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◆ 7月23日(火)

 旅も終盤、土産のチーズを買うことにする。徒歩圏内にあるチーズ店を Google 検索して、評価の高い2つの店に行ってみた。どれもが美味しそう。スーパーでもパッケージされたチーズを気軽に買えるが、こうした専門店で切り分けてもらうものの方が、美味しいような気がする。

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 昼食兼ねて散歩。友人宅周辺には目ぼしい店を見つけられなかったので、アフリカン・レストランとレコード店が集中しているジュリアン広場方面まで歩いて行った。途中、Baja Frequencia などのアーティストを抱える Chinese Man Records のオフィスに立ち寄ってみたものの、特に収穫はなし。マルセイユのヒッポホップに関してはまた次回としよう。

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 Tangerine と Galette で、LP をまたひと山購入。Toko Blaze の "Tropical Cut" が完売と知ると、意地でも手に入れたくなるという面倒な性分。でもそのおかげで、"Tropical Cut" のヴァイナルも見つけました! Papet J のソロなど、欲しかった Massilia Sound System 関係のレコードも全て入手。しかし、荷物がどんどん増えていく。

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 カプチンの商店の並ぶ通りにももう一度行って見た。狭い路地には小さな平台に雑貨(充電器だとかライターだとかサングラスだとか)を並べて売る男たち。懐かしい。30年ほど昔、1995〜96年にここに来たときには彼らを取材したのだった。その時こうして売られているものには盗品が多いと聞いた記憶があるのだが、本当だろうか(流石にこの様子は写真に撮れない)。

 昼過ぎとあってレストランはどこも激混みで、危うく昼食難民となりかける。気になっていたレストランはいずれも昼は営業しておらず、妥協して最近できたらしいセネガル料理の店に入ってみる。チェブジェンのしたかったが、昨日食べたばかりだと思い直してプーレ・ヤッサにしたのだが、これが見事に外れ。強烈に渋いジンジャー・ジュースは美味かったし、店の人たちも皆フレンドリーだったので、まあ良しとしよう。

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 友人宅に帰る前に La Paline で一杯。生ビール1パイントが5〜7ユーロ、パスティスが 1.8〜2ユーロと、意外と安い。それなら散策の度にもっと飲んでもよかったかな。


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 夜は誘われて隠れ家的なピザ屋へ。トリノ風の薄焼きで、これが美味かった。食べたいものを選んでというので、メニューに目を通してアーティチョークのピザにする。日本ではアーティチョークはあまり売られていないし、あっても高いと話すと、少し驚いた様子だった。ましてやアーティチョークのピザなんて、相当珍しいのでは? それも含めてどれも美味しくて大満足。

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(後日譚)

◇チーズを日本に持ち帰るアイディア

 欧州を旅する楽しみの一つはチーズ。美味しいチーズを安く買えるので、ホテルでそれらをつまみながらワインを部屋飲みすることも多い。

 今回マルセイユでもチーズ専門店で色々買ってきた。どの国の店でも切り分けたチーズを紙に包んでくれるのだが、今回一つの店では「日本に持ち帰る」と話すと真空ラップしてくれた(ただし有料)。

 問題はこれらをどのように持ち帰るかだ。ホテルの冷蔵庫に冷凍機能がなかった時には、チェックアウトして空港に向かう直前にスーパーマーケットで冷凍野菜を買って保冷剤の代わりにした(その時は最小サイズのブロッコリー)。

 今回は滞在先(友人宅)の冷蔵庫が使えたので、保冷袋に加えて小ぶりな保冷剤も持ってきた。けれど、チーズを大量に買いすぎて、それでは足りないかとしばし思案。それで思いついたのは、ジップロックに水を入れて凍らせ保冷剤の代わりにすること。

 マルセイユ最終日も気温30度をはるか超えていて、その中を空港まで移動し、それからほぼ1日かけて帰宅した。流石に氷は水に戻っていたものの(それでもまだ冷たい)、チーズはしっかり冷えたままだった。 ・・・ご参考まで。(写真は持ち帰ったチーズの一部)

