Youssou N'Dour - Official Videos

 先日入手した Youssou N'Dour の最新ビデオ "Le Grand Bal 2017" を繰り返し観て、当日のことを思い出しながら楽しんでいる。

 ところで、彼の映像作品はどれだけリリースされているのだろう。そう思って、手元にあるアイテムを並べてみたら、オフィシャルものだけでも40本ほどあった。以下、軽くご紹介。


(1)VHS テープ

 Youssou N'Dour のプロダクション Jololi からリリースされたものなど。大半が PAL / SECAM フォーマットなので観ることができない(日本の NTSC とは異なる方式)。DVD へのコピーに出すと高いし、かと言って捨てることもできないでいる。セネガルでリリースされたビデオはまだまだあるはずだが、全貌を把握することは不可能。自分でもまだ他に持っていたはずなのだが、もう観ないので物入れの奥にしまったか、あるいは処分してしまったか? 同時期(80年代〜90年代)には Peter Gabriel との作品が LD 等のフォーマットでも出ている。(これらも奥にしまったままなので、面倒なので今回は引っ張り出さず。今回は取り出さず。興味のある方は、こちらのディスコグラフィーをどうぞ。)ビデオのリリース履歴から察するに、グランバルが始まったのは1999年? このころは、パリの他に、ニューヨーク、アトランタ、ワシントンなどでも開催されていた。

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(2)DVD - Le Grand Bal / Bercy

 パリ Le Grand Bal の DVD。

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(3)Live DVD

 Le Grand Bal 以外のライブ盤。

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(4)Others

 Jololi からリリースされたアイテムなど。右下は、CD-ROM によるマルチメディア(日本版)。長年のファンならば持っているはず。

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(5)Festivals, etc.

 Youssou N'Dour 単独作以外のアイテム。フェスティバルに出演した記録など。この類は他にもまだまだあったはず。

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(6)映画関連の DVD

 上の2本は Youssou を主役に据えたドキュメンタリーのサントラ。左下は Youssou がテーマ曲を提供したアニメーション映画。右下は Youssou が出演 (!) した映画。

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 まだまだありそうなのだが、棚や保存箱に並んでいるものだけ取り出してみた。きちんと整理してディスコゴラフィーをアップデイトしたい気持ちもある。しかし、オフィシャル以外のものも含めて、今はネットを通じて観られるものがとても多く、こうした資料を整理することにどこまで意味があるのかという疑問も抱く。







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by desertjazz | 2018-05-28 00:00 | 音 - Africa

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前回の記事の続き)

 昨年11月にパリで開催されたグランバル Le Grand Bal 2017、4年前の 2013年の時も CD が3タイトル( "Vol.1, 2, 3" )リリースされた。だけれど、そのビデオはいくら探しても見つからない。パリのシャトールージュの店で尋ねても「ないよ」という答え。(これは「作られていない」という意味だったのか?、それとも「売り切れた」という意味だったのか? 過去グランバルは毎回映像版も発表されてきたので、前回 2013年にも作られたのではないかと今でも考えている。)しかし今回は CD版と合わせて映像版もリリースされた。嬉しい! それが驚くことに、何と USB フォーマットで!

 この USB、トータル 11.3Gb のサイズで、3つのファイルに分かれている。

(1) Bercy 2017: グランバルの Youssou パートをほぼ完全収録した映像。3時間38分24秒
(2) La Suite de Bercy 2017: スタジオ・セッション。38分16秒
(3) Son Bercy 2017: Bercy 2017 と La Suite de Bercy 2017 の全音源。CD、映像版に未収録のものも含めて全29トラック。



(1) Le Grand Bal 2017 (Bercy 2017)

 Le Grand Bal 2017 を改めて観直すと、会場で感じたことを再確認したり、新たな発見があったりする。サウンドがクリアで、映像もディテールまで記録されているので、会場で味わった雰囲気とはまた別の楽しみ方ができる。

