2010年 03月 29日
Readings : 3月の読書

今月読み終えたのは9冊。週末旅行や月末からの海外渡航準備などに時間を取られ、今月もあまり読書が進まなかった。
・泉 鏡花『歌行燈・高野聖』(新潮文庫)…ただし「歌行燈」はパス。
・谷崎潤一郎『陰翳礼讃』(中公文庫)
・伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)
・伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房)
・中村和恵 編『世界中のアフリカへ行こう 「旅する文化」のガイドブック』(岩波書店)
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・レオナルド・サスキンド『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』(日経BP)
・デイヴィッド トゥープ『音の海―エーテルトーク、アンビエント・サウンド、イマジナリー・ワールド』(水声社)
・ジャネット・コールマン+アル・ヤング『ミンガス/ミンガス 2つの伝説』(P-Vine Books)
・ポール・コリアー『民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実』(日経BP)
それぞれの簡単な感想などは、Twitter に記した通り。自分の Twitter はほとんど「読書メモ」と化しており、それをブログに書き改める時間までない(「書く」より「読む」を優先中)。
他には、MMの『BOB DYLAN DISCGUIDE』や Michael Veal の "DUB" などを拾い読みし、併読中の本も多数。『新・反グローバリズム』(金子勝)、『庶民の発見』(宮本常一)、文庫化された『世界の歴史24 アフリカの民族と社会』(福井勝義、赤坂 賢、大塚和夫)なども読み始める。
決定的に面白いと言えるレベルの本と出会えなくて、やや乱読状態。
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2010年 03月 29日
Babel Med Music 2010

2010年 03月 07日
Michael E. Veal "DUB"

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マイケル・ヴィール Michael E. Veal は米イェール大学の准教授で民族音楽学(アフリカ音楽、他)やジャズを専門とする学者。彼の著書 "Fela: The Life and Times of an African Musical Icon" (2000) は恐らくフェラ・クティに関する最高の(少なくとも最も詳細に書かれた)研究書。その彼がダブの専門書を出したことを不思議に思っていたのだが、リンクしたバイオを読むと、確かにカリブ音楽も研究対象となっている。
昨年はほとんど音楽書を読まず、今年もそうした時間があれば、小説や古典的名著の読書を優先させたいと考えている。実際積極的に読みたいという音楽書は今年も少ない。その一方で、興味の範囲外にありそうな本でも少々無理して読むことをしないと、自分の好奇心にトリガーがかからないようにも感じている。そんな考えもあって、最近はまた少しずつ音楽書の類を手に取るようになってきた。
正直なところ「ダブ」という音楽も個人的興味の対象外。それでもこの本をオーダーしたのには、マイケル・ヴィールの本だからということと自身に対するトリガーが欲しいということとが重なったからである。あともうひとつの理由は、どうやらこの本が入手しずらくなりつつあるらしいこと。かなり前からこの本のことは知っていたが、買っても読まないだろうと、購入を見送り続けてきたのだった。しかし、こうしたものは往々にして手に入らなくなってから欲しくなりがちなので、今のうちに買っておくことにした。
今日届いて早速読み始めたのだが、主要なダブ・エンジニアたちの活動を紹介しながら、その後ダブがもたらした影響について綴っているようだ。心配していたのは、彼の文章の難解さ。学者のせいか?、前著 "Fela" は辞書に載っていないような長い単語もしばしば現れて、読み通すのにひどく難渋した記憶がある。しかし、今回はぐっと親しみやすいものになっている。これなら英語が大の苦手の私でも読めそうだ。
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この本を読み出し始めて、ふと思ったのは、私がダブを理解できていない理由。多分それは、ダブの録音を作品として自宅のオーディオでしか聴いていないからなのではないだろうか。ダブは自宅でリスニングして楽しむ類の音楽ではないように思う。もしそうならば、もっと違った環境(例えば低音をブーストした大音量のシステムや、より現場感のある状況)でダブを聴く機会があれば、すんなり理解したり、あるいは楽しめるようになるのかも知れない。
昔は結構な「レコード中心主義者」だったけれど、海外での様々な音楽体験/音体験を重なるにつれ、その姿勢の狭さに気がつくようになった。自分もかつては録音芸術の探求や鑑賞に、ある程度までエネルギーを傾注してきた。しかし、近年は現場感やローカル性/コミュニティー性の強い音楽が演奏される状況の方に惹かれるようになっている。国内/海外を問わず、新しい動きが見られるイベントやフェス、コミュニティーの中で息づく音楽に少しでも近寄る機会を増やしたいというのが願いだ。しかし、残念ながらそれは簡単ではない。
こうした思いは、より豊かな音を感じたいという点において、山歩き/街歩きや小旅行をして生き生きとした音を浴びてくる行為と、根本で繋がっている。
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マイケル・ヴィールはアフロビート・ジャズ・バンド(というよりもビッグバンド)Michael Veal & Aqua Ife を率いるミュージシャン(ベース・プレイヤー)としても知られる。そのことは『聞き飽きない人々』(菊地成孔、他)の中でもちらっと触れた(はず?)。私は「彼の音楽は最高のアフロビート・ジャズだ」とずっと言い続けているが、それは 彼の myspace で 'Super Nove' を試聴すれば、多くの人たちに理解してもらえるのではないだろうか。