"The Beatles In Mono Vinyl Box Set" の音がすごいと噂に聞いたのはいつだったか。1967年くらいまではモノラル・ミックスがメインで、メンバーたちもモノだけ確認してステレオは試聴しなかったという話もあるそうだ。だからモノラルこそが本来のビートルズの音なのだそう。ならば、2014年にオリジナルマスターからコピーして制作したこのボックスを一度聴いてみたいと思い探したものの、今は市場価格が20〜50万円にまで高騰。これは無理と諦めたのだが、今春突然再生産が発表に。かなり迷ったのだけれど無理して買うことにした(これで年内の旅行はもうなし)。
そのボックスは7月に予定通り届き、秋に涼しくなった頃にターンテーブルをしっかり調整してじっくり聴こうと考えていた。ところが、8月末に販売会社から「不良品が混じっているので、交換希望者は8月31日までに回答してください」という旨のメールが突然届いた。そこで、他の作業を全て中断し、LP14枚を一気聴き。
結論として、レコード盤にもジャケットやブックレットにも大きな問題はなし。小さなプチノイズなどが10ヶ所ほど出たが、現在のヴァイナルのプレス技術を鑑みれば許容レベルか。ここ数年の間に聴いた中では品質が一番良かったかとも思う(The Beatles ともなれば熱心なファンも多いので、その分レコードのコンディションにも厳しく、それで苦情が多かったのかもしれないと推測した)。
しかし、こうした聴き方は疲れる。ノイズが聴こえても、レコーディング時のものなのか、編集点なのか、マスターの傷なのか判断がつきにくい。まあ、そうしたノイズならば別に気にしなくて構わないということなのだろう。ノイズのようでも、よく聴くとハンドクラップだったり、足踏みだったり、何か適当なものをパーカッションとして叩いているようだったり。
振り返ってみると、ビートルズのアナログ盤を買うのも聴くのもこれが初めて。中学1年生の時に NHK FM をエアチェックしたカセットテープが自分にとってのビートルズの音だった。彼らの CD がまとめて出た時に、もういらないと思ってそれらのテープは捨ててしまった。だけれど、放送波とカセットテープのアナログ・コンプレッションのかかった音と比べると、CDの音にはマジカルなものが消えてしまい違和感もある。カセットテープを手放したのは失敗だった。
LP14枚を続けて聴いている最中に、アンプ、ターンテーブル、カートリッジ、フォノイコライザーが相次いでトラブルを起こして、それぞれ交換作業を繰り返す。2階から25kgもあるアンプを下ろす時、階段を踏み外しそうになったり。単にレコードを聴くだけのはずが、汗だくになっての大仕事に。本当に疲れた。
そのような訳で、肝心な音楽と音に集中できなず仕舞い。でも、ゾクゾクする瞬間は何度もあった。今頃になって The Beatles の「本来の音」を聴けるのは幸せなことかもしれない。考えようでは、ちょっとしたハンドクラップや足踏みや何かを叩く音に気がついたことは、それだけ細やかな工夫を重ねて彼らのサウンドが完成したことを初めて認識したのかもしれない。だとすれば、無駄な作業ではなかったと思いたくなる。
宝物のようなこのボックス、秋になったら本気でじっくり聴き込むことにしよう。音に関する詳しい感想はまたその時に。
ずっしり重いBOXが段ボールに二重に梱包されて届いた。
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