Movie : Ethiopiques - Revolt of the Soul

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 9/9(土)、Peter Barakan’s Music Film Festival の1本、『エチオピーク 音楽探求の旅 Ethiopiques - Revolt of the Soul 』を観てきた。以下、本題からは少々脱線する私的雑感。

 フランス人プロデューサーのフランシス・ファルセト Francis Falceto が、如何にして Amha Records などの音源と出会い、それらをコンパイル/リイシューして、エチオピーク・シリーズを実現させたかというストーリーだろうと想像していたら(勿論それが映画の主題のひとつなのだが)、内戦や恋人の死などに翻弄された制作者や音楽家の人生も織り込まれていく。貴重な映像も多く、軍威発揚の歌をステージで歌うフィルムにはびっくり。

 全体的に分かりやすい作りの映画であり、まずはフランシス・ファルセトの個性(変人ぶり?)が伝わってくる。採算など度返しした情熱の傾けようで、これだけ熱心にならなければ(パートナーにも逃げられた)、エチオピークのようなプロジェクトは成功させられないのだろう。

 レコード発掘の熱さで彼を超えるのは AnalogAfrica のサミーくらいではないだろうか。サミーはこれまで会った中で最も情熱的なプロデューサーだった。フランシスにしても、サミーにしても、土地の利のある欧州人だからここまでのことができているのだとも思う。アフリカから遠く離れた日本人にはとても無理。その点、毎年のようにエチオピアに通われている川瀬慈さんには敬服する。

 上映後のその川瀬慈さんとピーター・バラカンさんのトークも超面白かった。Amha 以前にはエチオポップの録音はないだとか、レコード・プレスはインドで行ったという貴重な情報も。お二人とも人名含めて固有名詞が淀みなく出てくるのを聞いて、プロは違うな、なんてことを感じたりも。

 この映画には超重要ミュージシャンが登場しないのだが、それはフランシスと仲が悪いからではないか、といった暴露話も。(世界的には無名だったミュージシャンが突然有名になると、権利や金にうるさくなるのはありがちな話。昔キューバで BVSC の某ミュージシャンにインタビューを申し込んだ時、5000ドルものギャラをふっかけてきて速攻で断った知人のことを思い出した。今回も案外金がらみで揉めたのかも?)時間切れとなって、バラカンさん「もっと聞きたい」、川瀬さん「時間が足りない。裏話、もっとあるのに」。この続きは是非またどこかで!

 帰宅して、まず1曲検索。映画の中盤、70〜71年頃に録音された Haral? Police Orchestra の "Whole Lotta Love"(もちろん Led Zeppelin のカバー)が流れたのだが、これが強烈! 通しで聴きたいと思ってネットで探したが、さすがに見つからなかった。エチオピークに収録された曲の数々は、JB やプレスリーに影響を受けて生まれたものとのことだが、ZEP なども何らかの方法でリアルタイムで聴いていたんだな。

 映画の最初の方でアジスアベバを南北に貫く長い坂道が映し出される。もうこれだけで懐かしくて仕方ない。エチオピアは1997年に訪れたのだが、最初からトラブル続きの旅だった。数十年に一度?という洪水に遭遇。アファール(ダナキル砂漠)ではミリシア(民兵)やゲリラの気配が漂っていて、命の危険を感じたため数日で撤退(帰国後、エチオピアは内戦状態に陥った)。同行者も相次いで倒れ(アジスの日本大使館には大変お世話になりました)、元気なのは自分一人だけに。そんな状況だったので、アジスの街を楽しむ時間などは全くなかった。

 そのようなこともあり、エチオピアももう一度行きたい国のひとつ。最近エチオピア航空がアジス直行便(仁川経由)を再開させたので、そのフライトを調べていた。数ヶ月前の時点で往復約17万円。アジスからナミビアまで飛んでいることにも気がつき、ナミビアやボツワナに1ヶ月ほど滞在した後、アジスにストップオーバーするプランを検討した。東京ーアジスーウィントフックの4フライトでも20万円台。しかし調べ直したらアジス往復だけで27万円に値上がりしていた。このプランはもう無理だろう。

 エチオピアの旅で最も強く記憶に残っているもののひとつは、北部の町メケレの手前を走っている時に、道の脇に黒焦げになった戦車が放置されているのが目に飛び込んできたこと。内戦の残滓がそのまま残されていることに衝撃を受けた。そのメケレで泊まったホテルも私たちが去った後に空爆されたと聞いた。生まれた時代や場所次第で戦争の中で生きるよう強いられる現実に戦慄が走ったのだが、映画中語られる内戦とその映像から、黒焦げの戦車をまた思い出したのだった。

 ・・・このように、映画を振り返りながら、雑念ばかり湧いてくる。

 映画で流れる楽曲の数々を聴いて、やっぱりいいなと思った。エチオピークのCD30枚は勿論全て持っている。だが、全然聴き込んでいないので、じっくり聴き返したい。フランシス・ファルセトはシリーズをスタートさせた時、エチオピークは30タイトル作りたいと語っていた。今ちょうど30作。有言実行。お見事です!

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 映画を観た夜は、そのエチオピークはあえて聴かず、Amha Records のストレート・リイシューや、大好きな(昔雑誌にレビューを書いた)Mohamed Ahmed "Live in Paris" などを流しながら、Francis Falceto "Abyssinie Swing" のページを捲って中の写真を眺めたり。映画の中でフランシスが大量に写真を集めたと語っていたのは、これらのことなのだろう。さらには、エチオピア取材のファイルを開いたり。

 うーん、エチオピア、やっぱり行きたいぞ。本場の味のインジェラを食いたいし、エチオピアのラムもたっぷり飲みたい。

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by desertjazz | 2023-09-13 19:30 | 音 - Africa

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