アナログ生活(11): アナログプレイヤー更新再検討_d0010432_14251331.jpg



 このブログで「アナログ生活」と題してしばらく綴ってきたように、昔に比べると近年のレコードは品質が劣っている印象を抱いている。大きな傷が入っているものや、針が飛ぶほど歪んでいるものは問題外だが、それ以外にもノイズの出るレコードがあまりに多い。新品のレコードでもノイズが出る度に、再生システムを再確認したり、レコードの盤面を入念にクリーニングしたりするものの、ほとんど改善しない。それでレコード自体に問題があると結論付け観念してしまう。レコード制作の技術やノウハウが失われたことを痛感ばかりだ。

 しかし本当に全てがレコードそのものに問題があるのだろうか。システム側に見落としはないのだろうか。拙宅のレコードプレイヤー Kenwood KP-9010 は約30年前の製品だし、メインのカートリッジ Denon DL-103 にしてもかれこれ4年ほど使っている。ならばレコード再生系を一度新品で揃えてみる頃なのではないだろうか。ターンテーブル、トーンアーム、ヘッドシェル、カートリッジ、フォノイコライザー、これら全てを新調してみて、それでもノイズがなくならないなら、レコード盤の品質に問題がある可能性がさらに高まるだろう。

 とにかく何をやってもノイズが消えず、気持ちがもやもやしたまま。どうにかスッキリさせたい。そのような思いから、ここ数年アナログプレイヤーを新規に導入することを検討してきた。


 今回、私がアナログプレイヤーに求める条件は、

・新品(中古では音の検証にならない)
・ベルトドライブ(長年ダイレクトドライブを使ってきたのでベルトドライブを試してみたい)
・ユニバーサルアーム(MC、MM、Mono カートリッジを使い分けするため)
・あまり大きくないもの(見た目のゴツいものは置きたくない)
・デザインが良いもの(オーディオは家具だと思っている)

 候補として思いついたのは(スペック的に KP-9010 と同等か若干上だと期待を込めて推測される、近年評判の良い中級クラスのものは)、国産4社と海外3社。

・Luxman PD-191A / PD-151 MARK II ¥990000 / ¥393800
・Techinics SL-1200G ¥450000
・Denon DP-3000 NE ¥385000
・Audio-technica AT-LPA2 ¥330000
・Thorens TD1601 / TD1600 ¥990000 / ¥880000
・LINN LP12 SE ¥1089000
・Vertere MG-1 PKG MK2 CL ¥2200000

 これらの製品に対する感想は以下の通り。

・Luxman PD-191A / PD-151 MARK II

 数年前に購入したラックスマンのアンプと CD プレイヤーは、どちらも素晴らしい音なので、同社のプレイヤーも信頼できそうだし、相性も良いのだろう。ベルトドライブかつユニバーサルアームと、求める条件にも合っている。SAEC のトーンアームも良さそうだ。試聴したことはないが、専門家からの評価も高い。ただ、PD-191A は赤色のプレートの美しさにも惹かれるけれど、それを前面に貼るだけのデザインは不満である。別売りのダストカバーだけで ¥100000 もするのはコスパが悪い。下位機種の PD-151 MARK II も操作性に難を感じる。

・Techinics SL-1200G 

 DD なので対象外。デザインも好みではない。昔から評価の高いラインの製品だが、元々この会社の製作姿勢全般に納得がいかない(あくまで個人的好み)。

・Denon DP-3000NE

 DD なので対象外。しっかりした見た目の印象は良い。老舗ブランド久々のアナログプレイヤーなだけに、一旦潰えた技術力がどこまで回復しているのか疑問。このブランドはどの製品も異常に絶賛されているだけに、かえって信用しにくい(これも個人的感想)。KP-9010 からグレードを上げるには、この価格帯では中途半端とも思う。

・Audio-technica AT-LPA2

 ちょっと面白い製品だと思い実機を見てきたが、今流行りスタイルの作りをいいとこどりしている印象。Vertere のようなアクリルのボディとか、電源部を外箱にするとか。MC カートリッジまでつけてこの価格はとても健闘しているとも思うが、見た目では各部とも低予算で作っている印象。いずれにしても、これも価格帯では中途半端。

・Thorens TD1601 / TD1600

 ベルトドライブに定評のある世界的トップブランドながら、新製品はなぜか DD。レコード文化低迷期、SP 再生用にスイスから取り寄せた TD-124 の作りがあまりに貧弱で、自分で修理したほどで呆れた。それ以来この会社は信用できなくなっている。ユニバーサルアームは日本のユーザーにとって有難いが、とにかくデザインが好みではない。

