B&W 805D4/PB 導入記(2)



 さて、新規導入したスピーカー B&W 805D4 の音は?


 ほとんど調整もせず、ただ床に置いただけで、もういい音が出ている。


・期待した通り解像度が抜群にいい。これまで聴こえていなかった微弱な音も再生し、音楽のニュアンスが変化する。時々ゾクッとするほど。

・とにかくキレイな音。とても上品な響きだ。

・音の立ち上がりが非常に鋭い/レスポンスがたいへん速い。無音とのコントラストが気持ちいい。

・高域の再生能力が優れている。これは高域を持ち上げた「ハイ上がり」なのではなく、再生可能高周波数が相当上まで伸びているからなのだろう。ただ、再生音源によっては高域に色がつきすぎる傾向あり(まだ調整不足か?)

・高域再生力があることで、リヴァーブが美しく、それがもたらす響きの豊かさにより、再生音場が広く感じられる。

・ダイナミックレンジが広くなった印象を受ける。これまで一定のレンジに収まっていた音源も、強弱の差が大きくなったように感じる。その分、ボリュームコントロールに気を使うことになっているのだが。

・低域もまずまず出ている。音源によっては物足りないこともあるが。

・高級オーディオに共通して言えることなのだが、ボリュームが上がってもぜんぜんうるさくない(ので、近所迷惑を考えて、音量抑えるのにちょっと苦慮している)。


 以上は、新しいケーブルもオーディオボードもまだ届いていない時点での感想。ひとまず期待していた音が出ていて安堵する一方、再生する盤によっては OB1 の方が良い。なので、これからあれこれ調整してみる必要がありそうだ。


 何より、現時点では低域の物足りなさは否めない。太いジャズ・ベースや重厚なラテン・パーカッションを迫力たっぷりに再生することは難しそうだ。フォーカス絞れたブックシェルフと比べることで、OB1 のようなブックシェルフが持つ面的に迫ってくる音再生の良さも再認識した。OB1 との併用が必要なのかもしれない。


 昨年発売となった 800D4 ライン、世評では 804D4 がすこぶる良い。やっぱりトールボーイを買うべきだったかと後悔しそうになったが、804 では中途半端に感じるし(サイズの似た OB1 を持っているので)、予算オーバーでもある(試聴した時のあの痛い音は、チューニングよりも、アンプとの相性、あるいは再生音源によるものだったのだろう)。


 また、音楽を楽しむには、正確に再生する B&W よりも、気持ちよく歌う Sonus や YG の方が良かったのかもしれないとも思う。だが今回の購入に際しては、高解像度のスピーカーを一度使い込んでみたいと考えたのだった。




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 オーディオ周り、かなりスッキリしてきた。PMC OB1 と55インチモニターは、一旦インドネシアの骨董布で隠す。







# by desertjazz | 2022-12-11 11:11 | 音 - Music

B&W 805D4/PB 導入記(1)



 今から半月前のこと。


 思うところあって、スピーカーを衝動買い。

 これは自分史上最高額の買い物。

 しかも、いっさい試聴せずに。

 だがそれは、戦略を踏まえてのことだった。



 昨年、アンプとCDプレイヤーを買い換えたら、音が格段に良くなった。ならば今度はスピーカーもグレードアップしたくなる。そこでここ1年ほど、ハイエンドのオーディオショップ、オーディオショー、オーディオマニア諸氏のオーディオルームなどで、100万円台から(買えはしない)1000万円以上のものまで、様々試聴させていただき、15年間使ってきた PMC OB1 に代わるスピーカーを検討していた。


 聴いた中で特に気に入ったのは、Sonus Faber の Amati Tradition と Guarneri Tradition だった。しかし最近、Guarneri は生産終了し、日本の代理店に在庫なし。一方の Amati も同時に生産終了。まだ在庫ありだったので、思い切るか悩んだが、そもそも今の賃貸マンションではとても鳴らしきれない。結論として、OB1 より大きなスピーカーの導入は無理だと悟った。


 そこで考えを変え、トールボーイではなくブックシェルフならどうだろうと思い始めた。昨年アンプを Luxman L-570uX MarkII に変えて以降、低音がたっぷり鳴り床が振動するようになったこと(MDFボードを敷いて防震はしているのだが)、夜に静かな音楽を聴く機会が増えたこと、そして最近のブックシェルフに驚くほど音の良いものがあったことから、一度試してみたくなったのだった。


