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カテゴリ:音 - Africa( 256 )

d0010432_10193332.jpgEde Gidi "U-roo-ba Vybe Dialektics" (Jazzhole JAH001D, 1997)

 「前号のアフリカ音楽特集で書き切れなかったことのひとつが、ヒップホップ系音楽の盛り上がりである。最近は、コート・ジボワールとセネガルのラップや、南アフリカのクワイトのCDあたりが割と入手しやすいが、アフリカのヒップホップは何もこれらの国々に限って盛んな訳ではない。そのことは前号で金子穂積さんがガーナの状況について報告されている通りだ。そのあたりをもっと詳しく知りたくて、勘を頼りにCDを買い集めた中の一枚が、このナイジェリアのアルバムである。
 14組のグループのトラックを収録しているものの、その全てにエディー・ジーなる人物がただひとり参加しているため、実質的には彼のソロ・プロジェクトと考えてよいだろう。そのエディーが、ラゴスに暮らす仲間たちを多様に結び合わせることで生まれた曲はバラエティーに富んでいる。曲ごとに、ジャズ、ファンク、ラップ、ジャングル、ドラムン・ベース、テクノなどの要素と共に、フジ、アパラ、アフロ・ビートといったナイジェリア音楽の特徴も聴き取れる。サウンドのベースはエディーのプログラミングしたリズム・トラックで、これにキーボードやサックスとともに、ナイジェリアの伝統的なパーカッション(トーキング・ドラム、バタ、シェケレなど)が絡んでいく。そして、コンテンポラリーなブラック・ミュージックに通じるクールなボーカルとヨルバの呪術的なコーラスが絡み合い、さらにはボコーダー等で加工されたボイスや、街音や鳥のさえずりなどのサンプリング音もコラージュされていく。このように「外」と「内」の要素が交錯する様がとてもスリリングだ。
 正直なところ、仕上がり具合にばらつきがあり、実験的色彩の強いトラックも多い。しかし昨年聴いたアフリカ音楽の中では最大の衝撃を受けた作品(録音は96年)と言え、現在のラゴスの状況が気になって仕方がない。」

 これは10年前、2000年8月に『アンボス・ムンドス』第7号用に書いた原稿。Jazzhole の第1号アルバム(番号から推測)である、エデ・ギディのこのアルバムを見つけたのは 1999年頃にニューヨークの Sterns を訪れた際のこと。今ならばもう少しまともなことも書けそうだが(「エデ・ギディ」とMCしてるのに「エディー・ジー」なんて書いているし)、基本的な考えは変化していない。ラップトップ上のというか、4畳半宅録的というか、そんな形容をしたくなるアフロジャズやフジに大変な新しさを感じたのだった。

d0010432_10192471.jpgAyetoro "6000 Miles and a Minute" (Ebute Metta, 2004)


 2005年にナイジェリアに滞在していた間は、このアフロジャズ/アフロビート盤を繰り返し聴いていた。これはレゴスの Jazzhole で買ったCD。スタジオ・ライブらしい 'Our Man is Gone (Tribute to Fela Kuti)' 〜 'J T's Tale Live' が結構いい。

(追記)Ayetoro の続くセカンド・アルバムの方はイギリス盤が出ており、現在でも容易に入手できる。"Omo Obokun: The Afrobeat Chronicles Vol 2 - Directions in Music by Funsho Ogundipe" (Flying Monkeys Productions FMPCD001)

d0010432_10191428.jpgDuro Ikujenyo and the Age of Aquarius "Ase" (Jazzhole JAHo09CD, 2010)


 先日リリースされたこのアフロビート盤を聴いて連想したのは、先の2作品だった。いずれもアフロビート/アフロジャズを取り入れている点は共通しているものの、そのサウンド自体にほとんど類似したところはない。しかし、なんとはない等質性も感じてしまうのだ。

 ・優等生的なフュージョン寄りのジャズセンス
 ・宅録的な密室性/閉鎖性
 ・不安定にぶれるヴォーカル

 従来からのナイジェリア音楽とはまるで正反対の特徴ばかり。Jazzhole 周辺からはインテリの香りが漂ってくる気がする(Jazzhole の店は半分がCDのスペース、残り半分が書籍のスペースで、アカデミックな本が大量に陳列されている)。これでは全然ダメじゃないかと思われるだろう。いや、実際その通りなのだが、それでも不思議と可能性を感じて、Ede Gidi と Ayetoro の2枚などはずいぶん聴き込んだものだ。Ede Gidi のアルバムなんかは、しっかりしたプロダクションを施せば大傑作に生まれ変わるのではないだろうか。まあ、それは無理だろうから、ぜひ再発して欲しい。全く売れないと思うけれど…。