・Youssou は最初から最後までほぼ踊りっぱなし。すごい体力だ。

・Youssou と Babacar が交わすインタープレイが最高! Babacar はサバールを激しく打ち叩きながらパーカッション・アンサンブルをコントロールし、マイク持てば Youssou と対等のアジテーション。彼はグランバルにおけるもう一人の主役。

・2013年と2017年とで、演奏曲目の重複がほとんどない。今回は "Set" も "Immigres" も "Baykatt" も出さずに約4時間。凄すぎる。

・"Medina" と "Senegal Rekk" の2曲が白眉。Youssou は最高だし、バンドも昇天ものの演奏。

・Youssou のヴォーカルは勿論のこと、Super Etoile de Dakar の繰り出すサウンドが凄まじい。自分は、1999年にダカールでライブを観て以降、Youssou の声以上に、Super Etoile のバンド・サウンドに惚れ込んでいるのかもしれない。

 等々、新たな感想を多々抱きながらも、ライブの内容そのものに関しては、基本的には実際に観た際のリポートに加えることはほとんどない。以下、補足コメントを添えてご紹介。


 * ( ) は running time


(00:00:00) Opening

Le Grand Bal のオープニングでセネガルからの出発〜会場到着のメイキングビデオが映し出されるのは、毎回恒例のこと。22時丁度に到着の様子を伝えるビデオ(もちろん事前収録したもの)がスクリーンに流れた。と言うことは、今年も、、、?

(00:01:08) (1). Intro - El Féno

毎回スーパースターに似つかわしくない登場の仕方で楽しませてくれる Le Grand Bal。今回も客席で大爆笑! それにしても Youssou に向けられた数百数千のスマートフォンの光が尋常じゃない! この曲に限らず、パーカッション4人を写すカットが右方向視線上向きで、これがとても効果的だ。

(00:10:54) (2). Djino

緊張感漲る名曲。テンポアップした後半には毎度興奮させられる。Jimmy Mbaye のギター・ソロがいいなぁ! Jimmy ステージ前半では恍惚の表情を随所に見せて、ライブを楽しんでいる様子。

(00:17:29) (3). Nanette Ada

Assane Thiam(タマ)、Babacar Faye(サバール)、Youssou、Habib Faye(ベース)の4人がステージ中央に並んでお揃いのステップ。この4人こそが Super Etoile de Dakar の最重要なキーパーソンということなのだろう。彼らのダンスステップをワクワクしながら見つめていた。しかし、Habib は今年急逝。これが彼の姿を観る最後になったとは今でも信じられない。R.I.P.

(*以下のコメントは後日追記予定)

(00:24:20) (4). Leteuma
(00:34:47) (5). Teyeko

(00:41:36) Video-1

(00:43:53) (6). Serigne Fallou
(00:49:52) (7). Djamil - Guest: Titi (Ndéye Fatou Tine)
(01:00:15) (8). Serigne Mbacké Sokhna Lo

(01:08:25) Video-2

(01:11:25) (9). Xaliss
(01:19:42) (10). Be Careful
(01:26:22) (11). Senegal Rekk
(01:44:13) (12). Song Daan - Guest: Akon
(01:50:58) (13). Yonou Dégue

 [衣装替え]

(02:00:26) (14). Gorgui (Sama Doom)

Youssou はプロンプターの歌詞を食い入るように見つめながら歌っている。彼がメガネをかけてのには、こうした理由もあるのだろうか。

(02:07:10) Video-3
(02:08:47) Video-4

(02:10:20) (15). Mbëguel Is All - Guest: Sidiki Diabate
(02:19:59) (16). Medina
(02:32:25) (17). Ban La - Guest: Fally Ipupa

コンゴのスーパースターを迎えて、セネガル vs コンゴという演出。まるでウエストサイド・ストーリーのダンスシーン。(02:34:30) にはまるで手品のような瞬間が。何度見ても何が起きたのか分からない。

(02:40:11) (18). Na Woor - Guest: Pape Diouf
(02:52:01) (19). Awa Gueye - Guest: Viviana Chidid

