Youssou N'Dour 2025

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(2025/01/01 「高原の隠れ家」から望む朝日)



 新年おめでとうございます。今年もマイペースに気まぐれに記事を投稿しようと思いますのですので、よろしければお付き合いください。

(これまで通り、速報的な情報などは X/Twitter や Facebook に、長めの記事はこの Blog にという基本方針はまだ変えないつもりでいますが、X も FB も問題だらけなので、短い即時情報などは年末に開設した Bluesky に移行するか、あるいは SNS からなるべく離れる方が健全なのかとも考えているところです。)


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 Youssou N’Dour 関連の情報が次々届いているので、まずそのあたりから整理しておきます。




 この年末年始は久しぶりにダカールで過ごして、年末に予定されていた Coumba Gawlo のデビュー40周年コンサートと年明けの Youssou N’Dour の Le Grand Bal を観てくることも考えたものの、かなり迷った末に断念。

 毎日後ろ髪を引かれる思いでいたら、Coumba Gawlo の弟 Mbaye Syr Seck が12月14日?に亡くなったことで、アフリカ主要都市で計画されていた彼女のツアーが延期になった。もしダカール行きを決めていたら、予定の半分が肩透かしになるところだったけれど、そんなことより彼女がお気の毒だ(彼女の投稿には「弟」と書かれているが、実の弟なのか、それとも象徴的に「弟」と呼んでいる人物なのかまではわからなかった)。



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 Youssou の方は1月4日に開催されたLe Grand Bal の動画がオフィシャルに公開された。実に 4時間19分21秒という長さ。


 でもこれでもまだ途中。2000年に NYC で観た Le Grand Bal は5時間、2017年にパリで観た時は7時間。今回は一体どれくらい演ったのだろう。


 Youssou の開くこの「巨大な祭典」は毎度セネガル国内にも生中継されるのだけれど、その7時間超の動画もアップされた(けど、誰が観るの?)。

 Le Grand Bal は毎回 Youssou の登場シーンで爆笑させてくれるのだが(ダカールからセーヌ川まで小船で行ったり、巨大なスーツケースを引きずって行ったり、2017年のパリはクレーンカメラマンとして登場)、今回は炸裂する花火をバックに結構真面目なオープニング。だけど、1曲目は始まっても花火がやかましくて、結局今度も爆笑させられた。

 まだ一部しか観ていないのだけれど Youssou は相当に気合が入っている。正直なところ彼の創造力はさすがに衰えているとは思うが、歌に込めるメッセージの強さは失われていない。本当に歌声が力強いと思う。ここ30年以上の間、彼がその音楽に込めたメッセージも強く感じている。そのことを自分が書きれなかったことを反省しつつ、次のテーマについて考えているところだ。それにしても Youssou は相変わらず絶大な人気だな!

(Babacar Faye は超オシャレでイケイケのパフォーマンス! ダンサーたちも最高。皆スーツで決めている中、Assane Thiam だけは中年太りして親父臭さたっぷり。見所満載。2017年の Le Grand Bal のビデオは USBメモリーでリリースされたが、今回はどうするのかな?)

 今年の Le Grand Bal で本編よりも印象的だったのは、終演後のこの光景。


 思い出すのは1999年に Youssou がダカールで経営するクラブ、チョサン Thiossane で彼のライブを観た時のこと。中に入った途端に一眼カメラ没収。ライブが終わった瞬間、ステージ裏のシャッターが開き、彼は誰とも言葉を交わすことなく、横付けされていた車に乗って去っていった。その間わずか数分。それに対して、今はスマホで写真を撮り放題。ライブ後もファンたちとの時間を楽しんでいる。それだけ時代が移ったということか、それともダカールでの Le Grand Bal が特別だということか。1998年のBNT10周年でも、1999年のダカールでも、2000年NYCでも、2016年のパリでも、最前列でかぶりつきで Youssou を観た(2003年には会ってインタビューしたし)。数万のファンに囲まれる映像を見る度に、それらは特別で幸せな体験だったのだと思う。

 もう一つ印象的に感じたのは、Youssou の背後に弾き手のないベースが映り続けていること。これは2018年に急逝したバンマス Habib Faye のものに違いないと思う。盟友へのその気配りに感涙(結局、敬愛するミュージシャン Habib Faye をライブで観たのは 2017年のパリでの Le Grand Bal が最後になってしまった)。

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 1月6日に ”Support Rokia Traore" というコンピレーションがリリースされた。Youssou N'Dour、Orchestra Baobab、Idorissa Diop、Daara J Family、Kezaih Jones らが参加。これは2020年に元夫の同意なく実子をマリに連れ帰ったことでベルギーの裁判所から逮捕状が出され(誘拐罪と見做されたのだろう)、昨年6月以降は実際に収監されている彼女の支援する目的のもの。彼女の行為が実刑に値するものかどうか私には分かっていないが、とにかく彼女の音楽・芸術活動は完全に止まってしまったということだ。

 2020年1月にパリで観た3夜連続公演が素晴らかっただけに、その直後に「事件」が起きてしまったことはとても残念だ。同年夏にはパリで Miriam Makeba をテーマにしたミュージカルのロングラン公演も予定されていたが、当然それもキャンセルされた。


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(追記)Rokia Traore の逮捕の経緯に関しては BBC の記事に整理されている。


・2020年、娘をベルギー人の父親に引き渡すというベルギーの裁判所の判決に従わなかったためフランスで逮捕。
・この時、控訴のためにブリュッセルに向かっていた(外交官パスポートを所有しているため、逮捕は想定外だった?)
・条件付きで釈放されるものの、出国禁止を無視してプライベートジェットでマリに帰国。
・2024年6月、コンサートのために訪れたイタリアで逮捕。
・8月、ベルギーに引き渡し。
・10月、誘拐の罪で懲役2年の判決。
・彼女は現在ベルギーで収監中で、現在9歳の娘はマリに留まったまま。




 話を Youssou のことに戻すと、1月9日に新曲 'Noflaay' をリリース。続いてニューアルバム"Éclairer Le Monde" の情報も入ってきた。1月10日と1月11日にはダカールで別ヴァージョン?の Le Grand Bal など特別なコンサートも。今 Youssou はとてもアクティブなようだ。これからの活動にも注視していこう。


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 Youssou N'Dour の Le Grand Bal の映像を観ていると、NYC やパリで体験したあの巨大な祭の興奮が蘇る。今年もそのようなゾクゾクする体験をしたいな!






by desertjazz | 2025-01-11 11:11 | Sound - Africa