つが 1300円ほどだったことになる。もっと安かった印象だったのだが、結構高い。いや、手をかけて作られているので、高いとは言えないだろうか?


 そのハンシー・クラフト、今どうなっているかと思い、そのことも調べてみた。ネット検索すると、2021年時点では活動を継続していた模様。ただし 1993年当時の場所からは少し移動している。

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(ネットで拾った写真。屋内の様子は昔とさほど変わっていない?)



(これまで2度訪れたボツワナは、もう一度旅しようと考え続けてきた。数年前からは、マウン、オカバンゴ、セントラル・カラハリ・ゲーム・リザーブ内のディセプション・ヴァレーを巡り、ツォオデロ・ヒルズの岩絵を見た後、ハンシー経由でナミビアへのナミブ砂漠へ、時間があればさらに南アのダーバンまで下って、そこのアーバン・ミュージックを取材する、というプランを立てて調べていた。もちろん、ハンシー・クラフトも再訪問したい。しかし、新型コロナの感染によって、そのプランも完全に棚上げになっている。)







by desertjazz | 2022-02-13 00:00 | 音 - Africa

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