・LINN LP12 SE

 イギリスの老舗ブランドで、LP12 は50年の歴史を重ねてきた。オーディオは家具だと思っているので、リンのデザインは申し分ない。ただし、トーンアームが貧弱に見える。ユニバーサルではなく、カートリッジの交換を前提としていないことも難点。近年値上がりが激しく、コスパが悪すぎるようにも思う(カートリッジも日本の Audio-technica の製品をベースに改良しているにも関わらず、価格は約2倍)。LP12 はハイエンドショップなどで何度か試聴したことがあるけれど、特別良いと思ったことはない。

・Vertere MG-1 PKG MK2 CL

 イギリスの新興ブランド。これもトーンアームがユニバーサルではない。アクリルのボディは美しい。評判はとても高く、話題性にも富んでいる。だが試聴したことはなく、とにかく高すぎる。


 こうして見ていくと、レコード人気が復活した中、各社とも頑張っている印象がある。それでも、昔の製品に比べると魅力がなく、コスパも悪すぎで、まだまだ過渡期なのだという印象を受ける。いや正直に書くと、やはり昔の技術はもう取り戻せないように思う。

 現状いくら探しても、もはや完全に納得できる製品はないのだろう。ハイエンド製品にはとても手が出ず、音楽を楽しむために自分にはそこまでの製品は必要ないと思っている。結論として、現時点で選択肢がない。結局のところ、古い(1990年頃までの)製品をオーバーホール/調整して使った方が音に満足できるような気もする(性能的には昔の10万円前後の製品は今の100万円クラスに匹敵するのかも)。

 しかしそれではレコードの質の検証にはならない。あえて候補の中から選ぶとすれば Luxman になるだろう。ベルトドライブかつユニバーサルアームと条件に合っている。購入後のサポートを考えても国産品の方が安心だ。故障した時、国内で対応できない場合には本国に送っての修理となるため、その送料だけでも高額になる。最悪の場合、輸入代理店がなくなり対応不可能ということも起こりうる。

 などなど、ここ数年来の課題について思案しているものの、結局結論が出ない。さて、どうしたものか、、、。


 (2025年夏)


♪♪♪




# by desertjazz | 2025-12-01 00:00 |

ピグミー/コンゴを読む

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 ピグミー/コンゴを読む「カラハリ三部作」でブッシュマンの音楽について3冊書き上げたら、次はピグミーの音楽にもじっくり取り組もうか。そう思い始めたこともあって、このところピグミーやコンゴなどに関する書籍を集中的に読んでいる。

・生態人類学会 編『ザ・フィールドワーク』

 日本の人類学者たち129人によるエッセイ集。各人2ページなのだが、全部は読めないので、ピグミーに関するものを中心にアフリカをフィールドにする研究者たちの文章を通読。多くは気軽に読めるエピソードなのがいい。日本におけるアフリカ研究の層を厚さを実感した。

・木村大治・北西功一 編『森棲みの生態誌 アフリカ熱帯林の人・自然・歴史 I 』
・木村大治・北西功一 編『森棲みの社会誌 アフリカ熱帯林の人・自然・歴史 II 』

 より日本の研究層の厚さを感じたのはこれら2冊。先日、東京外国語大学の大石高典さんにお目にかかって、これらを読んでいないことに気がつき、大判の2冊800ページを約1週間で通読。2010年時点での日本におけるアフリカ熱帯林の民族に関する研究の集大成。ピグミーの音楽について語るには、まずピグミーの主要4集団、ムブティ、エフェ、アカ、バカの特徴をしっかり把握することが必要だろうが、彼らの共通点と相違点についての頭の整理をかなりできた。これから書きたいことに関するヒントもたくさん詰まっている。

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・藤井知昭 監修『民族音楽叢書』

 買ってから全く読んでいなかった『民族音楽叢書』全10巻、アフリカ音楽に関する章から読み始めた。まずは7巻目「環境と音楽」に収められている、澤田昌人「エフェ・ピグミーの合唱におけるクライマックスへのプロセス」を読むことで、ピグミーの主要4集団の音楽への理解が深まる。昨年の転居の際に捨てようと思ったが、持っていてよかった。最終巻の10巻目には中村とうようも執筆している。