 先日、東京オーディオショーで、Sonus Faber の Electa Amator Ⅲ と YG Acoustics の CAIRN をたまたま耳にしてびっくりした。少々離れた場所から聴いたのだが、それでも大型スピーカーが鳴っているかのような力と低音を感じた。もう大きなスピーカーはいらないんじゃないかと思わせられるほど。


 でも、同じ Sonus なら Electa Amator Ⅲ より Guarneri に音的にもデザイン面でも惹かれる。来年発売予定のCAIRN にしても、この小ささで 217万円(スタンド込み)ではちょっと躊躇してしまう。


 だとすると残る選択肢は B&W (Bowers & Wilkins) 。別の試聴会で聴いた 803D4、これがとてもよかった。以前聴いた 804D4 のツイーターが「耳に痛く」て、やっぱり B&W の新しい800ライン(D4シリーズ)はダメだと感じていたので、ちょっと意外。B&W はデザインも好きじゃないのだが、昔某量販店に偶然耳にした 805D3 の女性ヴォーカルがとても温かく生々しかった記憶が蘇る。


 803D4 を聴いて D4シリーズの音の傾向は掴めた。まず音の解像度が圧倒的に高い。また大きく自然な響きの空間を生み出す。トールボーイよりもずっと小さなスピーカーでフォーカスのはっきり定まった音を聴きたくなってきた。自分はクラシックは聴かず、エッジの効いた現代的な音をよく聴く。ならば、箱の鳴りで表現する Sonus より、B&W(あるいは Magico、Focal)がいいのかもしれない。


 最初は嫌いだった 805D4 のデザインも、見慣れてきたのか、それほど悪くないと思い始めた。そんな折、来年1月に20パーセント大幅値上げされると発表。解像度の高い B&W を自宅で試すのは、これがラストチャンスかも? そう思いながら探してみると、品薄なはずの PB(ピアノブラック)の在庫を発見。販売価格を問い合わせると 15パーセント引きとの回答。これなら手が出せなくもない。もし気に入らなくても、805D4 なら高く売れるだろう。


 そのような経緯で、試聴なしに 805 の最新型を購入。毎度大して試聴せずもに買うのは、店頭では再生機とアンプとスピーカーの様々な組み合わせで聴くことになるため、単体の特徴を正確に把握するのには限界があると考えるから(店側がプレゼンする最大能力を知ることはできるのだが)。アンプでもスピーカーでも実際に自宅でしばらく鳴らしてみないと評価しきれない。


 次のスピーカーを決めるまでの間、「お試し」で導入した B&W 805D4。2週間前の 11/27(日)に納品されてきた。それ以来、W杯もほとんど観戦せずに、毎日エージングを続けている。




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 スタンドは自分で組み立てるのね。少々面倒。

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 スピーカー本体はこの図の説明に従って箱から取り出す。

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 そして、いよいよ御開陳。







# by desertjazz | 2022-12-10 10:10 | 音 - Music

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 石田昌隆さんの『Dima Algeria』と大石始さんの『南洋のソングライン ーー幻の屋久島古謡を追って』を購入。どちらも年越し休みにじっくり拝読するつもり。旅心をくすぐられそうだ。

(以下、最近の読書。Facebook と Twitter から転記。)


11月20日

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『岩波講座 世界歴史18 アフリカ諸地域〜20世紀』読了。ピグミー、ブッシュマン、スワヒリ、コンゴ、南ア、セネガル、等々、自分の中でやや曖昧だった土地の正確な位置や人の動きが整理されていて、アフリカ音楽の理解を深める上でも有益だった。

「アフリカ社会の生活共同集団である最小リネージには、全く血縁関係のない他のクランや民族に属する他所者が自由に加入し、また離脱する。こうした開放性や他者(異文化)への寛容性は、アフリカ社会の大きな特徴であった。」P.050 重要な指摘と思う(こうした捉え方はあまりしていなかったので)。

 20ページ程度の短い論考を並べたものは物足りなく欲求不満になりがちだが、これは最近の研究も踏まえた歴史考察に深みがあって、しばしば目が覚めた。今年の10冊に入れたい。


