『オルタナティヴ・ミュージック』_d0010432_13244850.jpg
 石田昌隆さんの『オルタナティヴ・ミュージック』をさきほど読了。先日、サラーム海上さんと渋谷の国境の南で呑んだとき、海上さんは「面白い本だ」としきりに褒めていた。買って読んでみたら、本当に面白くてほとんど一気に読み通してしまった。

 以下、雑感。

・近年の音楽的トピックとその変化、自身の音楽遍歴、そして世界を旅した記録、これらを同時進行させたスタイルが面白い。過去の音楽を単純に振り返るだけの作業に対して個人的にはそれほど興味を持てなくなっていて、そうした考えが自分を多くの音楽書から遠ざけてしまっているのだが、こうした書き方もあるのかと感心させられた。

・石田さんの持つ豊富な情報量と記憶力には日頃から驚かされているが、一見無縁のような名前やトピックが彼の脳内でウェブのように結びついて、ひとつの結論にまで辿りつく様が読んでいてワクワクする。

・写真にはほとんど興味がなく、自分自身スナップショットしか撮れないという恥ずかしい身としては、この本を読んでも、最初のうちは、冒頭の写真120枚は文章に添えられたオマケのようにしか捉えられなかった。しかし文章を読みながら写真を見返していくと、写真と文章とが対等の関係にあること、あるいは写真こそが主であることがわかってきた。なのに、ひとつのテーマごとに1枚のみというのは、見事に潔よいと思う。

・聴き飽きるほど親しんだ音楽でも、苦手と感じた音楽でも、聴かずに通り過ぎた音楽でも、改めて聴いてみようと思わせる魔力がある本。また、こうして過去を語ることが今を語ることに繋がっていることを教えられた。
 自分は過去を振り返ることがあまり好きでなく、限られた時間を新しい何かを見いだすために費やしてきた面がある。それでもこのごろは過去を一度振り返って何らかの総括をする必要性も感じている。そのような意味でも刺激的な作品だった。

・これまで意識できなかったことに気がつかされることが多かった。自分がユッスーのチョサンでのパファーマンスにどこまでも拘るのには、それがコミュニティ・ミュージックの場であるからだと、今さらながら理解させられた。

・旅に出たくさせる本。読んでいるうちにベルリンの壁崩壊から20年であることに気がつく。さらに調べるとそれは11月。早速、ベルリン行きのフライトチケットを探す。20年の節目だからといって何かがあるとは全く思わないが。

・これまで読んだ音楽書で特に印象に残っている本。『大衆音楽の真実』、『音楽の未来に蘇るもの』、『黒いグルーヴ』の3冊。特に石田さんの『黒いグルーヴ』は、自分をドラムンベースやブリストル界隈の音楽にはめる契機のひとつとなった。再読しようと思い、書庫から取り出す。

・それにしても石田さんのスタンスは独得なものだと思う。次々と斬新なテーマを見いだして世界中に飛び出していき、その成果を発表することで、写真家としても音楽ライターとしても成功されている。

・サラーム海上さんや石田昌隆さんの文章を読んで、彼らのファンが多いのは当然だと思う。誰だって彼らのような旅には憧れるだろう。ならば、若者(に限らず、オヤジもオバンも)にはどんどん世界を旅して、現場を体感し、そうした中から彼らに続く語り手も現れて欲しいと願う。

 ・・・といろいろ書いたが、自分にとって一番大きな影響はもう一度音楽を聴き始めたこと(まだ少しだけだけれど)。そして、そのついでにまた何か書いてみてもいいかなと思ってしまったことだ。リハビリ的に、Massive Attack、Jeff Mills、Roni Size、Carl Craig、Goldie、Tricky、Caron Wheeler、それに Sandii や Faye Wong などを取っ替え引っ替えプレイヤーにセットして聴いてみた。ひと時代が過ぎて、正直少し古さも感じさせられたが、やはり名盤ばかりだ。アフリカ音楽のウェブサイトの方は、誰も書き手がいないから自分がやっていたような側面があって、その裏では実はこうした音楽に方により魅力を感じていったんだよなぁ。
# by desertjazz | 2009-09-19 22:00

Biguine

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 唯一ブックマークに入れている音楽ブログ「カストール爺の生活と意見」をたまたま見てみたら、ビギンの復刻CDのことが取り上げられていた(8月16日)。ビギンは、ただ耳を預けるだけで素直に楽しくなれる音楽であり、これほどまでにいつでも気分を良くしてくれる音楽は少ないかもしれない。軽やかなクラリネットのソロやピアノとの掛け合いから、パーカッションのスウィング感まで、何もが最高。なので、ビギンという音楽が大好きで、フレモオ&アソシエ社の復刻CDなども出れば片っ端から買って聴いていた。もちろん、ビギンの基本アイテムといえる、今回復刻なった "L'Album D'Or de la Biguine" もLPで持っている。(パリで買ったんだったかな?)このアルバムを久しぶりに引っぱり出して改めて聴いてみたら、ステリオ時代のビギンとの違い(例えば、スタイルが多様化している点など)などもいろいろと感じられて面白かった。

 對馬さんがブログで取り上げているということは、メタカンパニーから日本盤が出るのかもしれないと考えて、早速メタのページをチェックすると、やはり発売が案内されていた。しかも、偶然にも発売日は明日20日。追加トラックがあるとのことなので、CDで買い直すか迷うところだ。

