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 ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス テクノロジーとサイエンスの未来』読了。氏の前著『サピエンス全史』が現在までの人類史だったのに対して、新著は人類の未来予想に挑んだもの。全般的に面白く読めたものの、『サピエンス全史』が目を見張るような論考だった(特に前半)のに比べると、物足りなさや幾多の疑問も。

 基本3部構成で、第2部までが人類史のおさらい。そこから第3部で一つの可能性としての未来像を描く。様々な情報を駆使して論述される第2部までは今回も圧巻。いよいよ本題の第3部で論考が炸裂することを期待させる。

 しかしその最終部、『サピエンス全史』の後半に感じた失速感以上の物足りなさがあった。デイヴィッド・コープと EMI、アンジェリーナ・ジョリー、カラハリの狩猟採集民までを例に語るところにはワクワク。グーグルやフェイスブックを重視して語るデータ教にはかなりの程度、正しい現状認識なのかもしれない(人類の大半が無用者階級になってしまうという予測には、今の政治による弱者切り捨てとも通じるものを感じた)。

 やはり、予測のつかない未来について考えることに限界があるのか。終盤ほど冗長で繰り返しが多いし、ロジックの飛躍も感じる。著者が頭の整理をつけられていないようにも思えた。人類の未来に希望を持てる余地を残しているようでありながら、それらは前段部で否定してきたことばかりだったのでは。

 学術研究をベースにしていながら、なぜか哲学的雰囲気が香り続けているところが、難解に感じさせた。一度『サピエンス全史』に戻ってから、再読するのが良さそうだ。

 自分は、キリスト教的な神など存在せず、天国も死後の世界も空想だと思っている。だから、「人生など無意味」という意見にも同調する。なので、『ホモ・デウス』の描く未来が実現してしまうなら、人類の生などいよいよ空疎だなと思ってしまったのが一番の感想。




 読みたい本、読まなきゃいけない本が、ますます山積。時間がないので、この感想も取り急ぎ、軽めに。

 毎日読書を楽しめる人生は、それほど悪くないかもな??






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by desertjazz | 2018-09-30 20:00 | 本 - Readings

 マイケル・ヴィール Michael E. Veal が新作 "Michael Veal & Aqua Ife : Volume 2" を近日リリースすると発表。"Volume One" がリリースされたのが 2011年だから、7年ぶりとなる。それで思い出して、彼の幻のファースト・アルバム "Michael Veal + Aqua Ife / Afro-Kirlian Eclipse" を久しぶりに聴いてみた。やっぱりこのアルバムは凄いね!

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 イエール大学の音楽学者であるマイケル・ヴィールのことはどれだけ知られているのだろう。まず彼はフェラ・クティ研究の世界的権威の一人。"Fela: The Life and Times of an African Musical Icon" (1999) はフェラに関する文献の中で最高の1冊の一つなので、一読する価値はあるだろう。ただし、辞書にも載っていない用語(造語?)も多用されていて、かなり難解。

 フェラ・クティ研究の第一人者でありアフロビートに造詣が深いということで、トニー・アレンの自伝本 "Tony Allen: An Autobiography of the Master Drummer of Afrobeat" (2013) の共著者でもある(Introduction を書いている)。この本、ムチャクチャ面白いので、フェラのファンなら是非ご一読を!

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 驚かされたのは、"DUB" (2007) を出版した時。彼がジャマイカ音楽にも詳しく、こんな大著を著わすとは考えていなかった。この本、『DUB論』(2010)と題して邦訳もされましたね。

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 そのマイケル・ヴィールのもう一つの顔はミュージシャン。自身のバンド Michael Veal + Aqua Ife ではベースを演奏している。

 10数年前に完成しながらも発売に至らなかった "Afro-Kirlian Eclipse" なのだが、久々聴き直して改めて唸ってしまった。1曲目 "Sunship"、2曲目 "Super Nova"(Wayne Shorter のカバー)はアフロビートとビッグバンド・ジャズのミックスといった様相。ボトムの重いサウンドに震えます。そこにエレクトリックな要素やノイズなどが絡む。個人的には最高のアフロビート・ジャズだと思っている。#もしこの作品について記憶している方いるとすれば、菊地成孔さんとの対談がその理由だろう。菊池さん曰く「これすごい。素晴らしい。」(『聴き飽きない人々 〈ロックとフォークのない20世紀〉 対談集完全版』2007年、P.27)。そうでしょ! 菊池さんにお聴かせしたのは、私が一番好きな "Super Nova"。これを聴いて連想するのは菊地雅章 "Susto" 収録の "Circle/Line"。 強烈なループ/グルーヴ感って、両者に共通していると思う。だから、DCPLG で "Circle/Line" をカバーしている菊地さんが反応するのは当然でしょうね。

(※ Disk Union でも取り上げられた。https://diskunion.net/latin/ct/news/article/1/22766

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 さて、マイケルの新作 "Volume 2"、彼からの私信によると、"Super Nova" も収録されているとのこと。彼の最高作がようやく正式リリースされる! それはどのテイクになるのだろう? "Afro-Kirlian Eclipse" のマスターテイクでも構わないのだが、今改めて聴くと演奏にもミックスにもブラッシュアップする余地が大きい。ライブでの演奏も重ねてきているので、きっと完全な新録になることだろう。

 新作を心待ちにしながら、"Michael Veal & Aqua Ife : Volume One" や彼がソプラノ・サックスを吹いている異色作 "Michael Veal's Armillary Sphere / Anyscape" (Rec. 2008) を聴くことにしよう。

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by desertjazz | 2018-09-24 22:00 | 音 - Africa

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