Walking around Massilia (11) - Day 7 : "Raï is not Dead"

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◆ 7月21日(日)

 8:50 起床。昨夜も遅くなったので、ゆっくり目に起きて、シャワー、洗濯、それから朝食。

 昼前に散歩に出掛けて、近所のスーパーで寝酒用の安いパスティスを購入。その間に空が曇り出し、涼しい風が吹き始め、雨粒がポツリポツリ。友人宅に戻った後しばらくすると、激しい雷雨となった。

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 先にも書いた通り、当初は今日21日にアルルに移動して、もう一度 Massilia Sound System のライブを観る予定だった。ところが、マルセイユに着いてから同日にライをテーマとした4時間のスペシャル・プログラムが組まれていることを知り、どちらを選ぶか迷う。Massilia は19日にあれだけ大規模なものを観てしまったので、それ以上のものは期待しにくい。Tatou が語っている通り、彼らのライブは基本的に毎度同じ構成であるし。一方で私はこれまで本格的なライのライブを観たことがない(昔ここマルセイユで Cheb Mami が Fiesta des Suds に出演する際、バックステージで彼を待っていたら「逮捕された」との一報が飛び込む、などという信じられない悲劇も)。アルル観光+ Massilia 、あるいはライ4時間、それらのどちらを取るか数日悩んだ末、後者を選択。これがここ数日の出来事だった

 ありがたい事に今夜も友人宅に泊めてもらえることになったので、アルルのホテルをキャンセル。だがアルルの宿泊料は100%支払い済みで返金されない。この出費は痛いが、鉄道の切符をまだ買っていなかったことは救いか。

 しかしこれだけ荒れた天候ではアルルの街並みを観光気分で歩くことは難しかったかもしれない。これは結果オーライと考えることにしよう。

 そのために予定の空いた今日の午後は、トコ・ブラーズ Toko Blaze と会う約束をしていた。だが、とても外出できる状態ではないので、今日は取りやめて明日に変更。7月にこうした荒れた天気になるのは非常に珍しいそうだ。例年だとこの時期は快晴がずっと続くのだろう。連日夕方まで 30度を超えていた気温も、一気に20度くらいまで下がり、過ごしやすい涼しさになった。それでもたっぷり昼寝をした後には、もう暑くなり始めたのだが。


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 夕方シリアルで軽く食事をした後、18:30 に出発し 18:50 に会場着(旧港北側の道は写真のように閉鎖されている)。

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 ライをテーマとした今夜のステージに立つのは、Hadj Sameer、Raïna Raï、Mystique、Cheb Bilal という4組。

 Hadj Sameer はライ・ミュージックの盛衰を描いたドキュメンタリー・シリーズ "Raï is not Dead" の製作陣の中心人物。このドキュメンタリーは大変評判が良く、ライ好きから絶対観るように言われていたのだが、まだ未見。彼の DJ は選曲もよく、それ以上に工夫された繋ぎの面白さが印象的だった。意外と持ち時間が短かったのだけれど。余裕があれば彼にインタビューしたかったが、それより前にまずは "Raï is not Dead" を観なければ(DJ を撮ってもなぁと思い、写真はなし)。


 続いて登場した Raïna Raï はエレキギターを中心とするロック調のライ。ギタリストがバンドのリーダーのようだった。

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 3番手の Mystique は女性DJで、小さな娘?も一緒に出てきて踊るという謎の演出。途中、このイベントの Press/Animateur だという?ラジオDJがステージに現れて会場を煽る(名前を確認すると Massilia Stream Radio の Ahmed Marir 氏とのことだった)。さらに私に対してはステージの中央で撮影せよと迫ってくる。なんでもありになってきて、ますます謎の展開だ。

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 しかし今日はオヤジとDJばかりなので、特段動きもなく、どうレンズを向けても絵にならない。そこでステージを離れてビールを飲みに行く。DJプレイを楽しむならステージを見つめる必要もないし。その間にも Mystique の DJ はガンガン盛り上がっていき、屋外で爆音ライを浴びるのは実に気持ちがいい。結局彼女は1時間以上プレイしていたのではないだろうか。その間、踊り続けたお嬢さん、お疲れ様!


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 さて、トリのシェブ・ビラル Cheb Bilal が登場。こうしたステージに呼ばれるということは、かつてはとんがった若造?といったイメージだった彼も、今ではカリスマなのだろう。実際今日は一昨日の Massilia の時よりも、アルジェリア人たちが明るいうちから盛り上がっている。

 淡々と歌い続けるビラル。シンプルなフレーズを繰り返すだけに、どの曲でもそれが耳に残る。中には CD で聴き覚えのあるものも。しかし、ビラルもほとんど立って歌っているだけで動きに乏しいの。観ていて特別面白みはないなぁ。っそのせいか、オフィシャル・カメラマン?たちもあまり撮影していなかった。

 しかし、群衆とステージとを重ねわせて観ると、特別で素晴らしい時間と空間が生まれていることを感じる。これこそがライの本場でライブを観ることの良さなのだろう。どの曲でも大歓声、大合唱。中には持ってきたトランペットで歌と同じフレーズを吹き続ける男もいた。いやホント、構図を考えて真面目に写真を撮ったりするより、この至福な空間の隅っこで、大観衆と一緒にビラルの歌を共有する方がずっといい(動画を撮ってもさっぱり乗らなかったので、途中からほとんどカメラの電源を落としていた)。


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 ライにたっぷり浸った4時間、楽しかった。アルルで Massilia を観たかったという後ろ髪引かれる気持ちは引きずったままなのだけれど、ライの本場に来てこんな雰囲気の中でライを聴けたのは貴重な体験だった。集まった人たちはみんな心底楽しんでいて本当に最高だったし。


 ところで、トラブルを避けるため、マグレブ世界では女性や子供は撮らないことにしている。だが今日は男たちが女性や子供と一緒の写真を撮れとやたらと求めてくる。そうした心理って一体どういうものなのだろう。まあサービスだと思って応じたけれど(ただシャッターを切っただけになっているな)。

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 ガードマンが大勢動員されていて、セキュリティーは結構厳しいのだろうと思ったのだが、撮影に関しては完全に放置状態だった(Fiesta des Suds では、アーティストごとに、頭3曲とか、2曲目の途中までとか、厳密に指定されるのだけれど、そんなことはなし)。さすがに、控え室から洋上ステージまでアーティストを送り迎えするボディーガードたちは厳しい顔をしていたが。彼らは本番中も怖い顔をしてオーディエンスを睨みつけていた。だが、中には踊っている奴もいたので、ライブを楽しんでもいるようだった。試しにレンズを向けるとポーズを決めてくれた。そして「写真を送ってくれ」というので、彼のアドレスをメモ。はいはい、深夜にメールで送りましたよ(お礼のメールが返ってきたので、ちゃんと届いたようだ)。


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 3日間、日本では観ることが難しいアーティストばかりで、それぞれとても充実したプログラムだった。Massilia と Bilal を目当てで来たのだったが、音楽的にはフェイルーズへのオマージュという2日目のオーケストラが一番優れていたかな。こんな素晴らしい音楽祭なら、来年もまた来たくなってしまった。







by desertjazz | 2024-07-21 23:00 | 旅 - Abroad

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