(メタの紹介文には、冒頭「超レアなアルバム」と書かれていた。ということは、特段珍しくない有名盤だと思い込んでいたのは自分だけなのだろうか?)
# by desertjazz | 2009-09-19 20:00

World Arbiter : Roots of Gamelan

World Arbiter : Roots of Gamelan_d0010432_104255.jpg
 World Arbiter によるバリのガムランの最初期録音の復刻第3弾が 9月14日にリリースされたようだ。1枚目の "the roots of gamelan"(主に 1928年の録音) も 2枚目の "dancers of bali" (1952年録音)も愛聴してきた。特に 99年に出た前者はいち早く雑誌でレビューを書いたり、ある作品の音源として使用したりもしたので、特に愛着がある。今回の3枚目もまだ未聴ながら、期待していいだろう。

 自分が海外に繰り返し出掛けるきっかけのひとつはガムランに興味を持ったことだった。そのため、バリは10回以上訪れてガムランの実際の音を堪能してくることになる。しかし、地元のことを深く知るようになると、次第にバリに向かう足を鈍らせることにもなった。バンジャールという共同社会の中の繋がりが強すぎて、自分のような外部者が入っていくと無意識的に気疲れを生じてしまうのだ。もちろん毎度誰もがフレンドリーに迎えてくれて、何もトラブルはなかったのだが。
 そうしたよそ者が溶け込みにくいバンジャール内の繋がりを体現している象徴がガムランだと思う。その音を聴くと言葉にできない心地よさに浸れると同時に、いつしかストレスも感じるようになった。その美しい音の背景にあるコミュニティー力に圧倒され、また村社会の難しい諸々が見え隠れもしてしまうのだ。

 今でも最近のガムランはどこか心底楽しむことができないままでいる。それに対して、20世紀前半の古の音にはそのような意識をもつことがない。その柔らかな響きはどこまでも心に優しく、また時のフィルターを通って美しく昇華している。

(このシリーズ、詳細な解説にも定評がある。実は3作目以降の制作が大幅に遅延を生じている原因もその解説書作成が原因だと関係者から聞いている。前2枚はアオラ・コーポレーションがきちんとした日本語翻訳をつけたので、今回はその日本盤を待って買った方がいいのかも知れない。)
# by desertjazz | 2009-09-17 23:00

 台北で開催される Migration Music Festival の内容が公式サイトで発表になった。春先から調べていたものの、どうしても詳細な情報が掴めず、もしかしたら今年は中止になったのだろうかとさえ考えていたところに、突然の発表。既に出演を知らされていた Lo Còr de la Plana、Sam Karpienia に加えて、マリの Habib Koite も名を連ねている。この人選とスケジュールだったら、やっぱり行っても良かったなと後悔。週末1泊か2泊のとんぼ返り旅行で、10月3日(と4日)だけでも観に行こうかな、と今まじめに迷っている。
Migration Music Festival in Taiwan_d0010432_2122426.jpg

Programme (English)

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 今年の Fiesta des Suds (Marseille, France) は最終的に断念(?)。あれこれ事情が重なって長い休みが取れないのと、遠方からの来客が立て続けにやってくるのと、さらには自分もあちこち国内での遠出が重なって、相変わらず余裕が全然ない。Toko Blaze に会えないことが残念なのだが、まあまた別の機会はあるだろう。



 今年は1ヶ月ほど仕事を休んでアフリカに行く計画を立てていたものの、想定外のことばかりが起こって、その計画はひとまず断念。それ以前にタフな旅をする体力も気力も失われたままでいる。だけれど、そろそろ日常とは異なる世界に身を置いて、自分を活性化させる必要を感じている。
 台湾にもフランスにも行けないならば、その次の案として浮かんでいるのは11月のベルリン。1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊してからちょうど20年になるのに合わせて、噂に聞く今のベルリンの面白さを体感してくるのも良いアイディアではないかと思いついた。しかし、ネットで調べた限りでは興味を覚える関連イベント(特に音楽もの)は皆無。実はベルリンには一度も行ったことがないのだが、何度か断片的に訪れたドイツには興味を持てなかったので、まあ今回も無理する必要はないのかな。
# by desertjazz | 2009-09-15 21:20

Cheb Hasni 25

 日が沈み始めると秋の虫の音が柔らかく響き出す。本当に心地よいです。

 この秋、Youssou N'Dour が50歳、Bruce Springsteen が60歳になる。そのことで今年はひとり盛り上がっているのでした。

 それらに先立つ9月29日は、アルジェリアのシェブ=ハスニの十五回忌だそう。かねてから噂に聞いていた追悼イベントが本決まりになったようので、ここでも勝手に紹介してしまいます。
 と言いながら、許可は得ていませんので詳細はいっさい書きませんが、誰と誰とがどこに集って飲み語らうかは分かり切ったことですね。イベント当日にパリから持ち帰る予定という、ライの最新作もいろいろ披露していただけるとのこと。お問い合わせは、いつもの渋谷・国境の南へ!?

 思えば昔、マルセイユとバルベスでライのカセットを大量に買って帰ったのでした。そのほとんどは未だにシールドされたまま。Hasni や Khaled だけでも一体何本あるのだろう。全く宝の持ち腐れです。
Cheb Hasni 25_d0010432_0173965.jpg

# by desertjazz | 2009-09-15 02:05

DJ

by desertjazz
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