2006年からはハンディレコーダー Roland EDIROL R-09 を使い始めました。僅か145gしかないのに、24bit/48kHz サンプリング録音が可能。電源は単3電池2本だけ。ステレオのコンデンサーマイクもついていて、ちょっとしたフィールド・レコーディングやアンビエントノイズの録音なら十分に楽しめました。とにかく小さくて軽く操作も簡単なので、旅先ではいつも胸ポケットに入れていたほどです。価格はオープンプライスで、実売4〜6万円くらい?だったと思います。
録音を終えた後は USBケーブルで Mac につなぎ、バックアップも簡単に取れます。一時期、海外のアーティストのインタビューも全てこれで録音し、Mac にコピーして書き起こしをしていました。
2015年には Zoom H6 を導入。流石に R-09 が長年使い動作が怪しくなり始めたのと、もっと高性能のものが安く買えるようになったからです。2chでも十分かと思ったのですが、4chサラウンドなどマルチトラック録音を試してみたくて、最大6ch録音が可能な H6 を選びました。またマウントされているマイクも、最低これくらいの性能が欲しいところです。
ハンディレコーダーの良さは、歩いている途中でも気になる音を耳にしたら即座に録音できることです。最近バリ島で過ごした時にはコンデンサーマイクも持って行き、ステレオ録音や4chサラウンド録音を行なったのですが、最適なレコーディングポイントを探すこと、そこにマイクとスタンドをセッティングすることは、とても手間がかかり正直面倒です。音の状態が良くても、セッティングする間に最高の時間は過ぎてしまいがちです。H6 は R-09 のようにポケットには収まらず、バッグに忍ばせておくにも大きすぎるのも弱点と言えます。
・H6 はマイクヘッドが交換可能(Stereo、MS、超単一指向など)。風防などのアクセサリーも充実しています。最近は audio-technica の無指向性マイク AT4022 のペアと組み合わせていますが、セッティングが面倒なので H6 にマウントしたマイクで録音してしまうことが多いです。
(余談になりますが、バリ島のような湿度の高い熱帯での録音では、DATのトラブルが多かったですし、今はコンデンサーマイクのトラブルが頻発することが悩ましい。)
近年の録音機器の進化は素晴らしいです。例えば、RECボタンを押す前に遡って録音できるスキップバック録音機能(数秒間常にメモリーに書き込み続けている)、入力の大きさに応じて録音レベルが変動して絶対に歪まない機能(32bit float / 不動小数点方式)などを備えた機器も増えています。そうした新機能を知ると、同じ Zoom の F8n や H6n の購入を考えたくなるのも必然。その一方で、最近はアジアやアフリカに行く機会もほぼないので、そこまで必要だろうかと迷いもします。
多い時だと一度の旅行で、写真撮影、ビデオ撮影、録音、インタビューを行うことがあります。これら全てをこなすとなると、カメラ2台(一眼レフ、コンデジ)、標準レンズ、望遠レンズ、録音機、マイク、三脚、MacBook と、これだけ揃えるのが理想。かなりの重装備になります(バックアップは毎日 iCloud にアップするので、バックアップメディアは必要なくなりましたが)。流石にこれだけ揃えるとバックパックないしはキャリーケースがいっぱいになり重量オーバー(精密機器はスーツケースに入れたくありません)。そこで旅のテーマに沿って持っていくものを選ぶことになります。アジアやアフリカではフィールド・レコーディング用の録音機材と一眼レフを中心に、ステージ撮影を行うヨーロッパでは動画撮影の可能な一眼レフと望遠レンズとインタビュー用の録音機といった具合に。
ここ10年くらいは純粋に音だけをフィールド・レコーディングするよりも、映像を伴った形で(映像を主に)記録した方が望ましいと思うことが増えました。例えば SNS などで紹介する時などは、動画の方が好ましい素材が多いです。そのため、一眼レフやコンデジでビデオ撮影することが徐々に多くなりました。
また、ハンディーレコーダー Zoom H6 でさえ、大きい、重いと感じるようになり、迷った末に海外まで持っていくことは減りました。たとえ持って行ったとしても、一眼レフや水筒に加えて H6 までバッグパックに入れると結構重くなり、ウォーキングにはかなりの負担になるのです(私は旅先で多い日には1日2万歩以上歩き回ります)。そう考えると、Zoom の H2essential くらいの方が気軽に音を録れるだろうと思い始めているところです。
もっとしっかり動画撮影をしようと考え、昨年ミラーレス一眼の Canon EOS R6 Mark II とレンズを購入しました。これと組み合わせるマイクを検討中なのですが、なかなか適当なものが見つかりません。もしコンパクトで高性能なものを手に入れられれば、H6 の出番はほとんどなくなるかもしれません。
軽量で高機能の録音機がほどほどの価格で入手できる状況を喜びつつ、H6 でさえ重いと感じてしまうのは贅沢な悩みなのでしょう。1950年代に大量の機材を積んで遥々フィールド・レコーディングに臨み、録音機の不安定さにも苦労しながら貴重な録音の数々を残してきた先人たちのことを振り返ると、なおさらそう思います。

・撮影機材の一例。録音も撮影もするとなると、さらにマイクケーブルやレンズケース、幾つもの充電器などが加わり、全体では相当な量の荷物になります。もはや観光旅行ではない?
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