◇10月18日(土)
おそらく約20年ぶりに高円寺へ。まず以前より気になっていた Universounds をチェック。懐かしい60〜80年代ジャズの名盤が手頃な値段で大量にあって嬉しくなる。迷って3枚購入。また来よう。
それから駅周辺を散策。昔の印象と比べるとすっかり綺麗になっていたが、数多くの店々がひしめき合い、活気あることろは変わっていなかった。途中450円のカレーライスで腹ごしらえ。
夜はサカキマンゴーさんのライブへ。会場は何と「鍼灸接骨院」。そのような場所で果たしてどれだけ人が集まるのかと思っていたら超満員。マンゴーさんが春と秋に日本全国各地を巡るツアー、どこでも1年に一度彼がやってくることを心待ちにしている音楽ファンが大勢いるようだ。
マンゴーさんはそんな期待に応えるような楽しいパフォーマンス。ストイックに音楽を追求するだけでなく(それは半分)、ユーモアな語りで盛り上げ(子供たちもニコニコ)、笑いあり、ダンスあり、伝承歌の歌詞(ちょっとエロい)の解説あり、ポリリズムの実習ありと、とても気持ち良いライブだった。
音楽構成面では昨年大磯で観た時からも大きく変わっていて、歌や語りへの意識が強く、プリセット音源の作り込みも深まった印象であることに感心させられた。
マンゴーさんは拙著「カラハリ三部作」を初稿の時点で目を通してくださるなどご協力いただいた。完成したその本を直接手渡すことも今回伺った大きな目的。ライブの途中でその本の宣伝をしてくださり、そのおかげで余分に持っていった数冊がすぐに売り切れ、マンゴーさんにお渡しした分も急遽販売することに。こうなるならばもっと用意して行けばよかったな。いずれにしましても、皆さんありがとうございました!
この日は行きたいイベントが7つも重なるという特異日。少し迷ったがサカキマンゴーさんのライブを楽しんできて正解だった。
◇10月19日(日)
昨夜のライブの打ち上げでカメルーンの民族を研究している大石さんを紹介され話をした。『森棲みの社会誌 アフリカ熱帯林の人・自然・歴史 Ⅱ』『ガーナ流 家族のつくり方 世話する・される者たちの生活誌』などの共著者で、ボニー・ヒューレット『アフリカの森の女たち』を訳された大石高典さんだと後で気がついた。大石さんは、今読んでいる『ザ・フィールドワーク』にもエッセイを寄せているのにすぐに思い出せず失礼した。
◇10月22日(水)
その大石さんの東京外国語大学の講義でサカキマンゴーさんが特別講師を務めるという。それを見学に来ませんかと誘われて、午前、東京外国語大学にお邪魔することに(マンゴーさんには今度こそ拙著を渡せた)。
サカキマンゴーさんの実演交えた内容濃い講座に学生たちは皆熱心に参加していた(講義室には、19日に外語大でライブを行ったマチュメ・ザンゴ Matchume Zango も様子を見に訪れる。彼とは 2014年のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド以来の嬉しい再会に)。
講義の内容は、拙著『Kalahari / Dengu』と重複するものが多く、私が文章として書いたものを実際の楽器を使って実演すると遥かにわかりやすい(拙著では写真や図版の足りなさを感じており、また動画とリンクさせることも有効だろうと考えている。そうした点は今後の課題)。
途中、拙著をまた紹介され、その流れでボツワナのブッシュマンの親指ピアノ「デング」ことを話してくださいと話を振られる。デングについて興味を惹くような話を思いつかず、直前にマンゴーさんがアフリカのポリリズムについて解説しており、場所が外語大なので、ブッシュマンの言語とリズムに関して少し話をさせていただいた(東京外語大にはブッシュマン言語の権威、中川裕先生がいらっしゃるので僭越とは思いながら)。話したのは以下のような内容。
「ブッシュマンの言葉には4種類のクリックが含まれます。(それらを素人なりに実演して聞かせると、その瞬間全員が真似して「チッ」「ポン」と鳴らし始める。そうした積極性に大いに感心!)こうしたクリック音を交える言葉はとても賑やかで、こうした言語は世界的にとても珍しいものです。
またブッシュマンの女性たちは頻繁に歌(コーラス)を楽しむのですが、よく聞くと五拍子だったり、七拍子だったり、あるいはもっと特別なリズムで歌っています。もちろん四拍子や三拍子の歌も多いのですが、ごく普通の女性たちがこうしたちょっと特殊なリズムで歌を楽しんでいるのです。
ブッシュマンたちはクリックを含む言語を話したり、五拍子や七拍子のリズムで歌ったりしていて、欧米や私たちの持っている基準や価値観から見たら変わっていると思いがちですが、こうしたことは彼らにとっては普通のことなのです。クリックを含まない言葉や四拍子のリズムの方が普通だと考えたくなりますけれど、決してそうとは言い切れません。
外国を訪ね歩くと、「普通」とは何かと考えさせられます。そのような気づきを得られることも海外の土地を訪ねる良さだと思います。」
このように素人が話をする間、学生たちは皆瞳を輝かせ頷きながら聞いていた。講座が終わった後も質問攻め。若者たちが本当に生き生きしていた。日本はまだまだ大丈夫、未来には希望があると確信を得た日になった。
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