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# by desertjazz | 2024-07-23 23:00 | Trip - Abroad

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◆ 7月22日(月)Part 2

 マルセイユにやって来ると時々会って話を聞いているレゲエ・シンガーのトコ・ブラーズ Toko Blaze。今回当初は 20日に会う約束だったが、1日、また1日と伸びて、今日の 18時に La Plaine のバーで待ち合わせに変更。

 少し早めに着いたので、時間潰しに、すぐ近くにあるレコード店 Galette Records を覗いてみた。すると Massilia Sound System の "Single Box Volume 2" がある! やっと見つけた! これもネットで買うと送料が高くつくので、手を出せずにいたアイテムだった。カウンターに持ってくと、店主曰く「ホントに買うのか?」と一言。確かに 95ユーロは高いが、Massilia 関連の作品は資料として一通り持っていたい。「彼らは友人なんだ」と話すと、話が盛り上がった(それで「友人だから」と言って少しディカウントしてくれた)。

 この店は Massilia 一派とも付き合いが長いらしく、店の前の路上で行われたライブの写真などが店内に飾られていた。

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 18時、トコとしばらくぶりに再会し乾杯。この時間になってもまだまだ暑いので、生ビールが最高に美味い! そして 11月にリリースするニューアルバムに関することを中心にインタビュー、、、というより、2人で飲み歩くこととなった。彼の経歴について改めて確認させてもらったりもしたが。

 2020年にリリースした前作 "Tropical Cut" が良いアルバムだったので、今回まとめ買いしたいと相談していた。しかし残念ながら CD も LP も完売とのことで、実際彼自身もストックを持っていないという(Web Store でも 'Out of Stock' であることは確認済み)。その代わり、彼が最近出した本 "Carnaval des Bagnards" をプレゼントしてくれた。これも欲しかったので嬉しい!(この本 Moussu T こと Tatou が序文を寄せている。2冊くれたので1冊はどうしようか?)

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 トコの新作は Massilia Sound System / Oai Star の Gari Baldi のプロデュースの下、制作は完了。"Tropical Cut" などもそうなのだが、トコ・ブラーズの作品は毎度様々なゲストが参加してカラフルなサウンドになっている。しかしミュージシャンを多く使うとコストがかかるので、最近は Gari とキーボード奏者との3人で制作しているとのことだった。なので、新作も割とシンプルなサウンドに仕上げているのかもしれない。その新作は全10トラック、CD とヴァイナルとストリーミングでリリースするとのこと。それに合わせて Galette Records の前でストリートライブを行う予定。同じ頃、Massilia Sound System のライブも予定されていて(毎度数百人集まるのだそう)、秋もにまたマルセイユに行きたくなっている。

 トコと飲んでいる時、突然セネガル音楽の話になった。「Orchestra Baobab は知っている? 彼らのサックスプレイヤーとも一緒にプレイしたことがある」(ソプラノサックスを吹く仕草をしたので、Issa ではなく、Thierno Koite だろう)「Positive Black Soul とも友達なんだ」。世界は色々繋がっているんだなと感じならが、トコと語り合ったのだった。

 しばらくすると、次に行こうという。要件が済んだらすぐに帰るのかと思っていたのだが。少し歩いたところで、ある建物を指差す。「ここが Massilia Sound Sytem が最初にライブを行ったところだよ」。マッシリアは 1984年5月に初めてライブ・パフォーマンスを披露し、それを持って今年を結成40周年としている。偉大なるマルセイユのグループはここからスタートしたのか。

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 通りを歩いていると、次々と誰か彼かが彼に声をかけてくる。トコはこのあたりでは有名人なんだな。多くの通りは何度も歩いていて結構知っているつもりだったが、彼に案内されて歩くと初めて通る道がいくつもあって新鮮だ。私はフランス語を話さず、トコも英語がそれほど得意ではないので、あまり説明もせずに一緒に歩いてこのエリアを案内することを考えたついたのだろう。

