Walking around Massilia (8) - Day 5 : "L'Ete Marseillais - La Scene Sur l'Eau"

◆ 7月19日（金）

　いよいよ今夜は Massilia Sound System のコンサート。今日は夜遅くまでの長丁場になりそうなので、午前は部屋でゆっくりする。

　ベルザンスのホテルに泊まるのは今夜が最後。そこで、昼前にもう一度 Parc Port d'Aix に行き、30枚ほどある全てのパネルを写真に収めながらじっくり目を通してみる。今朝も小さな子供を連れた母親などが結構来ていた。日によっては幼児たち向けのイベントが行われていて、家族連れが集まって楽しい雰囲気になっていた。

　パネルを眺めていて、エクス門のそばに古い城壁がわずかだが残されていることを知った。その城壁跡の前の道は、これまでにおそらく100回は通っているはずだ。それでもその遺跡の存在は知らずにいた。早速、歴史を感じさせるその壁を見に行ったのだが、旅先でも急がずじっくり歩くことで気がつくことが多いのだと改めて感じる。

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　"L'Ete Marseillais - La Scene Sur l'Eau"（「マルセイユの夏 ー 水上のセーヌ川」という意味か？）と題されたコンサートが始まったのは昨年で、今年は第２回目とのこと。かなり大規模なイベントで、しかも無料なのだという。なんでも 42歳？という若い市長が誕生し、彼の下で始まったのだそう。

　コンサートは海の上に特設ステージを作ってそこで行なうと聞いていたのだが、どうにもイメージが湧かない。だが、実際に来てみるとその通りだった。マルセイユ市庁舎 Hôtel de Ville de Marseille の正面、旧港 Vieux Port の海の上にステージを仮設し、その前のポール通り Quai du Port を閉鎖し、市庁舎の間に客席を並べている。ステージの背景には、マルセイユを象徴し市民たちの心の拠り所でもあるノートルダム・ドゥ・ラ・ガルド寺院 Basilique Norte-Dome de la Garde が輝いている。最高のロケーションだ。

　13:40 コンサート会場へ。そこで待ち合わせの約束をしていた Massilia や Moussu T をマネージメントする Manue さん（Massilia のリーダー Tatou の長年の連れ合いでもある）と再会。彼女に助けていただいて、撮影パスと After Party への参加に必要なリストバンドを受け取る。今夜は 15分間だけ市庁舎の２階の窓からの撮影が許可されるとのことで、その撮影ポイントの下見にも案内された。イベントの関係者を含めて、みなさん本当に親切だ。

　Massilia のメンバーたちが来るのを待って、サウンドチェックを見ても良かったのだが、この暑さの中無理しない方が良いし、邪魔になっても迷惑だろう。一旦ホテルに戻って、カメラの準備をしながらひと休み。その合間に、"Marseille" の７月号で Papet J、Gari、Tatou のインタビューを読む。Papet J がなかなかいいことを言っている。

　時間潰しに Facebook を開くと、Massilia の古くからの仲間達がすでにステージ上の様子の写真や動画をアップしていた。もうしばらく休んでから出かけるつもりだったが、部屋でじっとしているくらいなら自分もそれを観に行った方が良いだろうと考えて出発する。

　17:50 会場入り。ステージ上でインタビューを受けていた Papet J と Tatou と再会。Tatou はいつもと同様歓迎してくれて２人で語り合う。

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　19:30 まだ明るい中、コンサートが始まった。ステージに最初に登場したのは、ラ・シオタ La Ciotat のコンビ Chichi & Banane。Moussu T で聴き馴染んだバンジョーの音が懐かしい。Chichi は語りで場を盛り上げていたので、こういう時、自分がフランス語を解さないことを残念に思う。

　続いてラッパーのデミ・ポーション Demi Portion がステージに。大人気らしく、すでに会場を埋め尽くしている観衆の反応も良かった。途中ゲストMCが登場。「Blu...」と紹介しているのが聞こえたが、彼は Massilia のギタリスト Blu の息子であることを後で知った。確かによく似ている。

　それにしてもステージが遠い。洋上のステージなので、オーディエンス最前列からも相当離れているし、ステージも結構高くて視線よりはるかに上だ。安全面を考慮した結果のレイアウトなのだろう、波止場に設けられた撮影エリアがたっぷり広く、自由に動けるのは有り難いが、ステージをまともに撮影できるポジションがほとんどない。今回はマルセイユの定点観測を主目的に来たので、重いレンズは荷物になると考えて（暑い中、そのようなものは持ち歩きたくもないし）、レンズは動画も撮りやすいワイドズーム１本だけにした。そのため、この条件では満足な写真は撮れない。

　いや、そうした写真はプロの方々に任せて、素人の私は SNS で紹介する用のスナップだけ撮って、後は音楽と会場の雰囲気をとことん楽しむ方がいいだろう。

　そうは思ったのだが、オフィシャルのカメラマンがとても少ない。２〜３人くらいだろうか。ステージ前の撮影エリアが大勢のカメラマンたちでひしめき合う Fiesta des Suds の時とは大違いだ。この広いスペースを自由に動き回れるばかりか、ステージ上で撮影することも問題なかったので、何だか観客のみなさんに対して申し訳ないように感じてしまった。

（続く）

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