11月26日

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 三浦英之『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』読了。コンゴ南部の鉱山地帯に、コンゴ人女性との間に生まれ置き去りにされた「日本人」がいて、今も父との再会を願っているとは。取材は深く、構成も見事(著者は不本意だろうが)。今回も誠実な文章が読みやすくて、ほぼ一気読み。

 次の写真は『太陽の子』の引用文献の一部。かつて貪るように読んだものばかり。たっぷり時間があれば、また読み返したい。エチオピア取材中、辺見庸さんに沼沢均さんの思い出話を伺った日が懐かしい。

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 このコンゴ(旧ザイール)での悲劇は地下資源がもたらしたとも言える。アフリカの資源戦争に関しては、白戸圭一さんの『ルポ資源大陸アフリカ』やセルジュ・ミッシェル+ミッシェル・ブーレ『アフリカを食い荒らす中国』などが参考になった。

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 コンゴとザンビアの国境地帯(コッパーベルト)には周辺諸国からの労働者が集まり、彼らの音楽が混淆したことで新たな音楽が生まれたことは良く知られている。そうした興味から、佐伯尤『南アフリカ金鉱業史―ラント金鉱発見から第二次世界大戦勃発まで』『南アフリカ金鉱業の新展開―1930年代新鉱床探査から1970年まで』など、南アの鉱山に関する文献も集めた。

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# by desertjazz | 2022-12-04 22:00 | 本 - Readings

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 Massilia Sound System の7インチボックス "BOX VOL.1" が到着! 届くのはクリスマス頃だろうかと思っていたので早かった(マルセイユからほぼ1週間)。

 箱を開けてびっくり! メンバー6人のサイン入り。みんなありがとう!

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 中身はこの9枚。過去の代表曲が選ばれている。マルセイユにもラ・シオタにもなかなか行けない埋め合わせに、これからたっぷり楽しみます。

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 ついでに MSS のバイオ本、Camille Martel "Massilia Sound System - La façon de Marseille" の増補版(右)も一緒に購入。初版(左)の400ページから408ページにちょっと増えただけなんだけれどもね。

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# by desertjazz | 2022-11-23 14:00 | 音 - Music

Idris Elba & Sona Jobarteh - \"BEAST\"_d0010432_20130743.jpg


 昨夜 SNS にアップされたこの写真を見てビックリ! ひとりは人気俳優イドリス・エルバ、もうひとりはガンビアのコラ奏者ソナ・ジョバルテ。どうしてこの二人が一緒に写っているの?


 このところ HBO のドラマ・シリーズ "The Wire" を少しずつ観続けている。勧められて観始めたら、昔大好きだった "Hill Street Blues" もヒントにしたような、良くできた刑事ドラマで、個性豊かな俳優陣と、とても複雑・巧妙なプロットに魅入られてしまった。なので、全5シーズン/60エピソードの最後まで観ようと思っている(今、ちょうど半分)。

 その "The Wire" で圧倒的存在感を誇っている悪役がイドリス・エルバ。私は映画音痴なので何も知らなかったのだが、彼はこのテレビ・シリーズでブレイクし、今は絶大な人気を誇っているらしい。GUCCI の最新広告でもピンクのスーツ姿が超セクシーだったし、何でも次のジェームス・ボンド役の有力候補でもあるとか?

 そのイドリス・エルバ主役の最新映画 "BEAST" で、ソナ・ジョバルテの曲 "N'na Duniyaa" が冒頭とエンドロールで使われているとのこと。それで、先の写真の公開に至ったわけだ。

"N’na Duniyaa" By Sona Jobarteh from BEAST

 それにしても、新作を全然出さないのに、ソナの評価は高いな。世界的なツアーを繰り返し、今回のように話題の映画にも使われる。どういったところが気に入られているのだろう?

 それでも、新しいアルバムがいよいよ完成間近だと先日発表があった。2016年にロンドンで「数ヶ月後」と聞かされてから、早6年。


 アルバム・タイトルすら伝えらていないので、本当に年内にリリースされるのか、少々不安にさせられる。けれども、まあもうしばらく期待して待つことにしよう。






# by desertjazz | 2022-08-27 20:00 | 音 - Africa
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