 ある広場では、アルジェリア人、セネガル人、フランスの白人たちが一緒になってペタンクに興じていた。フランスは複雑な移民問題を抱えるが、こうした光景こそが彼らの本来の暮らしぶりなのだろう。ここでも人々が次々にトコと私に挨拶してくるし、中には初対面なのにビールをご馳走してくださる人まで。本当にのどかで良い雰囲気だ。

 そうした中のひとりが、セネガル人ですと自己紹介した後、スマートフォンに保存されている写真を見せてくる。ん?この写真はつい最近見たぞ。高野秀行の本『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた<サピエンス納豆>』にあったものだ! なんでもセネガル南部まで日本人を案内したのは自分だという。半月ほど前にセネガルについて読んだ本に登場した人物が、今ここマルセイユで目の前にいる。こんな偶然ってありだろうか。これだから旅は面白い!

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 3軒目に行くと、店は閉まっている。だがトコが電話をすると、しばらくして店の人がやってきて開けてくれた。そして癖の強いカーボベルデのラムを振る舞ってくれた。

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 またしばらく歩くと、いきなり鮮やかな青空が目に飛び込んできて、その下にはポッカリ空間が広がっている。何気なくその景色をカメラに収めていて、すぐに気がついた。ここが数年前に古い建物が崩壊した事故現場だったのだ。フェンスの前には犠牲になられた人々の写真を並べたパネルが立てられている。その中には、Facebook で何度も目にした Massilia たちのある友人の笑顔もあった。黙祷。

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 最後は観光名所としても度々紹介される坂へ。この辺りの道は入り組んでいて、いつも方向が分からなくなる。次第に暗くなってきたので、そろそろトコとはお別れ。今度ここに来る時には彼のライブを観たいな。

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(後日譚)

 高野秀行が 2017年?にアフリカ納豆の取材でセネガルに赴いた際、彼をセネガル南部に案内した人物に偶然マルセイユで会ったことを書いた。果たしてそれが本当かどうか確認してみた。

 6月末のこと、フランス旅行に持参する本を選びに近所の図書館に行った時、高野秀行の『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた<サピエンス納豆>』をまだ読んでいなかったことに気がつき、借りてきて読んだ。この本の第2章では、セネガル南部カザマンス地方のジョガンショールで納豆を探索したことが綴られている。

 さて、7月22日にペタンクの広場でのこと。Toko が最近リリースした新曲のタイトルが ‘Dreadlocks’ だったことを思い出して、ペタンクをプレイしているセネガル人にもドレッドロックが多いねなどと話していたら、そうした中の一人が近づいてきて(この記事の6枚目の写真で右に写っている男)、スマートフォンに保存している画像を見せる。それが何と今月読んだばかりの『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた<サピエンス納豆>』に掲載されていた写真だった。彼は高野の名前は出さなかったが、Mana に頼まれて日本人を案内したというようなことを話す。後で必要になることもあろうかと思い、名前を手帳に書いてもらうと Mana Ito と Abou Diop と綴ってくれた。

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 日本に帰国後、高野の本をもう一度借りて来て確認すると、セネガルでも有名らしいサバールダンサー?の「マナ」とドレッドヘアーの「アブ・ジョップ」という男が確かに登場する。(P.63以降)

 この部分と同じ文章は「文春オンライン」の記事にもあった。

 https://bunshun.jp/articles/-/40168?page=3

 自分が撮った写真と本に載せられた写真を比べると、分かりにくいが同一人物のように見える。いや、これだけのことが一致しているからには、私が会ったのはこのアブさん(アブ・ジョップ)で間違いないだろう。

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 それにしても、今月読んだばかりのセネガルの旅の記録に出てきたセネガル人が、マルセイユで突然目の前に現れて立ち話をすることになるとは、何という偶然なのだろう。きっとこれはセネガルが私を呼んでいるに違いない。やはり次の旅先はセネガルにせよというお達しなのだろう !?






