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2020年 08月 30日 ( 2 )

New Disc : Fela Ransome Kuti \"Fela\'s First\"_d0010432_17113451.jpg


Fela Ransome Kuti & His Highlife Rakers "Fela's First - The Complete 1959 Melodisc Session" (Cadillac SGC/MEL 204, 2020) (*参考 Facebook | Cadillac


 フェラ・クティのファースト・レコーディング全4曲のうち、60年以上の間、全く未発表だった残りの2曲がついに世に出た!

 ナイジェリアを離れロンドンに留学中だったフェラ・クティが、自身初めてのスタジオ録音に臨んだのは、1959年8月のこと。この時、Fela Ransome Kuti & His Highlife Rakers 名義で Melodisc に4曲録音。そのうちの2曲 "Fela's Special" と "Aicana" は、翌年60年の1月ないしは2月にSP盤として発売されたものの、その後リイシューされることがなく、長年激レア音源のままだった。なので、それがコンピレーション "Highlife On The Move" (Soundway, 2015) で初リイシューされ、ようやく聴けたのは、誰にとっても驚きだったに違いない。しかし、残る2曲 "Highlife Rakers Calypso No.1" と "Wa Ba Mi Jo Bosue" はSPでもリリースされておらず、正体不明のまま。まさに第一級の幻の録音だった。

 ところが、何と Melodisc 録音のマスターテープが発掘され、4曲まとめた完全版が 10インチ(45回転)盤としてリリースされることに! 当初の予定では、今年4月の Record Store Day に発売するはずだったのだが、新型コロナウイルス感染のあおりを食らって、2度の延期。それがやっと、昨日 8月29日に発売に至ったのだった。

 以下は、数回聴いての簡単な紹介と感想。

 ファースト・レコーディングの4トラックとも、Fela Ransome Kuti 作とクレジットされた基本カリプソ調の演奏。フェラ・クティはトランペットとヴォーカルを担当。ギターは J.K. Braimah、ピアノは Wolo Bucknor というナイジェリア出身の仲間だろうと推測されている。さらに、もう1本のトランペット、テナーサックス、ベース、パーカッションの4人が加わっているのだが、彼らは恐らくジャマイカ人たちだろうと、この解説でも書かれている。(ロンドンは当時もアフリカやカリブの英語圏の人々が集まり、そうした国々出身のミュージシャンたちがセッションを繰り返していた。フェラ・クティがロンドンでカリプソを演奏していたのも、そうした時代状況を示すことの一つと言えるだろう。)

 さて、今回のリイシューの目玉は、なんと言ってもこれまで完全未発表だったB面の2曲だ。"Highlife Rakers Calypso No.1" はインストゥルメンタル・ナンバー。既発表曲のA面の "Fela's Special"、"Aicana" と同様、テナーがソロ演奏しているのだが、トランペット2人の音を聴く限りテナーとは力量差があり、それも当然のことと頷ける(実際、トランペット2本がたどたどしく、ミスが多すぎる)。

(クレジットでは7人編成とされているが、"Highlife Rakers Calypso No.1" ではサックスが2本に聞こえる。もう一人、アルトかテナー奏者がいたのではと思うのだが、実際どうだったのだろう。"Aicana" ではドラムの他にシェケレのようなパーカッションの音も聞こえるので、編成が7人を超えていた可能性も考えられる。)

 一方の "Wa Ba Mi Jo Bosue" はフェラのヴォーカルが聞けるナンバー。だが、’Wa Ba Mi Jo’ と ’Bosue’ というフレーズを繰り返すばかり(ホント、ほとんど 'Bosue' と呟いているだけだ)。曲調は単純で、曲の終わり方にも締まりがなく、習作のような趣だ(同様のことは他の3曲についても言えるのだが)。

 特筆すべきは、マスターテープの保存状態が良かったからだろう、音が実にクリアなこと(ワンポイント録音のためか、バランスが幾分悪く、途中で音量が変わったりもするのだが)。フェラのファースト・レコーディングを、その61年後にこのようにして聴けることは、ひとつの奇跡として歓迎したい。

 そしてそれ以上に、フェラ・クティのルーツを辿る上で、貴重な資料でもある。演奏はまだまだ拙いが、ほのぼのした曲調と相まって、聴いていて楽しい気分になる。

 1000枚限定とのことだが、まあすぐに売り切れることはないだろう。ご興味のある方はどうぞ。

(今回リイシューを成し遂げたのが、30年以上昔の学生時代にお世話になったジャズ・レーベルの Cadillac というのも興味深い。その経緯はライナーからもうかがわれる。)



 フェラ・クティの未発表/未復刻作品のリリースも、今回でそろそろ最後だろうか。もちろんまだ日の目を見ていないものはある。だが、リイシューの可能性があるものを挙げるとすれば、1965年頃の "Voice of America Sessions" くらいかな?(この音源は YouTube で聴ける)

 他にも残っているのだが、演奏があまりに稚拙でリイシューする価値が低かったり、トラブルに見舞われて未完成だったり、権利関係がクリアになりそうになかったり、隠し撮り/プライベート録音だったり。なので、どれも難しいだろうと思う。







by desertjazz | 2020-08-30 17:00 | 音 - Africa

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