・松浦直毅『現代の<森の民> 中部アフリカ、バボンゴ・ピグミーの民族誌』

 ブッシュマンとピグミーに関する書籍は一般に手に入るものをほぼ全て買っているつもりだったが、これは高くて迷っているうちに品切れとなってしまった。それを安い古本を見つけて購入。これからしっかり読むつもり。

・シッダルタ・カラ『ブラッド・コバルト~コンゴ人の血がスマートフォンに変わるまで』

 コンゴ民主共和国の南部、カタンガのコバルト採掘場の隠されてきた現状を伝えるルポルタージュ。過酷な条件下、1日1ドルほどで働かざるを得ず(無給の子供も)、粉塵を吸って体を崩し、度重なる事故で半身不随になったり命を落としたり。女性たちは性的被害を被り、それは幼女も同様。コンゴの人々はかつての奴隷制時代や植民地時代と変わらない、あるいはそれ以下の生き方を強いられている。この逃げ場のなさは、今のガザの地獄さえ連想した。読んでいて絶望感しかない。
 三浦英之『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』、さらにはフランソワ=グザヴィエ・ヴェルシャヴ『フランサフリック』などを合わせて読むと、欧米や日本がコンゴを含めたアフリカの民衆に過大な犠牲を強いることで豊かさを得ていることが分かる。今はその図式の中に中国も加わっている。
(途中1か所でピグミーという言葉でてくるが、児童労働を指摘されたコンゴの国会議員が、小さく見えるのはピグミーだと返答したというもの。全くふざけている!: 179ページ)

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・Joseph-Aurelien Cornet & Angelo Turconi ”Zaire - Peuples/Art/Culture”

 写真中心のこの大判の本にコンゴ南部の採掘場の写真が載っていたことを思い出し拾い読み。イトゥリの森のピグミーと彼らのダンスも紹介されている。
 この本は1996年にザイール(現コンゴ民主共和国)を訪れた時、キンシャサの Inter-Continental Hotel の売店で買ったもの。4kg くらいある本、よく持ち帰ったものだ。当時インターコンチは日本の西武資本下にあり、このホテルに宿泊すると Seibu Point を獲得できた。この時には500ポイントついた記憶がある。日本がイケイケだった時代の、今ではとても考えられない話。

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・コンラッド『闇の奥』(光文社文庫・黒原敏行 訳)

『闇の奥』は中野訳(岩波文庫)も藤永訳(三交社)も読んでいるが、中村隆之『野蛮の言説 差別と排除の精神史』で光文社文庫の黒原訳を薦めていたので買って読んでみた。確かに読みやすく、解説だけでも価値がある。この作品を読むのは三度目なのに、ほとんど内容を記憶していなかったこともあり、今回再読してよかった。特に感銘を受けたのは文章の素晴らしさ。一文一文がこれほど深いとは。昔読んだ時にはピンと来なかったのだが、繰り返し読みたくなる名作だと思った。名文を重ねる描写を読むとコンゴの奥の森が懐かしくなる。明け方の靄に包まれた原生林の光景などは、実際その場に入って眺めて音の響きを体験しないとその美しさを十分には感じられないだろう。
(中村隆之『野蛮の言説 差別と排除の精神史』はなかなか紹介や感想を書けないでいるのだけれど、今年評判の『ブラック・カルチャー 大西洋を旅する声と音』に匹敵する名著だと思う。)

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・Michelle Kisliuk “Seize the Dance! - BaAka Musical Life and the Ethnography of Performance”
・Samba Aron “African Polyphony and Polyrhythm: Musical Structure and Methodology”

 ピグミーの音楽に関して定評の高い研究書も取り寄せ。中央アフリカ共和国のバカピグミーの音楽について詳述しているというこれら、2冊で2万円弱(円安が痛い)。無職の年金生活者にとっては過大な出費だけれど、読みたい本があり、リタイアしてそれを読む時間が生まれ、そのことで得た知識に基づいて好きなように文章を書けるというのは幸せなことだと思う。しかし2冊合わせて900ページ、読み通せるのか?