# by desertjazz | 2024-07-22 23:02 | Trip - Abroad

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◆ 7月22日(月)

 ヨットがびっしりと停泊し、有名な観光スポットとなっている旧港。それとは別にマルセイユの北に伸びる海岸線に沿って作られた新しい港の方が実際の機能を果たしている。物資の運搬は減ったものの、近年は地中海をめぐる大型クルーズ船が発着を繰り返し、マルセイユの活況をもたらしているとも聞いた。実際、今回はスペイン人の団体旅行客をよく目にした。

 今日はまずそんな港湾沿いの再開発状況を見てこよう。

 午前、トラム T2 Line に乗り、北の終点のアレンク Arenc le Silo まで行く。停留所で降りると目の前に CMA-CGM Tower がそびえる。これは世界最大級の海運会社 CMA-CGM の本社ビルで、ザハ・ハディドがデザインしたことで有名。その写真を撮っていると警備員に咎められた(Mecum から写真を撮った時もこのビルが構図に収まるようにした)。

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 CMA-CGM Tower の足下には Dock des Suds がまだ残っていた。30年ほど前にこの倉庫の再利用方法を検討している最中、会場を探していた Fiesta des Suds と思惑が一致し、今の J4 に移る前はここをフェス(と Babel Med Music)の主会場としていた。今では廃墟と化しているのだろうと思っていたら、Dock の中ではゴッホ展をやっていた。ゴッホと言えばアルル。アルルに行けなかったかわりに見てみようと入る。本物の作品はひとつもなく、複製画を並べたり、ヴァーチャル再生したりと、アイデアは面白いものの、わざわざ観るほどの内容ではなかった。入場料も高かったし。

 アルルは歴史的建造物でも有名な美しい街なのだそう(21日の Massilia Sound System のライブも古代円形劇場で行われた)。機会があればいつか訪ねてみたい。


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 アレンク周辺はあちこちでテナントビルやマンションが建築中で、まだまだ再開発工事が進んでいるようだった。

 アレンクから南方向にゆっくり散歩。停泊している大型船などを眺め、いつか乗ってアルジェに行って見たいなどと妄想しながら。この辺りも昔に比べると本当にきれいになった。小洒落たレストランが並び、冷えた白ワイン(地元民は皆ロゼか?)でも飲んだら気持ちいいことだろう。しかし、ショッピングモールの Les Dock が閑散としている様子は相変わらず。ここはコンセプト自体が失敗しているのではないだろうか。


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 ル・パニエ地区を通って中心街へ。それにしても急坂が多い。

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 ヴァコン通り Rue Vacon からアル・ドラクロワ通り Rue Halle Delacroix に入った広場のマルシュを覗いているうちに、思いついて食材屋を物色し、ザクロのソースとタジンでよく使う塩漬けレモンを購入。ザクロのソースは、何故か近頃日本ではほとんど入手できなくなったので、これを見つけられたのはラッキーだった。もしかしてと思い、エチオピアのスパイス(バルバレ)も探したが、これはさすがに見当たらなかった。

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 13:50 に昼食。店を選ぶのが面倒だったので、すぐ近くのセネガル料理店 Mame Diarra に入った。チェブジェンを食べたい気分だったこともあって。結果は正解。オイルはしつこくなくて、ダカールやパリで食べたのより美味しかった。野菜はホクホクに柔らかくて、どれだけ煮込んだのだろう。しかし聞くところによると、マルセイユにはまだまだ美味しいアフリカン・レストランがあるとのこと。ならば食べに行かねば!