2000年にダカールのクラブ・チョサンで Viviane のライブを観た時には、ペナペナの薄っぺらい声だと思ったが、今は力強い声に変わっている。その変化は彼女の CD を聴いても感じられたこと。

 [衣装替え]

(03:05:28) (20). I Love You
(03:11:50) (21). My Hope Is In You - 7 Seconds - New Africa

(03:17:20) Speech - (22). Birima

長老たちによるスピーチは、まるで Youssou を讃える大プレイズ会といった様相。

(03:27:51) (23). Yité

この期に及んで Youssou は客席にダイブ寸前。メンバー紹介を終えて彼がステージ袖に消えた瞬間(まだ演奏は続いている)、フロアの観客たちが出口への大移動。「ファティゲー?」との呼びかけに反応する声が段々弱まっていたので、みんな疲れ切っていたのだろう。それでも会場から外に出ると、誰もがたむろって話込んでいるものだから、そこから抜け出すのにひと苦労。電車も地下鉄も動いていないので、このまま朝まで盛り上がり続けたのだろう。


(2) Les Studios de la Seine - Paris (La Suite de Bercy 2017)

(00:00:00) Speech by Youssou N'Dour

(00:00:26) Serigne Modou Bousso
(00:05:39) Africa Remembers
(00:15:30) Daby
(00:20:54) Sama Gamou
(00:27:17) Thioul Anta

(00:33:58) Ending
(00:34:45) Speech by Didier Drogba


Africa Remembers がすごい。後半にサバールが加わることで、"Eyes Open" の時のサウンドからずっとブラッシュアップされている。離れていても Youssou と Babacar のコンビネーションが見事。

Youssou の背後でスマートフォン片手に上機嫌なガイ、誰かと思ったら、コートジボワールのスーパースター、ディディエ・ドログバ Didier Drogba だった!

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(3) Son Bercy 2017

Le Grand Bal 2017 (Bercy 2017) と Les Studios de la Seine - Paris (La Suite de Bercy 2017) の全てのサウンド・ファイル 29個。CD 未収録の4トラック/映像版未収録の "Bul Nangu" も含む。

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by desertjazz | 2018-05-27 00:00 | 音 - Africa

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 Youssou N'Dour and Super Etoile de Dakar が、昨年11月18日にパリの Accorhotels Arena(旧ベルシー体育館)で開催した巨大コンサート、グランバル Le Grand Bal。そのライブ盤 "Le Grand Bal 2017 Vol.1" と "Le Grand Bal 2017 Vol.2" がリリースされた。これでグランバルのライブ CD は3タイトルになった。ところが、なぜか新作2枚にはトラックリストが記載されていない。そこで CD を聴きながら調べてみた。CD3枚に収録された曲は以下の通り。


 * ( ) は Le Grand Bal 2017 での演奏順
 * (SS ) は Les Studios de la Seine - Paris での曲順


Youssou N'Dour and Super Etoile de Dakar "Le Grand Bal 2017 Vol.1"

1. (3) Nanette Ada 6:51
2. (4) Leutema 9:43
3. (5) Teyeko 6:53
4. (6) Serigne Fallou Mbacke 5:44
5. (8) SSML (Serigne Mbacké Sokhna Lo) 7:53
6. (9) Xaliss 8:11
7. (10) Be Careful 5:36
8. (11) Senegal Rekk 17:18
9. (12) Song Daan - Guest: Akon 6:41


Youssou N'Dour and Super Etoile de Dakar "Le Grand Bal 2017 Vol.2"

1. (13) Yonou Deugeu 10:01
2. (16) Medina 12:53
3. (17) Ban La - Guest: Fally Ipupa 7:16
4. (18) Na Woor - Guest: Pape Diouf 11:15
5. (19) Awa Gueye - Guest: Viviana Chidid 13:29
6. (20) I Love You 6:06
7. (23) Yité 10:39


Youssou N'Dour and Super Etoile de Dakar "Le Grand Bal 2017 Raxas"