 Femi Kuti 新作 "Africa for Africa" は従来のサウンドの完全な焼き直し。しょっぱなからライブ盤で聴き込んだ 'Dem Bobo' だったりして、新鮮味も何も感じない。もうアイディアが枯渇したか。その分、普通のアフロビートとしては最も素直に楽しめる作品だろうが。それでも、Tr. 10 の'Now You See' だけは文句なしに気に入った!




by desertjazz | 2010-11-15 12:00 | 音 - Africa

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 またか、と思われるかも知れないが、今夜もファタイ・ローリング・ダラーの話。最近何かと忙しくて、音楽は時々ファタイを聴く程度になっている。今回再発になった "Returns" も実にいいアルバムだった。

 だけど、やっぱり最高なのは 60年代。"Sisi Jaiyejaiye" のイントロや "Saworo" のギターのカッティングを聴く度にゾクゾクしてしまう(両トラックとも 2007年に "Papa Rise Again" でリイシューされた)。彼がクリエイティビティに富んだ優れたギタリストであったことを伝える録音だと思う。

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 そんなこと考えながら、Jazzhole のグループが出している雑誌 "Glendora Review" に10ページにわたって掲載されたファタイのインタビュー記事を読み返したりもしている。この号(Vol.3 No.2, 2001)では他にパームワイン・ミュージックも特集していて、その中に抜群にかっこいいアギディボの写真があった。折角なのでトップに転載(↑)。同じナイジェリア系の大型親指ピアノでも、カリブ圏のマリンブラ Marimbula の跨ぐのとは違ったホールディング・スタイルだ。

 ファタイのデビューも、このアギディボのプレイヤーとしてだった(1953年以降、Queen Mary Orchestra、Willie Payne のバンドを経て、J.O.Araba, Olaseni Tejuoso (Seni 'Teje' Tejuoso) らと Rhythm Blues Band を結成した頃まで?)。"Returns" の 'Eko Akete' や "Papa Rise Again" の 'Baba Wa' などの曲は、ファタイのそうしたアギディボ・プレイヤーとしての一面を紹介するナンバーと言えるのかも知れない。



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 10月30日にリリースされた Bantu の新作 "No Man Stands Alone" (Faluma Africa) の1曲にファタイがフィーチャーされている。多分これが彼の最新録音だろう。

 'Ni Bo L'Anlo' (feat. Fatai Rolling Dollar, Oranmiyan & Wurasamba)





 このところ誰と会っても「忘年会やってよ」とばかり言われる。今年はどうしよう。




by desertjazz | 2010-11-14 23:59 | 音 - Africa

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 Easy Motion Tourist

"Easy motion la wa yi o

A ba tourist ke le le

Ka ma jiya ka to lo laye

Nitori won tilekun mo'mo onile"



 Fatai Rolling Dollar のインタビューを読んでいたら、'Easy Motion Tourist' に関する発言があったので、11/8 の補足を少々。

 J.O.Araba with the Rhythm Blues Band 時代の曲は、J.O.Araba、Seni Tejuoso、Fatai Rolling Dollar たちによる共作で、'Easy Motion Tourist' も Fatai が J.O.Araba と一緒に作ったという。
 ある深夜、Seni が家を閉め出されて入れなくなるというトラブルが起きた。次の夜、皆でパームワインを飲みながら歌っていたとき、Fatai の頭にフレーズが浮かび、アギディボ(大型の親指ピアノ)をつま弾いて "Easy motion la wa yi o ... " と歌い出したという。それがきっかけとなって、前夜の一件はどうやら吹き飛んでしまったようだ。

 この曲、クリントン大統領がナイジェリアを訪れた際、King Sunny Ade が演奏し、それに合わせてクリントンがダンスしたという逸話もあるそうだ。昔からレゴス界隈でかなり有名なナンバーなのだろう。



 上に掲載したCDで、J.O.Araba with the Rhythm Blues Band、Fatai Rolling Dollar、Seni Tejuoso の3ヴァージョンを聴くことができる。




by desertjazz | 2010-11-13 09:00 | 音 - Africa

Discography of Ayinde Bakare (LP, CD とその収録曲)