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 パリのレストランなのでも同様なのだが、アフリカン・プイレートはどうしてこう量が多いのだろう。大柄なアフリカ人でさえ食べ残しているのをよく見かける。腹いっぱいになったので、友人宅に戻って休むことにする。


(続く)







# by desertjazz | 2024-07-22 23:01 | Sound - Festivals

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◆ 7月21日(日)

 8:50 起床。昨夜も遅くなったので、ゆっくり目に起きて、シャワー、洗濯、それから朝食。

 昼前に散歩に出掛けて、近所のスーパーで寝酒用の安いパスティスを購入。その間に空が曇り出し、涼しい風が吹き始め、雨粒がポツリポツリ。友人宅に戻った後しばらくすると、激しい雷雨となった。

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 先にも書いた通り、当初は今日21日にアルルに移動して、もう一度 Massilia Sound System のライブを観る予定だった。ところが、マルセイユに着いてから同日にライをテーマとした4時間のスペシャル・プログラムが組まれていることを知り、どちらを選ぶか迷う。Massilia は19日にあれだけ大規模なものを観てしまったので、それ以上のものは期待しにくい。Tatou が語っている通り、彼らのライブは基本的に毎度同じ構成であるし。一方で私はこれまで本格的なライのライブを観たことがない(昔ここマルセイユで Cheb Mami が Fiesta des Suds に出演する際、バックステージで彼を待っていたら「逮捕された」との一報が飛び込む、などという信じられない悲劇も)。アルル観光+ Massilia 、あるいはライ4時間、それらのどちらを取るか数日悩んだ末、後者を選択。これがここ数日の出来事だった

 ありがたい事に今夜も友人宅に泊めてもらえることになったので、アルルのホテルをキャンセル。だがアルルの宿泊料は100%支払い済みで返金されない。この出費は痛いが、鉄道の切符をまだ買っていなかったことは救いか。

 しかしこれだけ荒れた天候ではアルルの街並みを観光気分で歩くことは難しかったかもしれない。これは結果オーライと考えることにしよう。

 そのために予定の空いた今日の午後は、トコ・ブラーズ Toko Blaze と会う約束をしていた。だが、とても外出できる状態ではないので、今日は取りやめて明日に変更。7月にこうした荒れた天気になるのは非常に珍しいそうだ。例年だとこの時期は快晴がずっと続くのだろう。連日夕方まで 30度を超えていた気温も、一気に20度くらいまで下がり、過ごしやすい涼しさになった。それでもたっぷり昼寝をした後には、もう暑くなり始めたのだが。


##


 夕方シリアルで軽く食事をした後、18:30 に出発し 18:50 に会場着(旧港北側の道は写真のように閉鎖されている)。

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 ライをテーマとした今夜のステージに立つのは、Hadj Sameer、Raïna Raï、Mystique、Cheb Bilal という4組。

 Hadj Sameer はライ・ミュージックの盛衰を描いたドキュメンタリー・シリーズ "Raï is not Dead" の製作陣の中心人物。このドキュメンタリーは大変評判が良く、ライ好きから絶対観るように言われていたのだが、まだ未見。彼の DJ は選曲もよく、それ以上に工夫された繋ぎの面白さが印象的だった。意外と持ち時間が短かったのだけれど。余裕があれば彼にインタビューしたかったが、それより前にまずは "Raï is not Dead" を観なければ(DJ を撮ってもなぁと思い、写真はなし)。


 続いて登場した Raïna Raï はエレキギターを中心とするロック調のライ。ギタリストがバンドのリーダーのようだった。

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 3番手の Mystique は女性DJで、小さな娘?も一緒に出てきて踊るという謎の演出。途中、このイベントの Press/Animateur だという?ラジオDJがステージに現れて会場を煽る(名前を確認すると Massilia Stream Radio の Ahmed Marir 氏とのことだった)。さらに私に対してはステージの中央で撮影せよと迫ってくる。なんでもありになってきて、ますます謎の展開だ。

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 しかし今日はオヤジとDJばかりなので、特段動きもなく、どうレンズを向けても絵にならない。そこでステージを離れてビールを飲みに行く。DJプレイを楽しむならステージを見つめる必要もないし。その間にも Mystique の DJ はガンガン盛り上がっていき、屋外で爆音ライを浴びるのは実に気持ちがいい。結局彼女は1時間以上プレイしていたのではないだろうか。その間、踊り続けたお嬢さん、お疲れ様!