1. (1) El Fénomeno 9:19
2. (2) Djino 6:43
3. (15) Mbëguel Is All - Guest: Sidiki Diabate 8:53
4. (7) Djamil - Guest: Titi (Ndéye Fatou Tine) 10:22
5. (21) New Africa 5:33
6. (SS2) Africa Remembers 9:54
7. (SS5) Sama Gamou 6:20
8. (SS1) Serigne Modou Bousso Dieng Mbacké 4:59
9. (SS3) Bul Nangu 5:08


 昨年のグランバル Le Grand Bal 2017 は開場から7時間に及ぶとても長いものだった。その前半の前座約2時間は CD では全てカット。Youssou 登場後のビデオタイム4回もカットされていて、肝心な Youssou たちのパフォーマンスだけをたっぷりそのまま楽しめる内容になっている。ただし、公演14曲目 "Gorgui" と22曲目 "Birima" は未収録。長老たちによる Youssou への大プレイズ会になった "Birima" のカットは仕方ないとしても、"Gorgui" が外されたのは惜しい。

 また "Le Grand Bal 2017 Raxas" の後半4曲は、ベルシー公演直前?にもたれた Les Studios de la Seine - Paris から。ただしこのスタジオ・セッション全6曲中の2曲も CD には未収録。

 Le Grand Bal 2017 収録トラックには長尺なものが多い。これは曲の後半でダンス大会になっているから。会場で直に観ていても、ビデオで観直しても、少々ダレる緩さを感じたのだが、音だけだと割合集中して聴ける。これはサバール等のパーカッションを全面に押し出したトランシーなビートの成せるワザかも?

 それにしても、今の Super Etoile de Dakar のサウンドの充実ぶりは素晴らしい。その凄さは、"Senegal Rekk"、"Medina"、"Africa Remembers" の後半などを聴くだけでも十分に伝わるだろう。

 
 Le Grand Bal 2017 と Les Studios de la Seine - Paris、両者を収録した映像版もリリースされた。それを含めた昨年のグランバルの紹介は次回に。

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 自分が生で観たライブ音源がオフィシャルでリリースされるのはレアで嬉しいこと。そう思って、一昨年と昨年に観た Bruce Springsteen & The E Street Band のライブ(2016年3月13日のオークランドと、2017年2月7日&9日のシドニー)の CD も買った。自分が堪能したライブを自宅で再現できるのはありがたいことです。


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(続く)






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by desertjazz | 2018-05-26 00:00 | 音 - Africa

Kassé Mady Diabaté R.I.P.

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 Kassé Mady Diabaté の訃報が流れていますね。情報の発信元が Syllart Records なので、間違いないでしょう。残念です。


'Kassé Mady Diabaté, Allah la ina ila, RIP. Merci pour tout. Nous sommes tristes aujourd’hui, un monument de la culture mandingue des djelis et des musiques africaines vient de nous quitter. Son œuvre restera à jamais. '


 このところ、大好きなアフリカのアーティスたちが相次いで亡くなるなぁ。







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by desertjazz | 2018-05-25 12:00 | 音 - Africa

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 地中海に面するフランスの港町マルセイユはこれまで何度訪れただろう。きちんと数えたことがなかったので調べてみた。

 最初が 1995年12月〜1996年1月。その後 2006年1月、2006年10月、2009年3月、2012年10月、2015年10月、2016年11月と、計7回滞在している。(Fiesta des Suds に観に行ったのはわずかに3回と意外と少ない。それより、寒い時期にしか訪れていないことに今気がついた。)

 20年以上昔に出張で初めて訪れた時(マグレブ移民に関するものでヒップホップも取材した)には、まさか繰り返し来ることになるとは全く想像もしなかった。そうなったのには、やはり Massilia Sound System を筆頭とするオクシタン音楽(と Fiesta des Suds と Babel Med Music )との出会いが大きい。

 そんなマルセイユ、行くほどにどんどん好きになる。そしてこの街についてもっと知りたい。そう思って、深沢克己『マルセイユの都市空間 ー幻想と実存のあいだでー』(刀水書房、2017年)を読んでみた。