< LP >

1) V.A. / Juju Roots 1930's - 1950's (Rounder 5017, 1985)
d0010432_213106.jpgOjo Davies / Ojowu 'Binrin
ジュジュの最重要コンピレーション。CDでも入手化。電化前(1937年なので初レコーディング?)と電化直後(1950年頃)の2つの録音を聴くことができる。

2) Live the Highlife with Ayinde Bakare and his Group (Melodisc MLPAS 12-140, 1968)
d0010432_2042260.jpgTribute to the late J.K. Randle / Eko Akete (Lagos Akete) / Adura Fun Awon Aboyun (Prayer for the Pregnant Women) / Inikunle Alakija / Iwalewa (Your Manner is Your Beauty) / Ore O Toto O Si // Moberu Aiye / Ile Aiye Ile Asan / Agboola Odunekan / Olabisi Arobieke / Akambi Balogun
随所で紹介されているアルバムなので、1980年代頃にはある程度流通していたと考えられる。

3) Ayinde Bakare and His Meranda Band Vol.1 (African Songs LPAS 8012)
d0010432_20391488.jpgIgun Gbon / Chief Lekan Salami / Board Members / Ore Meta / Ajao Waidi // Ma Yowo Loro Mi / Ayoola Sosanya / Tesilimi Ayilara / Abo Oluwa / Egbe House
録音年不明。LP両面ともノンストップ・メドレーなので、最晩年の作品だろう。

< CD >

4) The Evergreen Tunes of Ayinde Bakare (1912-1972) Vol.1 (Evergreen Music)
d0010432_2053444.jpgMo Beru Aiye / Ile Aiye, Ile Asan / Agboola Odumekun / Olabisi Arobieke / Akanni Balogun / Late J.K. Randle / Eko Akete / Adura Fun Awon Aboyun / Ibikunle Alakija / Iwa Lewa / Ore Otito Kosi / Late Caxton Martins / Inner Circle Fe Sere / Oba Ajibola Salami / Idowu Ajisafe / Ofofo Ko Dara / Ondo Ni Ile Akindele Ajiroba / Inner Circle Orchestra / Alhaji Taju Cole / Ile Aiye Dara / Awa Ofa Jogbon

5) The Evergreen Tunes of Ayinde Bakare (1912-1972) Vol.2 (Evergreen Music)
d0010432_2032139.jpgJ.K.Randle Oju Owo Ki Pon Dada Ma Yowo Loro Mi Oluwa Ayoola Sosanya / Abo Oluwa Teslim Ayilara / Egbe House Ile Aiye Ile Asan Agboola Odunekan Olabisi Arobieke Akanbi Balogun A Segun Ota / Agbere Won Ti Poju / Oba Eleda Ada (Iyamo To Koni To Ri Owo) / Afolabi Adesanya (Cashier) / Alh Lawyer Akanbi Akeem

現在 Amazon.com で全トラック試聴可能(ダウンロード販売のみ)。

6) Tunde Nightingale, Ayinde Bakare, J. O. Araba / 20 Evergreen Hits of 3 Music Masters of Our Country - Nigeria (Evergreen Music)
d0010432_20532876.jpgEdumare Loni Gbeja Mi / Eda Ko Ma Ro Eda Pin / Oni Suru Lo Laiye / Ajo Ada Ra / Itoju Mama Eni / I. S. Adewale / Aseju Ko Dara


7) V.A. / Evergreen Hits of 20 Music Masters of Our Country Nigeria (Evergreen Music)
d0010432_20535079.jpgEdumare Lo Ni Gbeja Mi
5年ほど前にレゴスの Jazzhole で見つけて『レコード・コレクターズ』などで紹介。その後 El Sur にも大量入荷したコンピレーション。

8) V.A. / History of Juju Music Vol.1 (Fisher Music)
d0010432_205432.jpgOjo Davies / Golden Faces / Isau Adewale


9) V.A. / History of Juju Music Vol.2 (Fisher Music)
d0010432_20541817.jpgIbikunle Alakija / J.K. Randle


10) Ambrose Adekoya Campbell / London is the Place for Me 3 (Honest Jons)
d0010432_2144693.jpgIbikunle Alakija






by desertjazz | 2010-11-10 21:00 | 音 - Africa

Old Time Juju (2) : Ayinde Bakare

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 しばらく古いジュジュを聴いてみる気になり、11/7 に取り上げた Sina Ayinde Bakare の父親の方のアインデ・バカレ Ayinde Bakare から聴き始めてみた。そして、彼がジュジュ・ヒストリー最大の巨人のひとりであることを再認識した次第。

