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Jackson Pollock : A Century Retrospective_d0010432_19575724.jpg

 日帰りで大阪〜名古屋往復。愛知県美術館で開催中の『生誕100年 ジャクソン・ポロック展』を観てきた。

 今週11日に放送された『日曜美術館 ジャクソン・ポロック』(18日に再放送予定)を観て少し満足できたものの、同時に今回の展覧会への期待が膨らんでしまった。今後のスケジュールを考えると、名古屋に行けるのは今日だけだし、2月からの東京展(東京国立近代美術館)に行けるという確証もない。そこで急遽新幹線で名古屋に向かうことにした。(昨夜の酒がまだ抜けておらず、その勢いもあったかな?)

 20数年振りの名古屋。会場に着いたのは昼前で、平日ということもあって、客はさほど多くない(意外に思ったのは8〜9割が女性客だったこと)。60点ほどを作品を2時間かけてじっくり鑑賞。どれも独り占めにして観ることが出来たので、まるでヨーロッパの美術館にでも来ているかのよう。やっぱり今日来てよかった。

 予想した通り絶頂期の作品(40年代後半〜50年のポウリングによる大作群)は少なかったが、それらの中では、時価評価200億円ということが話題にされている「インディアンレッドの地の壁画」(1950年、テヘラン現代美術館)と「ナンバー7, 1950」(1950年、ニューヨーク近代美術館)はやはり凄い。どれだけ見つめていても飽きることがない。

 初期の作品が見せる多様性も興味深かった(初めて知ったことも多い)けれど、オリジナルな表現に到達し完璧な傑作群を完成させた後に次に進もうとする苦悩/苦闘の深さが、晩年の作品からひしひしと感じられた点も印象強かった。

 ポロックは実物を見ると、作品に対するイメージが断然違ってくる。どの時期の作品も眼前の数々の曲線が動きを見せている。ポウリングされたインクもじっと止まることがない。とにかく間近で見ると、激しい動きを感じる。

 日本に所蔵されている作品がこれほど多いとは知らなかった。2月に行った大原美術館の「カット・アウト」も展示されていたが、同じ作品を同じ年に異なる美術館で見るとは思ってもいなかった。

 ターナーに次いで好きな画家であるポロック。昔、NYC の MoMA のポロックを観に行った時、ポロックのフロアだけ改装中で観られず愕然としたことがあった。なので、ポロックをこれだけまとめて観たのは初めてのこと。「インディアンレッドの地の壁画」と「ナンバー7, 1950」はまた観たい。来年の東京展にも行こうと思う。





by desertjazz | 2011-12-15 20:00 | 美 - Art/Museum

民博『特別展|アイヌのくらし』(1)_d0010432_1881990.jpg

 快晴、さわやかな日曜日、吹田市千里万博公園の国立民族学博物館(みんぱく)へ。『特別展|千島・樺太・北海道 アイヌのくらし ードイツコレクションを中心にー』と関連イベント(研究公演)を観に出かける。


民博『特別展|アイヌのくらし』(1)_d0010432_1884289.jpg

 千里中央駅で降りて、長い道を太陽の塔を見ながら博物館へ向かう。みんぱくに来るのは12年振り(この時以来)。それにしても物凄い人出だ。自然文化園などが併設されており、オープンスペースでのイベントは家族連れで賑わっていた。


民博『特別展|アイヌのくらし』(1)_d0010432_18114185.jpg

 コレクションは結構充実していたと思う。ドイツに渡ったものなどは 19世紀に作られたとは思えぬほどに保存状態が良かった。個人的には、木製トレイや衣装、イクパスイのデザイン/造形美に魅入られた(展示品の中には、マレウレウのマユンさんが制作した作品もあるそう)。そうした意匠を見返すために図録も購入。これもしっかりした造りだった。

 14時からは「研究公演」へ。それが終わった後、主催者の方々をご紹介いただき、貴重な話を伺う。来週以降の関連イベントにも興味があるので、再度行くかも知れない。


(続く)





by desertjazz | 2011-10-16 23:01 | 美 - Art/Museum

クジラとゾウ

クジラとゾウ_d0010432_14285068.jpg

 今年はアート関連の番組が面白い。初回に Stuff Benda Bilili が登場した『たけしのアート・ビート』は毎度楽しく観ているし(杉本博司の回も良かった)、今週は『世界が私を待っている「前衛芸術家 草間彌生の疾走」』2時間を一気に観て、さらには数ヶ月前に録画したままだった『若冲ミラクルワールド』6時間も3晩かけてじっくり鑑賞した。

 今日からは大阪・堂島リバーフォーラムで『堂島リバービエンナーレ2011』が開催されるので、いつ行こうか思案しているところであり、11月から始まる『ジャクソン・ポロック展』も待ち遠しい。アート関連の番組やイベントが充実してきているのではなく、最近また自分にアートを楽しむ余裕が少しばかり生まれて来たのだろう。

 それにしても『若冲ミラクルワールド』は出色の番組だった。伊藤若冲の魅力をたっぷり堪能できたことばかりでなく(正にミラクル・ワンダーランド!)、観ていて関心が他の領域にまで勝手に繋がっていくことでも刺激的だった(ハイビジョンの10数倍の解像度を持つスーパーハイビジョンの新しい使い道が示されていたことにも感心)。例えば、

・まず、日本画と布や紙との関連性
・次に、京都・大阪の上方文化の面白さ(今月も谷崎潤一郎を読み続けているだけにひとしお)
・そして、クジラとゾウの対話に始まる音についての思索

 などなど。美術作品は単体で鑑賞するばかりでなく、関連する/無関係なような様々なことと合わせて多面的に見ていくことでも、知的好奇心が刺激されることを改めて感じた。諸々のうち3点目についてだけ簡単にメモしておこう。