 楽に読めるかと思いきや、とにかく文章が硬いし、回りくどい。特に近世までについて書かれた第三章までが(自分がフランスの歴史に疎いために、数多い固有名詞についていけなかったこともあるが、一文一文が長すぎて流れが悪いと感じた)。それでもギリシア人の流入に始まる2600年の歴史は把握できたし、入り江ラキュドンが港(現在の旧港)へと変化して行く様や、主要道の変貌する様子などは興味深く読めた。時代ごとに織り込まれた地図が理解を助ける。旧港入り口の両側に立つ、見慣れたサン=ジャン要塞とサン=ニコラ要塞が、実はパリ政府がマルセイユに睨みを効かせるものだったのは!

 現在のマルセイユの姿は、都市計画の大失敗の結果なのだとか。フランスの他の都市とは違って、ここには中央広場も特別な観光スポットもない。ラ・マジョール司教座大聖堂にしても、共和国通りにしても、エスク門の凱旋門にしても大失敗作で、人々は全く愛着を持っていないとのこと。だから、どこもいつも閑散とした雰囲気で全く存在感がないのか。大笑い! そしてその失敗の歴史は現在の都市計画にも受け継がれているのかもしれない。(最近マルセイユに行かれた方ならそう感じられるかも?)

 日々海外の小説などを読みふけっているが、そこにマルセイユが予期せず登場する頻度がとても高い。マルセイユはそれだけ歴史的にも重要な街なのだろう。しかしそれ以前に「マルセイユがまた呼んでいる」と思ってしまう。恋しいマルセイユ、今度はいつ行けるのだろうか? できれば次回は夏がいいな。







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by desertjazz | 2018-05-22 18:00 | 本 - Readings

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 塚田健一の著作を集中的に読んでいる。先日の『アフリカ音楽学の挑戦―伝統と変容の音楽民族誌』に続いて、『世界は音に満ちている』 (2001年) と『文化人類学の冒険 人間・社会・音楽』(2014年) を一気読み。ガーナやザンビアを中心としたアフリカの音と音楽を巡る考察を期待して読み始めたのだが、1993年以降月刊誌に連載したエッセイをまとめたものだった。内容は多岐に及び、『世界は音に満ちている』では日本への深い憂慮にも至る。

「日本は明治期に持ち前の器用さでほかに類を見ないほどの速度で短期間にその近代化を成し遂げ、西洋文化をたくみに摂取してきた。ところが、どうも日本人はこの明治期の「西洋」という衝撃に対して、自分を表現するよりも、むしろそれに「のみこまれる」ことになかに精神的な安堵を見いだしてきた観がある。(...) この近代日本精神史のなかに見え隠れするごまかしが結局集団としての日本人を西洋に対して根源的に自信のない国民にしてきたと僕は考えている。」(P.166)

「(...) 複数民族とはいえ、日常的にそうした共生感覚をほとんどもち合わせていない日本と日本人は、そして一国のなかで他民族と共生することを暗に拒んでいるようにさえ思える日本と日本人は、いつしかそのためにたいへんな精神的・物理的代償を支払わねばならなくなるかもしれない (...)」(P.180)

「では「日本人は社交が下手」という海外での定評はどうなのだろう。そのぎこちなさこそ、まさに歴史のなかで他民族と共存・共生することを学んでこなかった民族の精神的風土が創りあげたものなのだとぼくは考えている。」(P.183)

 電車の中での携帯電話による「かなりプライベートなゴシップ」のやり取りを観察して、「その共同体に生きる人々にとっては、その共同体の外に住む人々はあっていないも同然の存在、見えて見えない存在なのだろう。そうした共同体の自己中心主義あるいは自己完結性は、たぶん今日の若い人々の生活感覚をまことによく反映したものなのだろうと思う。」(P.210)

