今回ウブドからジョグジャカルタに移動する前夜も、深夜便で日本に帰国するまでも、空港近くの同じエアポートホテルに滞在したのだが、1泊約3000円という安さながら、設備はしっかりしていて、従業員も皆感じが良く、レストランの料理も美味しかったため、とても快適に過ごせた。
帰国間際、そのホテルから1キロほどのところに新しくできたレコード店があることを知り、猛烈な熱帯スコールが弱まった合間に訪ねてみた。バリの有名 DJ Andhika Gautama が開いたという、シッピングモールの一角にあるこの Westside MuzeeQ には、ロックやポップスのレコードがどっさり。インドネシア音楽の中古盤や最近のリイシュー、新作 CD もたっぷりある。
ここでも店番している男たちにジャズ系のお薦めアイテムや最近の人気盤をあれこれ紹介してもらった。古い中古盤の中に気になるものが数枚あったので試聴。だがコンディションが今ひとつで、値段も高かったので見送ることにした。ここでもジョグジャやソロの店と同様に、インスタ用に買った CD を手にした写真を撮られた。
店のスタッフたちや集まっている若者らは DJ 仲間とのこと。どこでプレイしているのか訊ねると、それらの中にはウブドで泊まった宿の近くのバーも含まれていた。次回バリに来た時には、そうしたパーティーで再会する約束をして別れたのだった。さて、次回はいつバリ島に行けるだろうか?
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雑感を少々。
今回インドネシアの旅を通じて気がついたのだが、ジャワやバリの若者たちの多くは結構流暢に英語を話す。日本人の平均レベルをずっと超えているかもしれない。こちらもなるべくインドネシア語で会話するよう努めたが、彼らの英語のおかげで、そして何より皆とってもフレンドリーだったので、随分とコミュニケーションが楽だった。
加えて日本語を話せる人ともよく出会った。ホテル、レストラン、タクシーの中、鉄道駅、散歩の途中など、あちこちで日本語で話しかけられた。彼らの中には観光業に従事していたり、日本で働いた経験があることから(どうして日本語を話せるのか質問すると、数年間日本の工場で仕事をしていたという男性が数人いた)、意識的に日本語を使うようにしているようだった。
もう一点、日本のマンガの影響も大きいようだった。「何を読んでいるの?」などと、マンガの話を度々振られたりもしたので(生憎私はマンガを全く読まないので、会話は成立しなかったのだけれど)。彼らは日本のマンガやアニメを通じても日本語を覚えているようで、そうしたことで日本への親近感を深めているようでもあった。そうした彼らとの関係性を大切にするべきだ、そのためにはどのようなことができるのだろう、そんなことも考えさせられた。
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バリでも CD を扱う店がすっかり消えたと思ったら、今度はヴァイナルをメインにする店がボツボツ生まれているようだった。ヴァイナル人気がここインドネシアにも及んでいるということなのだろう。そうしたアイテムの中には日本盤がとても多かった。経営者が日本人だったり、コンディションの良いレコードを日本から買い付けたりと、理由は様々考えられる。
日本のシティポップ盤も多い。そう言えば、松原美紀の『真夜中のドア "Stay With Me"』がインドネシアで大ヒットしたことが、日本のシティポップ人気が世界中に広まる契機になったのだった。『真夜中のドア』は発売と同時に買って熱心に聴いたことも思い出してしまった。
ところで、インドネシアン・ポップの CD を色々ジャケ買いしてきたものの、そうしたジャンルには疎い私が聴いてどうかと不安を抱いていた。でも聴いてみるとなかなかいいですね。インドネシアの音楽は昔からそうなのだけれど、様々な要素のミックスの仕方が絶妙で、また洗練された作品に多さにも感心させられた。それで興味を抱いて関連作品なども取り寄せて聴き始めている。そうしたアーティストや作品群は自分が知らなかっただけで、インドネシアでも素晴らしいポップ・ミュージックが相次いて生まれている様子がほんの少しだけ伺えたのだった。ホント、いい音楽は世界中にまだまだあるのだなあ〜。
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