・ナイジェリアのジュジュの原初形は、レゴスのミンストレルたちがタンバリンやサンバドラム(方形のハンドドラム)で奏でるものだった。そこにギターあるいはバンジョーやウクレレなどの弦楽器を導入しされて最初期のジュジュが現れる。1920〜30年代にその中心にいたのがトゥンデ・キング Tunde King 。彼こそがジュジュのオリジネイターと称される所以である。
 同時期活動していたもうひとりが Ayinde Bakare。37年に自身のバンドを結成し、その当時の録音も容易に聴くことができるのだが、Tunde King の土着的な音と比較すると一歩洗練された印象を受ける。

・40/50年代には、ガンガン(Gangan トーキング・ドラム)などのパーカッション、アギディボ(Agidigbo ベース楽器である大型の親指ピアノ)などが導入されることにより、ジュジュのサウンドは変化していく。そうした変化の中でも特筆すべきはエレキギターが用いられるようになったこと。それを最初に行ったのが Ayinde Bakare だと言われている(1949年。正確には ウクレレ・バンジョーという楽器に電気ピックアップをつけた)。

・70年代初頭まで活動し、Ade や Obey の時代(大編成化)への橋渡しをした。最晩年のアルバムを聴くと、片面全てを使ったノンストップ・メドレーになっていて、新時代のジュジュのレコーディング・スタイルにも対応していたことが分かる。

 といった具合に、うる覚えな記憶を書き出してみた(なのでやや不正確かも知れない)。振り返ると、72年に<不自然な死>を遂げるまで、ジュジュの変遷史の長きにわたって重要な役割を果たしてきたことが分かる。こうしたミュージシャンは他にはいない。彼ほど熱心に女性を讃える歌を歌った人物はいないとも語られている(そのあたり、まるで Youssou N'Dour のようでもある)。



 Ayinde Bakare について文章でばかり紹介していても仕方ないとは思ったのだが、少々調べてみたら案外いくつかのCDでも現在でも聴ける(そうした音源の整理も始めてみた)。それ以前に(今、センカクで話題の)YouTube でもいろいろ聴ける。便利になったものだ。




 ここ数日は M. E. ヴィールの『DUB論』を読み続けている。そちらにひと区切りついたら、T. Ajayi Thomas の "History Of Juju Music" (Thomas Organization, 1992) などをしばらく振りに再読し、ジュジュを再履修してみたい。

 余談をひとつ:

 昨晩も登場した T. Ajayi Thomas は、何を隠そうフェラ・クティの "ファースト・アルバム" の音源提供者(といったことは10年前から私のウェブサイトをご覧になっている方ならご存知かな?)。現在流通しているリイシューCDの音をよく聴くと分かるのだが、正規盤の音源は彼からいただいたのと同じコピーが使用されている(勿論、いちいち全てを確認するなんてことはしていないが)。彼が "ファースト・アルバム" を所有していることを知り、そして連絡を取り合えたことによって、フェラとクーラ・ロビトス Koola Lobitos の60年代の録音のリイシューが実現できたのだった。そうした意味では、T. A. Thomas 氏との出会いは、私とアフリカ音楽との関わりの中で最も世間に役立ったものだった、そう今でも考えている。

(不眠症再発で眠く、飲みながら料理の仕込み中に書いているので、今夜はこの辺で失礼。)

→( 最近のブログを部分的に読み直したら、やっぱりケアレスミスなどがあった。気がついた順に訂正中。)






by desertjazz | 2010-11-09 22:00 | 音 - Africa

Old Time Juju (1)

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 順番から行くと次は Jazzhole からの新譜4枚のうちの残る1枚 Duro Ikujenyo and the Age of Aquarius "Ase" ということになるのだが、これは後日。アフロビートなので、今週中にはイギリスから送られてくるはずの Femi Kuti の新作 "Africa for Africa" と合わせて書いてみたいと思っている。

 "Ase" には「Robert Wyatt が音痴に歌ったアフロビート」と形容したくなるトラックがあり、よくこれをリリースしたものだと思わせられた。だが、他からはある種の Jazzhole らしさも感じられて(可能性を感じさせるが、チープさも否めないという性格なので、好みは人によりけりだろう)、そんな一面にも触れてみたい。