(音/音楽に関しては、パリのオペラ、ジャコモ・マイヤーベーアの「アフリカの女」をとっかかりにしたワールドミュージック都市パリについて (P.40) や、バリの竹細工ピンジャカンと欧州のカリヨンとのサウンドスケープ的同質性について (P.56) などに興味を覚えた。)

 続編作『文化人類学の冒険 人間・社会・音楽』においても、「国際的な場で通用するような会話力や社交術、国際常識やエチケットなどを身につけた人材を、日本が今後あらゆる分野でどんどん輩出するようにならないと、日本は世界の趨勢から完全に取り残される、ということを言いたいのである。世界のリーダー格気取りでいると、気がついた頃には中国にも韓国にも先を越されて、日本はいずれ世界のなかで「平凡な三流国」に転落してしまうだろう。」(P.104-105)

 研究書ではなく、著者が感じたことを綴ったエッセイである分、果たしてそうかな?と思う指摘も多いが、氏の危惧するところは現状ますます悪化しているように思う。特に「平凡な三流国」に転落するという予言には完全同意。いや、すでに転落している?



 塚田健一はかつて、クラシック音楽の成立以降、音楽を「演奏する側」と「聴く側」に分離してしまったことを批判的に書いていたことを思い出した。その点で自分は彼の論から多分に影響を受けていると言えるだろう。

 この機会に『アフリカの音の世界 音楽学者のおもしろフィールドワーク』 (2000年) 、『アフリカ音楽の正体』(2016年) 、坂本龍一との共著『commons: schola vol.11 - Traditional Music in Africa』(2012年) も読み直してみよう。







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by desertjazz | 2018-05-21 22:00 | 本 - Readings

R.I.P. I Ketut Suwentra

 バリ島の友人から急報。ジェゴグ楽団 スアール・アグン Suar Agung のリーダー、スウェントラ I Ketut Suwentra 氏が本日14時に肺ガンで亡くなったとのこと。アグン村の彼のご自宅を訪れて、巨竹ジェゴグの音を実体験できたことは良い思い出です。スウェントラ夫妻とは度々会ってお話しできたことも嬉しかった。急逝されたことは、とても残念です。合掌。



 追記

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 これは約20年前に体験した、スウェントラさんのご自宅での演奏風景(自身の Website からコピーしてきたので、画質が悪い。ちゃんとスキャンし直さなくては、、、)。スアール・アグンのライブは、昨年、目黒のパーシモンで観たのが最後になってしまった。お邪魔かと思って、あの時は挨拶しにも行かなかったが、最後にもう一度お会いしておけばよかった。







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by desertjazz | 2018-05-10 21:15 | 音 - Music

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 ガーナに関するネタが続いた流れで、今年2月に読んだ小説のご紹介。

 ヤア・ジャシ Yaa Gyasi は1989年ガーナ生まれの女性作家(現在はアメリカ在住)で、『奇跡の大地』は彼女のデビュー作。出版以来、世界各国で話題になっているとのこと。

 ファンティとアシャンティという(現在ガーナという国の土地に生きる)アカン人の2つの系統に属する、2つの家系の人々、主要人物に限ってもおよそ20人の、200年を超える壮大な年代記。ファンティとアシャンティの、奴隷貿易を通じた両者の関係、対立・戦闘、そこに深く関わるイギリス人(実際主人公の多くは白人との混血でもある)、そして奴隷として送られたアメリカ。そうした時代の流れに翻弄された人々の壮絶な物語は自ずとアレックス・ヘイリーの『ルーツ』を連想させる。

 約20人の主人公たちは、主人公たるだけのエピソードを持っているのにも関わらず、語り尽くされていない感が強い。それなりにしっかり描かれているのだが、通読すると筆致が浅い印象を受ける。ただの歴史の羅列に感じられるのだ。なので、邦訳で400ページ近い作品でありながら、最低でもこれの3倍のテキスト量は必要だったし、それだけの作品になりうる素材を揃えられていたと思う。(ただし、デビュー作で大長編を書くだけの環境はなかっただろうと思う。また、それだけの大作をものにする筆力が彼女にあるかどうかも未知数だ。)