 番組の最後に、最晩年の作品『象鯨図屏風』を紹介していたのだが、クジラとゾウが対置されたこの屏風絵を観て思い出したのは、ライアル・ワトソンが亡くなる直前に出した『エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか』の内容。この本の中では、南アに生まれ育ったワトソンの少年時代の体験があれこれ綴られており、その最後の方で、ブッシュマンに連れられて行った先で、巨大なクジラと雌ゾウが対話している情景を目撃した話が出てくる。これは人間には聞き取れない超低周波での交信だったという(ここまでの話、記憶で書いているので、やや不正確かも知れない)。

 伊藤若冲がどうしてこのような構図の絵を描いたのかまで番組では語られていなかったが(そうした研究がすでにあるのかもしれないが)、若冲がブッシュマンの観たような世界を知っていたとは考えにくい。たまたま大きな動物を対置させただけなのかも知れない。しかし、鋭い感性を持っていた若冲のことなので、2つの動物から何かを感じ取ったのかも知れないなんてことも想像してしまう。

 そしてその先で、また「音についての思索」が始まる。このところも、武満徹が田中優子に対して語った「遠音」(『江戸の音』の中で、日本人は遠くからの響きを好むことを指摘)のことについてずっと考え続けているのだが、それが谷崎潤一郎の『陰影礼賛』とも結びつき合っていく。さらには日本の食文化とも繋がっていく。自分はこうしたことを考えているときがとても楽しい。この話はまたいつか。




(追記)

 夜はまた『若冲ミラクルワールド』を第1回から観直し始めてしまった。

 このブログは明日からしばらく夏休みに入ります。出かけた先では、伊藤若冲の作品も観てきたいと思っています。






by desertjazz | 2011-07-23 14:29 | 美 - Art/Museum

メガサリ版画展(週末旅行・番外編)_d0010432_9101778.jpg

 昨日25日は友人の天光眞弓さん(劇団青い鳥)からお誘いを受けて京都まで日帰り。(なので、週末旅行と言うほどでもない。)

 3.11 以来約3ヶ月半振りの京都。向かったのは京都東急ホテルのギャラリー Kazahana で開催されている『メガサリ版画展 バリからの神話』。メガサリさんはバリ島ウブドゥ在住の唯一の女性版画家で、モチーフはいかにもバリらしいが、その作品はバリ美術の枠から飛び出したオリジナルなものであるのが面白い。以前に較べると色数もインクの肉厚感も増しているようだ。それでいてよりすっきりした印象。周囲に光を放つような明るさ、生き物たちを慈しみ神に心託すような暖かさに惹かれる。



 メガサリさんはかれこれ15年前くらい前から知っている。彼女の自宅(&ギャラリー&ロスメン)はウブドゥのほぼ中央にあって、お邪魔する度に美味しいお茶で暖かくもてなしてくださる。しかし最近はお邪魔かなと思い、バリ滞在中も伺うことはなくなった。行きつけのレストラン Batan Waru のほぼ真向かいにお住まいなので、たまには寄せていただいても良かっただろうか。



 今回展覧会に行ったのは「新作はすべて3月11日以降に作られたものです。」と説明されていたからでもある。かつて 9.11 に影響された音楽が生まれたように、3.11 後の音楽や文学がどう変化するかにも関心がある(「反原発デモを経て」作られたサカキマンゴーの「Small」や細野晴臣の「放射能」などは、そうした作品の好例だと思う)。聞くとメガサリさんも震災後はしばらく制作意欲が失われたそうだ。それでもそれを脱した後の創作力が凄い。展示された10数点の新作はより明るく、より優しくなっている印象だ。祈り、復興を願う気持ちを形にできる芸術家というのは素晴らしいと思う。




 会場では天光さんとたっぷり話したが、それでは足りず、夜は一緒に京都駅に隣接する伊勢丹のレストランで会食(3/11 の時とまるで同じような行動パターンだな)。最近のバリ事情などについてもあれこれ伺う。それにしても彼女の話は相変わらず楽しい。





by desertjazz | 2011-06-26 08:00 | 美 - Art/Museum

アート週間

 このところかつてないほどにテレビ漬けになっている。震災/原発事故関連番組や "Amazing Voice" 以外では、先週と今週アート関連に面白い番組が多くて見逃せない。録画をまだ観ていないもの、これから放送されるものも含めて、とりあえずメモだけしておく(他にもいくつかあったがタイトルを忘れてしまった)。

・5/4『たけし アート☆ビート 堀木エリ子』
・5/11『たけし アート☆ビート 杉本博司』

・5/9『知られざる在外秘宝 1 北斎潮流』
・5/10『知られざる在外秘宝 2 発見された桃山のジャパン』
・5/11『知られざる在外秘宝 3 徹底分析・写楽全作品』
・5/12『知られざる在外秘宝 4 写楽・解かれゆく謎』

・5/14『NHKスペシャル 浮世絵ミステリー 写楽~天才絵師の正体を追う~』(再放送)

・5/?『若冲ミラクルワールド 大野智 meets 若冲』
・5/15『若冲ミラクルワールド 第1回』(再放送)
・5/15『若冲ミラクルワールド 第2回』(再放送)
・5/15『若冲ミラクルワールド 第3回』(再放送)
・5/15『若冲ミラクルワールド 第4回』(再放送)


 展覧会等へのお誘いもいくつか受けたのだが、なかなか時間のやりくりがつかない。そのうちに何とか時間をつくるようにしよう。







by desertjazz | 2011-05-14 11:00 | 美 - Art/Museum