 "Ase" を後回しにして、今はオルードタイム・ジュジュのレコードをあれこれ聴いている。Sunny Ade や Obey よりも前の時代、具体名を挙げると、Tunde King, Tunde Nightingale, Ayinde Bakare, J. O. Araba, Fatai Rolling Dollar, etc.。ざっくりした音の感触がたまらない。

 さすがにオリジナルのアナログ盤で持っているものは少なくて、大半が T. Ajayi Thomas の Fisher Muisc (NYC, USA) と Femi Esho の The Evergreen Musical Company (Lagos, Nigeria) からのリイシュー。それでもレコードラックを漁ってみたら、Fatai Rolling Dollar や Ayinde Bakare のアルバムまで持っていることに気がついた。

 Jazzhole の新作をきっかけに、今月は Nigerian Juju Music を久し振りに聴き直してみようかとも考え始めている。ということで、続きはまた次回。

(途中まで書いたところで、またまた全部消えてしまった。こんなことばかりを繰り返しているので、ブログは何とも疲れる。)




by desertjazz | 2010-11-08 23:59 | 音 - Africa

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 Seni Tejuoso "Easy Motion Tourist" (Jazzhole JAHO11CD, 2010)

 "Easy Motion Tourist" のライナーノーツを読んで、オラセニ・テジュオソ Olaseni Tejuoso について簡単に整理。

 1929年4月2日、レゴス州 Ebute Metta 生まれ。彼がドラム (Europan parade drum) と出会ったのは8歳(1937年)の時で、Funmilayo Ransome-Kuti(Fela Kuit の母)が設立した小学校でのことだった。その後、アベオクタに越し今度は Fela の父の学校で学ぶ。

 1948年卒業と同時にレゴスに戻り職に就く、1953年にその会社が倒産。定職を諦め、Julius Oredola Araba のと音楽活動を始める。しばらくして2人の音楽はナイジェリア放送協会 NBC の DJ Steve Rhodes の目に留まった。それが Fatai Rolling Dollar との出会いにも繋がったようだ。

 彼らは The Rhythm Blues Band と名乗る (*1) 。ハイライフやパームワイン・ミュージックを演奏するバンドだった。バーなどで演奏する一方、結婚式や葬式などにも呼ばれたという。J. Araba が 'Easy Motion Tourist' を書いたのもこの時代。

 Fatai との活動を続け、1965年までに 'Won Kere Si Number' (*2) , 'Teje Baby' などを録音。70年代の遅くに引退。

 このライナー、1937年はジュジュのオリジネイター Tunde King 最大のライバル Ayinde Bakare が最初のバンドを結成した年だった… と始まるなど、ちょっとしたジュジュの変遷発展物語となっていて、なかなか興味深い。

 本作 "Easy Motion Tourist" の制作は2001年に始まり9年がかりのものだったという。Olaseni は歌に専念し、ドラム/パーカッションには様々なゲストが参加している。またギターは Sina Ayinde Bakare が担当。パームワイン・ミュージックとジュジュをベースに、アフロキューバンなどの要素をミックス('El Manicero' をカバー)。ホーンズが加わって気持ちよいハイライフも聞かせる。

 決して絶賛に値するような作品ではない(なので、万人向けでもない)が、自分はこれくらいリラックスした緩い音楽も好きだ。肩肘張らずに気軽に聴けるので、今の自分の気分にはとても合っていると思う。


(*1) ジュジュの重要アルバム "Juju Roots: 1930s-1950s" (Rounder, 1985) は、J.O.Araba and His Rhythm Blues 名義の 'Iyawo Ma Pa Mi' (1957) を収録している。この曲は今回の "Easy Motion Tourist" で再演されている。

(*2) Fatai Rolling Dollar の復帰第2作目(スタジオ録音盤)のタイトル・ナンバー。




by desertjazz | 2010-11-08 10:00 | 音 - Africa

Sina Ayinde Bakare "Inu Mimo"

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 Sina Ayinde Bakare "Inu Mimo" (Jazzhole JAHO10CD, 2010)

 新作 "Inu Mimo" のライナーノーツを読んで、シナ・アインデ・バカレ Sina Ayinde Bakare について簡単に整理。

 1945年9月6日レゴス生まれ。ジュジュの巨人として高名な Saibu Ayinde Bakare の長男ながら、父親からの音楽的影響を受けたのは案外遅く、ギターを始めたのも14歳のときという。初期に最も影響を受けたミュージシャンとして、Theophilus Iwalokun と Sir Victor Uwaifo の名前を挙げている。