 この小説のエンディングは、伏線の張り方から考えて、これしかない。いや、想定以下だった(なので、彼女の筆力は未知数だと感じた)。もっと深みを持たせる方法があったはず。

 それでも、内容豊富な充実作。ハイライフ・ミュージック含めて、ガーナ音楽に関心があるならば、ここで書かれている歴史的背景くらいは知っていて損はないと思う。



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 今年1月にニューヨークでブルース・スプリングティーンの Springsteen On Broadway を観る前後に読んでいたのは、この『奇跡の大地』や、ロビン・ケリー『セロニアス・モンク 独創のジャズ物語』、タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』など、偶然にも黒人奴隷の末裔の作品が多かった。(スプリングティーンのプレミア・チケットを得て以来、NYC が呼んでいる?)ニューヨークなどで暮らす黒人たちの苦闘を読み続けて、アメリカという差別社会で生きることを語ることは終わりのないテーマなのだろうと考えさせられたのだった。






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by desertjazz | 2018-05-10 14:04 | 本 - Readings

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 塚田健一『アフリカ音楽学の挑戦 伝統と変容の音楽民族誌』(2014) を読了(完読は今年31冊目)。

 ザンビア北西部に住むルヴァレ人の、少年たちの通過儀礼で歌い奏でられる音楽を中心とした研究と、ガーナ沿岸部ケープコーストなどに住むファンティ人の宮廷音楽に関する研究、それのこの両者から演繹される論考。ルヴァレ音楽に関しては、精密な採録楽譜に基づきながら、そのリズム、ハーモニー、歌詞等々について論を展開する。学術論文に近い筆致であるだけに、一見当たり前のことをくどく語られている気分になるのは仕方ないところ。地理的にヒュー・トレイシー Hugh Tracey の採録やマイケル・ベアード Michael Baird の調査と結びつくものも期待したが薄かった。それでも、ルヴァレ人と我々(日本人、欧米人)との音楽の異同の捉え方が異なる理由を論駁するあたりは面白かった。

 しかし、この本に興味を持った理由は後半のガーナ。「第12章 宮廷音楽ハイライフ様式の成立」を読みたかったから。そうでなければ、こんな高価な本など買うわけがない(と言いつつ、3年以上放置したままだった)。ファンティの宮廷音楽が幾段階の過程を経て、ポピュラー音楽ハイライフ的要素を受容し、大衆から絶大な人気を博していく様子が詳述される(より正確には、元々12拍子だった宮廷音楽が、近年興隆したカルチュラル・グループの影響を受けて、ハイライフ・リズムと近似した4拍子クラーベ・リズムを取り込んだ楽曲を生み出していく)。ファンティの宮廷音楽には歌を伴うのに対して、内陸部アシャンティ宮廷音楽は演奏のみで歌がないことにも興味を覚える。

「第11章 伝統的「著作権」意識の変容」も一読の価値あり。ジョン・コリンズのどの著作でも、ガーナとナイジェリアの音楽家協会の歴史と活動を取り上げていることとも響き合うように感じた。この本、ハイライフ以外についても彼の研究を頻繁に参照している。例えば、「ガーナでは、独立のはるか以前の二十世紀前半に「伝統的な」形式で娯楽音楽などさまざまな音楽ジャンルが新たに生み出されていたことをコリンズは明らかにしている」、「コリンズによれば、伝統と近代といった対立的な区分は西洋世界の創作であって、アフリカでは伝統的音楽はつねに創造され、再創造されてきたという」(ともに P.331)など。

(個人としても、世界中を旅して歩いて、著名ミュージシャンのものを含めて多数の歌と演奏を録音してきている。中には貴重なものも多く、「自由に使って構わない」と言われているものもあるが、非西洋圏における「著作権」に関して戸惑いがあるままなので、そうした録音は基本的に公開していない。)

