今年の3冊 - Best Books 2008

『日本語が亡びるとき 〜英語の世紀の中で〜』(水村未苗、筑摩書房)

 内容の衝撃度や問題性は数々論評されている通り。個人的には説得力を感じており、著者の推測にも可能性を認める。このところ美味い和食をいただく度に日本に生まれた幸せを噛み締めているのだが、この本を読んで、極めて特殊な言語である日本語を操るという体験をして日々過ごしていることにも、感謝する気持ちが膨らんだ。文章の驚くほどの読みやすさにも関心させられた。

『コンゴ・ジャーニー』(レイモンド・オハンロン、新潮社)

 アフリカの奥地を訪ね歩くことなど数え切れない理由から無理なので、この突拍子もない不思議な旅行記をただただ羨ましく読む。知人の田中真知さんの『孤独な鳥はやさしくうたう』(旅行人)にも旅心がくすぐられた。

『アフリカの印象』(レーモン・ルーセル、平凡社)

 作品としての着地点も読んで得るものも何らない奇想天外な書。冒頭そうした特殊性を突き破れず、昨年出版後からしばらくは寝かしたままだったが、中盤からは面白くて病み付きに。『ロクス・ソルス』も続けて読破してしまった。その『ロクス・ソルス』に着想を得た映画 "The Pianotuner of Earthquake" が登場したシンクロニシティーには驚いた。
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 小説を読み出すと他のことに費やす時間がなくなるので、長年「小説は読まない」ようにしてきた。しかし、一度読み出すと止まらなくなり、今年はカズオ・イシグロ、オルハン・パムク、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ、スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・カーヴァーなどを立て続けに読み漁ることになった。音楽を聴く時間が激減したのには、このことも大いに影響している。来年は時間があれば、谷崎潤一郎、夏目漱石、さらにはチママンダ・ンゴジ・アディチェあたりまで再読したいと思う。



今年の3冊 - Best Books 2008_d0010432_2351081.jpg(余談)

 大晦日の午後、たまたま押し入れを漁っていたら、『コンゴ・ジャーニー』の原書がやっぱり出て来た。以前探したときには見つからなかったのに。自宅の蔵書の整理も必要だと改めて反省。
by desertjazz | 2008-12-31 12:03
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