 50年代末から本格的な活動。1968年に EMI からレコード・デビューし、これまで12枚のアルバムをリリースしている(Decca, TYC など)。1972年に父が亡くなった際、一時期その父のバンドを引き継いだこともあったらしい。

 新作は "Summons" (1988) 以来のアルバム。バンド演奏というよりも、主要楽器を演奏する彼の多重録音となっているようだ。ジュジュよりもパームワインをベースにしたようなサウンド・スタイルで、曲によってはコンゴのルンバ(思わず Staff Benda Bilili を連想)やスロー・ファンクなどもミックスしている。また Fela Kuti の 'Zombie' のフレーズ 'Joro-Jara-Joro' をカバーしたトラックもある。

 特別上手いミュージシャンとは思わないが、ヴィンテージ・ジュジュの気分を受け継いだ寛げる演奏集になっている。ポートレイトを見ると、優しい眼差しや口元などは父親そっくり。その年輪を重ねた表情が自身の音楽性を物語っているようでもある。Jazzhole と正式契約し活動再開したとのことなので、Fatai Rolling Dollar 同様に新作リリースが今後も続くのかも知れない。




by desertjazz | 2010-11-07 12:00 | 音 - Africa

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 今夜は Jazzhole か Fatai Rolling Dollar について少し調べて整理してみようと思ったのだけれど、何となく観始めた日本シリーズが面白くて(終わらなくて)…。代わりに、取りあえずのメモ。

・Fatai の新譜 "Returns" 全12トラック、旧ヴァージョンからは9トラック(リミックス・ヴァージョン2トラックをオミット?)、"Won Kere Si Number" から 'Eko Akete' と 'I'm not a Banker' を収録。残る Tr.9 'Omo Oloye' だけが音源不明(アウトテイクという可能性は低いと思うのだが)。

・ネット検索すると結構資料やインタビューが見つかり読み切れない。アギディボ(Agidigbo ベース用親指ピアノ)でキャリアをスタートさせたことや、Obey との関係などが書かれている。

・Seni Tejuoso の新作タイトル曲 'Easy Motion Tourist' も Fatai の代表曲のひとつ。・・・いや、いきなり訂正。Julius O. Araba の代表曲のカバーだろう(忘れてしまっていることばかりだなぁ)。

・60/70年代頃の音源のベスト盤をチェックすると、 'Saworo'、'Sisi Jaiyejaiye'、'Won Kere Si Number Wa'、'She Go Run Away' などが収録されている。2003年以降の復帰録音アルバムは過去のレパートリー集と考えてよさそう。



 仕事疲れで、今日は読書も進まない(延長14回ウラ、試合もまだ終わらない…)。




by desertjazz | 2010-11-06 23:27 | 音 - Africa

New Discs - Jazzhole

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 Lagos の Jazzhole からの新作4枚がついさっき到着。このレーベルには昔から関心があるので、気が向いたら随時 Tweet するか、Blog に追記することにしよう。



・ Fatai Rolling Doller "Returns" (JAHO12CD)

 曲順が違うだけで基本的には旧盤 (JAH006D) 通りのようだが、収録曲が若干異なっている(1曲多い)。

・ Duro Ikujenyo and the Age of Aquarius "Ase" (JAHO09CD)

 Jazzhole らしいフュージョン臭のする緩いアフロビート。Yetoro (2004年) も連想させる。Robert Wyatt を音痴にしたような歌に腰砕け。Kiziah Jones が1曲参加。

・ Sina Ayinde Bakare "Inu Mimo" (JAHO10CD)

 F.R.Dollar や Tunde Nightingale らと世代の近いジュジュ・ギタリスト Ayinde Bakare の息子(とは言ってもすでに65歳らしい)の新作。3本のギター/ベースは彼の多重録音かな?

・ Seni Tejuoso "Easy Motion Tourist" (JAHO11CD)

 確か F.R. Dollar などとも活動していたシンガーだったはず。Ayinde Bakare がギターで参加。すっかり枯れたジュジュも味があって好きだなぁ。ハイライフやアフロキューバンもほどよくブレンドされている。



 今回は4枚ともデジパック仕様で、結構詳しい解説が添えられている。興味深い内容が書かれているよう期待。






by desertjazz | 2010-11-05 10:00 | 音 - Africa
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