サカキマンゴー『親指ピアノ道場! アフリカの小さな楽器でひまつぶし』(ヤマハミュージックメディア、2009)をじっくり再読。改めて読み直したのだが、実によくできている本だ。
親指ピアノの概説書としては最高の内容だし(付け加えるようなことは何もない)、親指ピアノを探す「旅行記」としても楽しめる(アフリカで楽器を探索する熱意はマイケル・ベアードと通じ合う)。タンザニアのフクウェ・ザウォセの音楽と出会って、サカキマンゴーという親指ピアノ奏者がいかにして生まれたかの歴史が語られるところも、特に印象深かった。また、タンザニア、コンゴ、ジンバブウェの親指ピアノ(リンバ、リケンベ、ンビラ)の教則本としても充実している。
思い出して、マンゴーさんの卒業論文『イリンバの音 -タンザニア・ゴゴ人の楽器の音色・演奏法・制作手順についての考察ー』(昔、マンゴーさんが下さったもの)も読み込んだ。『親指ピアノ道場!』はこれをベースにして書かれたものなのですね。サワリ音に結構こだわっている点が興味深い。
これらを読んで、今頃気がついたことがいくつかあった。自分はこれまで親指ピアノを「板型」と「箱型」の2種類に分けて解説してきたが、もう一種、「くり抜き型:厚めの本体をくり抜いて共鳴空間を確保する」(道場 P.078)もあるという。昔、コンゴで買ったリケンベ、よく見ると確かに「くり抜き型」だ。
ボツワナのブッシュマンの親指ピアノ「デングー」については、「右手の人差し指を頻繁に使う」(卒論 P.3)と書かれている。だが、そのような演奏は見た記憶がない。同じく右手人差し指を使うンビラの演奏法とも関係があるのだろうか。またひとつ探求テーマが生まれたかも。
大量に溜め込んだ音楽資料の整理にようやく取り掛かったところなのだが、池谷和信さんがカラハリの親指ピアノについて書いた文献や、直川礼緒さんによるタンザニアの取材記事、ザウォセ・ファミリーが結成したチビテ Chibite の日本公演の資料なども出てきた。ということは、自分はチビテのライブを観たことがあるのだ(しかし、全然記憶がない)。
#
#
#