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 ブッシュマンの音楽とピグミーの音楽には、類似点が多い一方、異なる点も多い。調べるほどにそうしたことを面白く感じる。カメルーンをフィールドにする学者数人と最近やりとりをさせていただいたのだが、ブッシュマンの音楽とピグミーの音楽を比較した研究例はないのではと言われた。調べた限りではブッシュマンの音楽に関する書物は見つからず、日本でも本格的に研究した例がないのだから、ましてやブッシュマンとピグミー両者の音楽の比較研究などおそらくほとんどなされていないだろう。そう思うと、ちょっと面白いものが書けそうな気がしてきた。

 ブッシュマンほどではないが、ピグミーに関してもその音楽に関する書籍が少ない。そこで頼りになるのはレコードやCDの解説やライナーノート。カラハリ三部作を作るに当たって、手元にあるブッシュマンに関する文献全てに目を通し、レコードとCDも全て聴き直した。ピグミーに関してもまず同様のことから始めるべきだろうと考えているのだが、CDだけで30枚以上ある。これら全部を聴き直し、英文や仏文の解説を読み通すのかと思うと逃げたくなるが、時間がかかってもやるべきだろう。私はピグミーの森を訪れたことはなく、自力で得た一時資料を持ち合わせていないため、ひとまずこうした文献や音資料に目を通す/聴くしかない。






# by desertjazz | 2025-11-08 22:00 | Book - Readings

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 初来日したアルージ・アフタブ Arooj Aftab、2日目の 1st Set を観てきた。
 昨年オーストラリアの WOMADelaide で観た時にも感じたけれど、彼女のライブは余計なことは何も考えずに陶然・幽玄な声と音に浸るだけでいい。昨年よりはジャズ感強めた音作りにも魅力を感じたが、ゆったりと歌声を聴かせる時が一番だった。
 日本人ゲスト2人も見事にハマっていた。こうした企画は正直「いらない」と感じることがほとんどなので、今回は珍しい成功例かも。
 彼女は「日本の友人からあまり喋るな」と言われたそうで、MC は WOMAD の時よりかなり抑えめ。それでも笑いを誘う。写真撮影OKで(なので iPhone で1枚)、ウイスキーの曲ではウイスキーを客に振る舞うなど(Massilia Soud System のパスティス・タイムを連想)、飾らず楽しいステージだった。
 4階席に Terry Riley さんがいらっしゃると思ったら、今日のギタリスト Gyan Riley は彼の息子さんなのだそう。知らなかった。相変わらずの情けない情弱ぶりです。


 ライブを観た後は、不思議とアルバムがより良く聴こえる。
 昨年のアデレードでも昨夜も幾分物足りなさを感じたが、その一番の理由はスタジオ録音との違いなのかもしれない。過去2作は半数ほどの曲で響くハープの音が印象的で、それが彼女の声の静謐さを際立たせていた。なのでメイヴ・ギルクスト Maeve Gilchrist のハープを交えた編成でのライブも観てみたい。
 余談を一つ。昨夜のライブで Arooj Aftab はほとんどステージから見て右側に視線を向けて歌っていたのは何故だろうと思った。確かに BN も BB も移動動線がステージ下手側なので、そうなりがちなのだろうか。出演アーティストと接しやすいのも同じ向きだろう(昔、BN の Bugge Wesseltoft で終演後すぐに彼がフロアに出てきて立ち話させてもらったこともあった)。だからなのか、昨日は上手4階のソファ席で観ていたのだけれど、他には誰もいなくて完全貸切状態だった。SNS を見ると絶賛コメントばかりなのだが、集客が今ひとつだったのは残念。
 Arooj Aftab また来て欲しいと思いつつ、次は Ganavya も観たい。そう願っていたら、来年の WOMADelaide の出演アーティストに Ganavya が加わった。その足で日本にも来てくれないだろうか。



# by desertjazz | 2025-10-29 21:02 | Sound - Music

Sakaki Mango / TUFS

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10月18日(土)

 おそらく約20年ぶりに高円寺へ。まず以前より気になっていた Universounds をチェック。懐かしい60〜80年代ジャズの名盤が手頃な値段で大量にあって嬉しくなる。迷って3枚購入。また来よう。
 それから駅周辺を散策。昔の印象と比べるとすっかり綺麗になっていたが、数多くの店々がひしめき合い、活気あることろは変わっていなかった。途中450円のカレーライスで腹ごしらえ。

 夜はサカキマンゴーさんのライブへ。会場は何と「鍼灸接骨院」。そのような場所で果たしてどれだけ人が集まるのかと思っていたら超満員。マンゴーさんが春と秋に日本全国各地を巡るツアー、どこでも1年に一度彼がやってくることを心待ちにしている音楽ファンが大勢いるようだ。
 マンゴーさんはそんな期待に応えるような楽しいパフォーマンス。ストイックに音楽を追求するだけでなく(それは半分)、ユーモアな語りで盛り上げ(子供たちもニコニコ)、笑いあり、ダンスあり、伝承歌の歌詞(ちょっとエロい)の解説あり、ポリリズムの実習ありと、とても気持ち良いライブだった。
 音楽構成面では昨年大磯で観た時からも大きく変わっていて、歌や語りへの意識が強く、プリセット音源の作り込みも深まった印象であることに感心させられた。

