クジラとゾウ

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 今年はアート関連の番組が面白い。初回に Stuff Benda Bilili が登場した『たけしのアート・ビート』は毎度楽しく観ているし(杉本博司の回も良かった)、今週は『世界が私を待っている「前衛芸術家 草間彌生の疾走」』2時間を一気に観て、さらには数ヶ月前に録画したままだった『若冲ミラクルワールド』6時間も3晩かけてじっくり鑑賞した。

 今日からは大阪・堂島リバーフォーラムで『堂島リバービエンナーレ2011』が開催されるので、いつ行こうか思案しているところであり、11月から始まる『ジャクソン・ポロック展』も待ち遠しい。アート関連の番組やイベントが充実してきているのではなく、最近また自分にアートを楽しむ余裕が少しばかり生まれて来たのだろう。

 それにしても『若冲ミラクルワールド』は出色の番組だった。伊藤若冲の魅力をたっぷり堪能できたことばかりでなく(正にミラクル・ワンダーランド!)、観ていて関心が他の領域にまで勝手に繋がっていくことでも刺激的だった(ハイビジョンの10数倍の解像度を持つスーパーハイビジョンの新しい使い道が示されていたことにも感心)。例えば、

・まず、日本画と布や紙との関連性
・次に、京都・大阪の上方文化の面白さ(今月も谷崎潤一郎を読み続けているだけにひとしお)
・そして、クジラとゾウの対話に始まる音についての思索

 などなど。美術作品は単体で鑑賞するばかりでなく、関連する/無関係なような様々なことと合わせて多面的に見ていくことでも、知的好奇心が刺激されることを改めて感じた。諸々のうち3点目についてだけ簡単にメモしておこう。

 番組の最後に、最晩年の作品『象鯨図屏風』を紹介していたのだが、クジラとゾウが対置されたこの屏風絵を観て思い出したのは、ライアル・ワトソンが亡くなる直前に出した『エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか』の内容。この本の中では、南アに生まれ育ったワトソンの少年時代の体験があれこれ綴られており、その最後の方で、ブッシュマンに連れられて行った先で、巨大なクジラと雌ゾウが対話している情景を目撃した話が出てくる。これは人間には聞き取れない超低周波での交信だったという(ここまでの話、記憶で書いているので、やや不正確かも知れない)。

 伊藤若冲がどうしてこのような構図の絵を描いたのかまで番組では語られていなかったが(そうした研究がすでにあるのかもしれないが)、若冲がブッシュマンの観たような世界を知っていたとは考えにくい。たまたま大きな動物を対置させただけなのかも知れない。しかし、鋭い感性を持っていた若冲のことなので、2つの動物から何かを感じ取ったのかも知れないなんてことも想像してしまう。

 そしてその先で、また「音についての思索」が始まる。このところも、武満徹が田中優子に対して語った「遠音」(『江戸の音』の中で、日本人は遠くからの響きを好むことを指摘)のことについてずっと考え続けているのだが、それが谷崎潤一郎の『陰影礼賛』とも結びつき合っていく。さらには日本の食文化とも繋がっていく。自分はこうしたことを考えているときがとても楽しい。この話はまたいつか。




(追記)

 夜はまた『若冲ミラクルワールド』を第1回から観直し始めてしまった。

 このブログは明日からしばらく夏休みに入ります。出かけた先では、伊藤若冲の作品も観てきたいと思っています。






by desertjazz | 2011-07-23 14:29 | 美 - Art/Museum

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 昨日25日は友人の天光眞弓さん(劇団青い鳥)からお誘いを受けて京都まで日帰り。(なので、週末旅行と言うほどでもない。)

 3.11 以来約3ヶ月半振りの京都。向かったのは京都東急ホテルのギャラリー Kazahana で開催されている『メガサリ版画展 バリからの神話』。メガサリさんはバリ島ウブドゥ在住の唯一の女性版画家で、モチーフはいかにもバリらしいが、その作品はバリ美術の枠から飛び出したオリジナルなものであるのが面白い。以前に較べると色数もインクの肉厚感も増しているようだ。それでいてよりすっきりした印象。周囲に光を放つような明るさ、生き物たちを慈しみ神に心託すような暖かさに惹かれる。



 メガサリさんはかれこれ15年前くらい前から知っている。彼女の自宅(&ギャラリー&ロスメン)はウブドゥのほぼ中央にあって、お邪魔する度に美味しいお茶で暖かくもてなしてくださる。しかし最近はお邪魔かなと思い、バリ滞在中も伺うことはなくなった。行きつけのレストラン Batan Waru のほぼ真向かいにお住まいなので、たまには寄せていただいても良かっただろうか。



 今回展覧会に行ったのは「新作はすべて3月11日以降に作られたものです。」と説明されていたからでもある。かつて 9.11 に影響された音楽が生まれたように、3.11 後の音楽や文学がどう変化するかにも関心がある(「反原発デモを経て」作られたサカキマンゴーの「Small」や細野晴臣の「放射能」などは、そうした作品の好例だと思う)。聞くとメガサリさんも震災後はしばらく制作意欲が失われたそうだ。それでもそれを脱した後の創作力が凄い。展示された10数点の新作はより明るく、より優しくなっている印象だ。祈り、復興を願う気持ちを形にできる芸術家というのは素晴らしいと思う。




 会場では天光さんとたっぷり話したが、それでは足りず、夜は一緒に京都駅に隣接する伊勢丹のレストランで会食(3/11 の時とまるで同じような行動パターンだな)。最近のバリ事情などについてもあれこれ伺う。それにしても彼女の話は相変わらず楽しい。





by desertjazz | 2011-06-26 08:00 | 美 - Art/Museum

アート週間

 このところかつてないほどにテレビ漬けになっている。震災/原発事故関連番組や "Amazing Voice" 以外では、先週と今週アート関連に面白い番組が多くて見逃せない。録画をまだ観ていないもの、これから放送されるものも含めて、とりあえずメモだけしておく(他にもいくつかあったがタイトルを忘れてしまった)。

・5/4『たけし アート☆ビート 堀木エリ子』
・5/11『たけし アート☆ビート 杉本博司』

・5/9『知られざる在外秘宝 1 北斎潮流』
・5/10『知られざる在外秘宝 2 発見された桃山のジャパン』
・5/11『知られざる在外秘宝 3 徹底分析・写楽全作品』
・5/12『知られざる在外秘宝 4 写楽・解かれゆく謎』

・5/14『NHKスペシャル 浮世絵ミステリー 写楽~天才絵師の正体を追う~』(再放送)

・5/?『若冲ミラクルワールド 大野智 meets 若冲』
・5/15『若冲ミラクルワールド 第1回』(再放送)
・5/15『若冲ミラクルワールド 第2回』(再放送)
・5/15『若冲ミラクルワールド 第3回』(再放送)
・5/15『若冲ミラクルワールド 第4回』(再放送)


 展覧会等へのお誘いもいくつか受けたのだが、なかなか時間のやりくりがつかない。そのうちに何とか時間をつくるようにしよう。







by desertjazz | 2011-05-14 11:00 | 美 - Art/Museum
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