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 さて、トリのシェブ・ビラル Cheb Bilal が登場。こうしたステージに呼ばれるということは、かつてはとんがった若造?といったイメージだった彼も、今ではカリスマなのだろう。実際今日は一昨日の Massilia の時よりも、アルジェリア人たちが明るいうちから盛り上がっている。

 淡々と歌い続けるビラル。シンプルなフレーズを繰り返すだけに、どの曲でもそれが耳に残る。中には CD で聴き覚えのあるものも。しかし、ビラルもほとんど立って歌っているだけで動きに乏しいの。観ていて特別面白みはないなぁ。っそのせいか、オフィシャル・カメラマン?たちもあまり撮影していなかった。

 しかし、群衆とステージとを重ねわせて観ると、特別で素晴らしい時間と空間が生まれていることを感じる。これこそがライの本場でライブを観ることの良さなのだろう。どの曲でも大歓声、大合唱。中には持ってきたトランペットで歌と同じフレーズを吹き続ける男もいた。いやホント、構図を考えて真面目に写真を撮ったりするより、この至福な空間の隅っこで、大観衆と一緒にビラルの歌を共有する方がずっといい(動画を撮ってもさっぱり乗らなかったので、途中からほとんどカメラの電源を落としていた)。


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 ライにたっぷり浸った4時間、楽しかった。アルルで Massilia を観たかったという後ろ髪引かれる気持ちは引きずったままなのだけれど、ライの本場に来てこんな雰囲気の中でライを聴けたのは貴重な体験だった。集まった人たちはみんな心底楽しんでいて本当に最高だったし。


 ところで、トラブルを避けるため、マグレブ世界では女性や子供は撮らないことにしている。だが今日は男たちが女性や子供と一緒の写真を撮れとやたらと求めてくる。そうした心理って一体どういうものなのだろう。まあサービスだと思って応じたけれど(ただシャッターを切っただけになっているな)。

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 ガードマンが大勢動員されていて、セキュリティーは結構厳しいのだろうと思ったのだが、撮影に関しては完全に放置状態だった(Fiesta des Suds では、アーティストごとに、頭3曲とか、2曲目の途中までとか、厳密に指定されるのだけれど、そんなことはなし)。さすがに、控え室から洋上ステージまでアーティストを送り迎えするボディーガードたちは厳しい顔をしていたが。彼らは本番中も怖い顔をしてオーディエンスを睨みつけていた。だが、中には踊っている奴もいたので、ライブを楽しんでもいるようだった。試しにレンズを向けるとポーズを決めてくれた。そして「写真を送ってくれ」というので、彼のアドレスをメモ。はいはい、深夜にメールで送りましたよ(お礼のメールが返ってきたので、ちゃんと届いたようだ)。


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 3日間、日本では観ることが難しいアーティストばかりで、それぞれとても充実したプログラムだった。Massilia と Bilal を目当てで来たのだったが、音楽的にはフェイルーズへのオマージュという2日目のオーケストラが一番優れていたかな。こんな素晴らしい音楽祭なら、来年もまた来たくなってしまった。







# by desertjazz | 2024-07-21 23:00 | Trip - Abroad

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◆ 7月20日(土)

 ベルザンス近くのホテルをチェックアウトして、友人宅へ移動。メトロとトラムと国鉄の3つの駅が並ぶ Blancarde から歩いて数分の便利な場所なので、地下鉄1本、ホテルを後にしてからわずかに20分で着いてしまった。こんな場所に大きな家を持っている友人家族が羨ましい。今日からここにお世話になる。
 以前にも Fiesta des Suds を取材に来た時、どうしてもホテルが取れなくて困っていることを相談すると、彼らの家に泊めて下さったことがあった。反対に彼ら一家が日本に来る度に、こちらがもてなすという良い関係が生まれている。

 当初の予定では、19日に Massilia Sound System のコンサートを観た翌日は、友人宅に移動して、そこで1日ゆっくりさせていただき、翌21日にはアルルに移って Massilia のライブをもう一度観る計画だった。ところが、20日と21日にも Massilia と同じ会場で気になる無料コンサートが開催されることを知り予定変更。まず今夜はフェイルーズ Fairuz へのオマージュ・コンサート"Hommage à Fairuz par Mazzika Orchestra" を観に行くことにした。