 マンゴーさんは拙著「カラハリ三部作」を初稿の時点で目を通してくださるなどご協力いただいた。完成したその本を直接手渡すことも今回伺った大きな目的。ライブの途中でその本の宣伝をしてくださり、そのおかげで余分に持っていった数冊がすぐに売り切れ、マンゴーさんにお渡しした分も急遽販売することに。こうなるならばもっと用意して行けばよかったな。いずれにしましても、皆さんありがとうございました!

 この日は行きたいイベントが7つも重なるという特異日。少し迷ったがサカキマンゴーさんのライブを楽しんできて正解だった。

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◇10月19日(日)

 昨夜のライブの打ち上げでカメルーンの民族を研究している大石さんを紹介され話をした。『森棲みの社会誌 アフリカ熱帯林の人・自然・歴史 Ⅱ』『ガーナ流 家族のつくり方 世話する・される者たちの生活誌』などの共著者で、ボニー・ヒューレット『アフリカの森の女たち』を訳された大石高典さんだと後で気がついた。大石さんは、今読んでいる『ザ・フィールドワーク』にもエッセイを寄せているのにすぐに思い出せず失礼した。

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◇10月22日(水)

 その大石さんの東京外国語大学の講義でサカキマンゴーさんが特別講師を務めるという。それを見学に来ませんかと誘われて、午前、東京外国語大学にお邪魔することに(マンゴーさんには今度こそ拙著を渡せた)

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 サカキマンゴーさんの実演交えた内容濃い講座に学生たちは皆熱心に参加していた(講義室には、19日に外語大でライブを行ったマチュメ・ザンゴ Matchume Zango も様子を見に訪れる。彼とは 2014年のスキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド以来の嬉しい再会に)。

 講義の内容は、拙著『Kalahari / Dengu』と重複するものが多く、私が文章として書いたものを実際の楽器を使って実演すると遥かにわかりやすい(拙著では写真や図版の足りなさを感じており、また動画とリンクさせることも有効だろうと考えている。そうした点は今後の課題)。

 途中、拙著をまた紹介され、その流れでボツワナのブッシュマンの親指ピアノ「デング」ことを話してくださいと話を振られる。デングについて興味を惹くような話を思いつかず、直前にマンゴーさんがアフリカのポリリズムについて解説しており、場所が外語大なので、ブッシュマンの言語とリズムに関して少し話をさせていただいた(東京外語大にはブッシュマン言語の権威、中川裕先生がいらっしゃるので僭越とは思いながら)。話したのは以下のような内容。

「ブッシュマンの言葉には4種類のクリックが含まれます。(それらを素人なりに実演して聞かせると、その瞬間全員が真似して「チッ」「ポン」と鳴らし始める。そうした積極性に大いに感心!)こうしたクリック音を交える言葉はとても賑やかで、こうした言語は世界的にとても珍しいものです。
 またブッシュマンの女性たちは頻繁に歌(コーラス)を楽しむのですが、よく聞くと五拍子だったり、七拍子だったり、あるいはもっと特別なリズムで歌っています。もちろん四拍子や三拍子の歌も多いのですが、ごく普通の女性たちがこうしたちょっと特殊なリズムで歌を楽しんでいるのです。
 ブッシュマンたちはクリックを含む言語を話したり、五拍子や七拍子のリズムで歌ったりしていて、欧米や私たちの持っている基準や価値観から見たら変わっていると思いがちですが、こうしたことは彼らにとっては普通のことなのです。クリックを含まない言葉や四拍子のリズムの方が普通だと考えたくなりますけれど、決してそうとは言い切れません。
 外国を訪ね歩くと、「普通」とは何かと考えさせられます。そのような気づきを得られることも海外の土地を訪ねる良さだと思います。」

 このように素人が話をする間、学生たちは皆瞳を輝かせ頷きながら聞いていた。講座が終わった後も質問攻め。若者たちが本当に生き生きしていた。日本はまだまだ大丈夫、未来には希望があると確信を得た日になった。

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# by desertjazz | 2025-10-22 17:00 | Sound - Africa
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