今回のインドネシアの旅(1/21〜2/13)は、ホテルや安宿の部屋でゆっくり過ごしたり、散歩や食事に出かけたりするだけで、特別なことはほとんど何もしない毎日だった。それでも、紹介されて各地で音楽関係者たちと会って話したり、たまたま見つけたレコード店に立ち寄ったりすることもできた。これから数回、インドネシアで訪れたレコード店のことを中心に少々綴ってみたい。
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ジャワ島中部の古都ジョグジャカルタの市街地には、レコード店は全くないようだった(試しに一度 Google Maps に Record Store と打ち込んで検索してみたのだが、何も表示されなかった)。どうやらインドネシアのローカル音楽を扱う店は全滅らしい。
そう思っていたら、当地の音楽事情に詳しい方が、街の外れに一軒あると教えて下さった。その情報を頼りに Grab Taxi で南へ走ること数キロ。教わった住所で車を降りた。だがそこは緑豊かな住宅街で、とてもレコード店があるような雰囲気ではない。ダメだったかと諦めつつ改めて周囲を見回すと、「Toko Musik Luwes」と書かれた看板が、そしてその先にその店はあった。
ホッと一息ついて近寄ると、何ともオンボロな小屋。いや失礼。独特なオーラを醸し出している。しかし扉は閉まっていて人の気配がない。すると店の前でまったり佇んでいた男が、店の人間を呼びに行ってくれた。しばらく待つと若者がやって来て、店を開けてくれたのだった。
さて、中に入ってみるとお宝の山! 中古レコード、CD、カセット、さらにはTシャツなどのグッズまでどっさり、所狭しと並べられている。アナログ盤を少しだけ漁ってみたのだが、とにかく高い。コンディションの良くない中古盤でも5〜6千円はする。CDもインドネシアのポップスをほぼ全く聴かない私の知らない盤ばかり。この中から自力で何かを探そうとしても無駄なので、店の若者(店主の従兄弟だと言っていた)に「最近人気なのはどれ? ジャズ(ジャジーなポップス)のお薦めは?」と訊いてみた。彼が困った顔をしつつも選んでくれた12枚を迷わず購入することにした。
興味深かったのは、最新盤は Rp 100000(約1000円)以上するのに、数年前のものは Rp 40000〜50000(400〜500円)だったこと。これは売れ残ったものは徐々に値を下げるということなのだろうか。店の前には売上ランキングのようなものをボードに書いて掲示していたので、最新盤も常時入荷させているのだろう。
もうひとつ面白かったのは、買ったアイテムを胸元に持った写真を撮られたこと。これは Instagram にアップするのだそう。インドネシア滞在中、他の店でもレコードや CD を買う度に全く同じことをされたので、これはインドネシアでの流行りなのだろうか?
とにかくここはインドネシア・ポップ通にとって夢のような店に違いない。
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