 友人宅にお邪魔した後、午後は一緒に美味しい昼食をいただく。それから夕方までは、昨日の疲れを取るべく、のんびり過ごす。

 16:30 に少し散歩へ。周辺を軽く歩くだけのつもりが、ふと思いついて、水も持たないまま、中央駅 Saint-Charels とラ・プレイン La Plaine の中間くらいある Bonne Mere Records まで来てしまった。この店にもアフリカ音楽のヴァイナルがひと山。アルバム2枚とシングル2枚を購入。

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 19:30 に出発して地下鉄で移動。今夜は 20:00 にコンサートがスタート。最初のピアノ・ソロは、クラシックをポップ調にした演奏。奏者の情感を押し付けるような大味な演奏で楽しめず。まあ今日はこの後がメインだ。そう思って、会場内を動き回って観察。今日は昨日よりも人が少ないかな。

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 マルセイユでは、レバノンの歌姫フェイルーズにまつわる、ちょっとした思い出がある。

 1995年の暮れ、クリスマスが過ぎた頃にパリからマルセイユに移動してきた。確かその最初の日だっただろうか、ホテルにチェックインして自分の部屋に入ってテレビをつけた瞬間、フェイルーズのコンサートが映し出された。一瞬何が起きたのか分からず戸惑ったのだが、ややしばらくして、レバノンの偉大な歌手のコンサートが(衛星チャンネルで)普通に放送されていることに、ここマルセイユが地中海世界の一部であるという実感が次第に湧いてきたのだった。

 さて今夜お目当ての "Hommage à Fairuz par Mazzika Orchestra"、直前にライブの動画を観たところかなり良かったので、期待して来た。まずはビッグバンドをバックに美人ヴァイオリン奏者が演奏。最初は結構普通にポップで、さほど面白味はない。それでも大歓声が起こっていたので、人気はあるのだろう。

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 7〜8曲ほど演奏した後、彼女はヴァイオリンを指揮棒に持ち替え、そして女性歌手がステージ中央に出てきた。果たしてこの指揮は必要はあるか疑問の生じるパフォーマンスで、彼女はお飾りのアイドルなのだろうかと考え始めた。


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 ところがだ、徐々に演奏に調子が出てきた。なんとも贅沢な音楽であり、随所に聴き親しんだフェイルーズの代表曲が歌い演奏される(流石に曲名までは出てこないが)。歌声にはフェイルーズのような柔らかさや妖艶さはないものの十分に楽しめる。終盤はアゲアゲのアレンジと歌いっぷりで大盛り上がり。気がつけばすっかり引き込まれてしまっていた。このような豪華で贅沢な音を間近で生で聴けるなんて。これも地中海世界ならではのコンサートだろう。いやー、最高だった。1時間半ではまだまだ聴き足りないほどだった。

 23:10 に今夜のプログラムが終了。大いに満足して、近くの店でビール2本を買って、喉を潤す。

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 余韻に浸りながら、旧港の新しいモニュメントたる大屋根のあたりを散策。こんな深夜になっても大変な数の人々で賑わっている。まだまだ夜は終わらない。バカンスシーズン真っ盛りという雰囲気で満たされていた。

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 地下鉄で友人宅に戻り、写真のバックアップを取ったり、シャワーを浴びたりしているうちに午前2時。極上の音楽に満たされた興奮がおさまらないが、そろそろ休むことにしよう。


(この2日間の写真を見て気がついたのだが、照明も衣装も椅子も基本全てマッシリアブルーなんだな!)


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(後日譚)

 指揮者/ヴァイオリン奏者の名前は Amal Guermazi (د.أمل القرمازي)。自身の Facebook には、パリ出身、サンフランシスコ在住と書かれている。








# by desertjazz | 2024-07-20 23:00 | Sound - Festivals

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