バーバ・マール Baaba Maal が Aron and the Jeri Jeri Band というグループのデビュー作 "Dama Bëgga Ñibi (I Want To Go Home)" (2024?) に参加していると知り、早速聴いてみた。
Aron and the Jeri Jeri Band は、ニュージランド生まれのピアニスト Aron Ottignon と、セネガルのサバール奏者 Bakane Seck、それにガンビア人の女性シンガー Toufa Mbaye が中心メンバーのようだ。
いかにもセネガルらしいサバールのビートと、ウォロフ語の粘っこい節回しを耳にしただけで、もう気持ちいいのだけれど、そこにジャズ、ソウル、打ち込みビート、エレクトロニクス、カリビアン(スティールパン)と、なんでもありってくらいに混ぜ込んでいて、それが良いかどうかは抜きにして、これまで聴いたことのないサウンドにはなっている。多国籍ユニットということで固定観念に囚われずに自由にやっているのだろうし、セネガルにも意外とジャズの素地があるので、こうした音を触れると、セネガルからこれからも新しい音楽が生まれてくる可能性を感じさせる。肝心のバーバ・マールはどうかというと、'Teddoungal' で聴かせる艶やかな声がいいね! 70歳とは思えないくらいだ。
バーバ・マールは "The Traveller" (2015) も最新作 "Being" (2023) も良かった。そこで、最近は他に何があったかと思って調べて、Mumford & Sons with Baaba Maal, The Very Best & Beatenberg "Johannesburg" (2016) という EP 盤にフィーチャーされていることに気がつき、今頃聴いてみた。うーん、これはいいね! アフリカの音のミックスさせ具合が絶妙だし、聴いていて元気になる。バーバ・マールの声も実に生き生きしている(10インチにしようかと思ったが、Tower Records のアウトレットで CD が 800円ほどと安かったので、そちらを買って聴いている)。
バーバ・マールは、近年は映画 "Black Panther" の O.S. に参加して大成功したこともあり、同じセネガルのベテランとしては、ユッスー・ンドゥールよりも印象に残る仕事を続けていると感じる。円熟味を増しつつ、今絶好調なバーバは、今年3月にオーストラリアで初めてステージを観た時もとても元気そうだったので、まだまだこれからも楽しませてくれそうだ。
ところで、Aron and the Jeri Jeri Band は、そこそこ注目された "Mark Ernestus Presents Jeri-Jeri – 800% Ndagga" (2013) とは関係があるのだろうか。メンバーの重複はないものの、サウンド・エンジニアがどちらも Ouzin Ndoye とクレジットされている。"800% Ndagga" にはバーバ・マールが曲作りとヴォーカルで参加していたが、その繋がりで Aron and the Jeri Jeri Band でも歌ったのだろうか。
恥ずかしながら、Aron and the Jeri Jeri Band も Mumford & Sons も知らなかった。熱心に音楽を聴かなくなってから、かれこれもう 15年くらい経つので、その間に作られた音楽に聴き逃したものがとても多いのだろう。音楽をゆっくり楽しむ余裕がなかったので、それは仕方がない。バーバ・マールも好きなアーティストの一人だが、それほど聴き込んではいないので、この機会に彼の全作品を振り返ってみようかなどとも考え始めている。
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