 あとひとつ。アフリカのポピュラー音楽に興味があるので、日々関連文献を探しているのだが、新著(主にアメリカでの出版物)には、音楽そのものについてより、その社会性について論述するものが多いように感じていた(それで買うことを躊躇することが多かった)。『アフリカ音楽学の挑戦』を読むと、確かにその傾向はあるようで、「(...) それらが音楽の分析からほとんど完全に離れて音楽の社会史研究になっている (...) 」(P.40)、「アフリカ音楽史の歴史においては、(...) 構造的アプローチは (...) 社会史的アプローチにとって代わられ (...) 」(P.336) と書かれており、その理由にも触れられている。こうした傾向がもたらされたのには、他の理由も浮かぶとともに、アフリカ音楽を社会の中に位置付けて考える意味と必要性についても再考させられたのだった。



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 塚田健一さんの本はほとんど読んでいないかなと思いながら、書架をチェックしてみたら、『アフリカの音の世界』、『アフリカ音楽の正体』、スコラの『アフリカの伝統音楽』(スコラのプロジェクトとは少々関わりを持っていて、それとは別に献本いただいていた)の3冊は読んでいた。『アフリカ音楽の正体』は、ドラムで会話するという都市伝説?を打破した(慣用句はやりとり可能だが、あらゆる会話のやり取りは不可能)ところに、やっぱりと頷く。ルヴァレに言及した部分もあって、色々忘れているので、再読しようと思いながら、塚田さんの他の著作『文化人類学の冒険』『世界は音に満ちている』も手配した。






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by desertjazz | 2018-05-10 14:03 | 本 - Readings

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 塚田健一の『アフリカ音楽学の挑戦 伝統と変容の音楽民族誌』を読了(この本については別途紹介)。その参考文献リストをチェックしながら、前回の記事で取り上げなかった、ジョン・コリンズ John Collins の著作について調べてみた。

 それらのうちの1冊 "West African Pop Roots" (1992) が書架から出て来たので拾い読み。これはコリンズの最初の?著作 "African Pop Roots: The Inside Rhythm of Africa" (1985) に追補したものらしく、彼のその後の著作はこれを出発点として内容を膨らませていったようだ。「西アフリカ」とは言え、彼の著作全般が英語圏西アフリカ音楽に傾倒しているのと同様、ここでもガーナを中心に記述を展開している(英語圏だからなのか?南アにも一章割かれている他、リベリアの章も興味深い)。

 そのことを補うべく、仏語圏西アフリカに関しては Flemming Harrev が "Francophone West Africa and theJali Experience" の章を代わりに書いている。"The Lion" をリリースして世界進出するまでの Youssou N'Dour を中心にセネガル音楽史について語られていて、Youssou のダカールでのライブの情景や彼へのインタビューを読んで今から約30年前のことが懐かしくなってしまった。

John Collins "African Pop Roots: The Inside Rhythm of Africa" (W. Foulsham and Co., 1985)
John Collins "West African Pop Roots" (Temple University Press, 1992)

 ジョン・コリンズについては、彼がコンサート・パーティーに関して執筆した論文 "The Ghanaian Concert Party : African Popular Entertainment at the Cross Roads" もあったのだが、これを読むには著者本人にリクエストする必要があるらしい。興味はあるが、そこまでして読む必要はないかもしれない。

 John Collins "The Ghanaian Concert Party : African Popular Entertainment at the Cross Roads" (Ph. D. Dissertation, State University, 1994)




 ガーナのハイライフに関してはこんな著作も見つけた。今年7月に出版予定。どんな内容の本なのだろうか?

Nana Abena Amoah-Ramey + A.B. Assensoh (Foreword) "Female Highlife Performers in Ghana - Expression, Resistance, and Advocacy"


(仏語西アフリカのポップに関しては、昨年パリで入手した Florent Mazzoleni "Afro Pop: L'age D'or des Grands Orchestres Africains" が圧倒的に充実していると考えている。読んで紹介したいところなのだが、フランス語なのでいつ読み終えられるのか定かではない。)





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by desertjazz | 2018-05-10 14:02 | 本 - Readings

DJ