1975年の Bruce Springsteen はやっぱり凄かった。
“Born To Run” リリース50周年記念/日本独自仕様のCD3枚組、本編1枚+1975/12/12 のライブ2枚、買っても聴かないだろうと思い一度は見送ったのだが、発売直前に気が変わって結局購入した。
Bruce Springsteen のライブアーカイブ・シリーズ、初期の良さそうなステージや自分が実際に観に行った日のものを時々のバーゲンを利用して買っていたけれど、ほとんどが聴かないまま。オークランドやシドニーのライブを聴いて、その日の興奮を蘇らせる程度だった。映像もなしに CD-R 3枚、3時間ほどの音を聴き続けると流石に飽きてくる。こうしたものを聴き始めると他の音楽を聴く時間がなくなるので、熱烈なファンでもない私にはこれ以上の枚数は不要だろう。オンデマンドで制作しているらしきこれらの CD-R には書き込みエラーが時々あって(Bruce 本人が朗読する自伝 “Born To Run” も、購入したダウンロード版にエラーがあった)、そのようなこともあり買い続けるのはやめにした(その後、日本からの購入はできなくなったらしい)。
(1970年代のライブ盤)
(1980年以降のライブ盤)
しかし、今回の記念盤のライブは買って聴くだけの価値は十分あった(解説もとても充実している)。全編すごいが、中盤の4曲が圧巻。’Backstreets’ - ‘Kitty’s Back’ - ‘Jungleland’ - ‘Rosalita(Come Out Tonight)’ と畳み掛け、これだけで何と52分もある。個人的にはセカンドアルバムとサードアルバムが好きなので、当時こんなライブを実体験したかったと今更ながら思う。1999年にダカールで観た Youssou N’Dour も2時間で8曲ほどしかやらなかったと記憶している。それはとても濃密なインプロビゼーションの連続だった。ミュージシャン/バンドの絶頂期にはこうした長時間演奏を楽々できてしまうのだろう。
冒頭、Bruce の歌と左右の鍵盤だけ(最後にハーモニカも)による ’Thunder Road’ からもう心を惹きつけられる。Bruce Springsteen のライブを観て感動した瞬間は幾度もあった。2007年ワシントンで大合唱となった ‘American Land’、2017年シドニーのオープニングのストリングス交えた ‘New York City Serenade’、何より圧巻だった 2018年 NYC Broadway で目の前で観た ‘Land of Hope and Dremas’。2015年オークランドで “The River” 全20曲を再演した時の ‘Stolen Car’ も最高に素晴らしかったものの一つ。これほどの美しい曲だったかと感動。Roy Bitan の静謐なピアノだけで歌い終えた後に深々と頭を下げる Bruce の姿が印象的だった。1975年の ’Thunder Road’ のライブはそのようなシーンも思い出させる。
12月3日、西荻窪に移転した「アナログ天国」へ五十嵐正さんの話を聞きに行ってきた。評判の良いアナログ天国の音を一度聴いてみたかったし、五十嵐さんがアルバム “Nebraska” とその制作時の Bruce を主題にした映画についてどのようなことを語るかに関心を持って。実際、五十嵐さんだけが知り、気がつくような内容が詰まった語りだった。合間に音楽を聴きながらだったのだが、最初に映画版の ‘Nebraska’ をかけた次に選んだのが ‘Stolen Car’ だった。この曲にまつわる話を聞けただけでも嬉しかった。そして最後に流したのは “Twilight Hours” からの曲。このアルバム冒頭の ’Sunday Love’ を夜にアナログ盤で聴くことが最近の楽しみになっている。今年の個人ベストの2位に “Twilight Hours” を選んだのは、この曲が気に入ったことがほとんどその理由である。
振り返ると Bruce Springsteen 関連作品が相次いだ 2025年。今年は Bruce Springsteen を堪能する1年となった。
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