2009年 12月 19日
Readings - J.M.G. Le Clezio

12/17
『世界の調律 〜サウンドスケープとはなにか〜』(R.マリー・シェーファー、平凡社)読了。サウンドスケープ方面の本よりも、例えばミニマル・ミュージックやアンビエント・ミュージックに関連する本などをもっと読む必要を感じる。
12/18
明け方、『砂漠』(J. M. G. ル・クレジオ)読了。タイトルと世評だけに惹かれ、内容を全く知らぬに読んだ本。サハラ奥地の話かと思ったら、西サハラ〜モロッコからマルセイユへと話の舞台が移っていく(マルセイユとの関係は、個人的にはこれからも切れないのかも知れない)。とても密度の高い表現の連鎖にグイグイ引き込まれていく。文書から光景が浮かび上がり、瑞々しい音が聞こえてくる。とても映画的な小説だと思う。濃密な文体に打ち負かされるのが嫌で、また訳文に疑問も持ったために、少し急いで読んでしまったことを反省。じっくり再読したら印象が変わってくることだろう。
12/19
『アフリカのひと 父の肖像』(J. M. G. ル・クレジオ)読了。今度の舞台はカメルーン西部とナイジェリア東南部。父ラウルの、そして著者の幼少時の体験は、両者にとってその後様々な苛烈な苦しみの元となったことは間違いないだろうが、それでもそれに羨望を抱く。ライアル・ワトソンの『エレファントム』に描かれた、少年たちの自立キャンプ体験やコイサンとの邂逅にも共通するロスト・ワールドの美しさと悲しさも感じる。追憶的なところには父の記憶を綴ったオルハン・パムクの作品も思い浮かべた。
『歌の祭り』(J. M. G. ル・クレジオ)を読み始める。モーリシャス、アフリカ、中米、タイなどを歩き、そうした中からたくさんの著作を生み出していったル・クレジオに対する興味が止まない。未読作品をチェックし、ネットでオーダーする。
2009年 12月 16日
OKI & Sakaki Mango
開演前にマンゴーさんと雑談。ライブの方は本人が語ってくれた通り、バンドの音が固まってきた印象。ドラムとベースの音がますます前に出てきて、親指ピアノによるロックサウンドが完成しつつある。彼のリンバ、サンザ、ンビーラの音色はいつも通りの美しさ。
OKI は新曲も交えた構成。「こんなにきれいだったか?」と思うほど、清潔感のあるヴォーカルも印象的だった。OKI さんは来年1月、単身カラフトに行って現地でトンコリを演奏してくるとのこと。その成果は来春リリース予定の新作にも収めるつもりらしい。彼のスピーチを聞いて、雪景色の中でトンコリを聴いてみたくなった。
終演後、もうひとりのトンコリ・プレイヤーの居壁 太(いかべ ふとし)さんと立ち話。お互いの生まれが、同じ北海道・日高の浦河町であることに気がつく。それから楽屋で OKI さんとも話す。彼と会うのはシンガポールの WOMAD 以来。突然の登場にちょっと驚いた様子だった。マンゴーさんとは来年のことについてちょっと相談。
♪
たまに聴くライブも気持ちがいいものだ。
来年の3月には、次のどちらかに出かけることを検討中。
・ WOMAD Taranaki (New Zealand)
・ Babel Med Music (France)
2009年 12月 07日
Readings

『ガラスの家』(プラムディヤ・アナンタ・トゥール、めこん)読了。『人間の大地』、『すべての民族の子』、『足跡』と続いた「ブル島4部作」の完結編。20数年がかりで刊行された翻訳書6冊を20年かけて読み終えたことになった。訳書『すべての民族の子』から『足跡』までの間に10年の間ができたので、最終巻の『ガラスの家』の翻訳書は出ないような気すらしていた(実際今回も8年を要した)。そのためか2年前に出版されたことに気がつかずにいたのだが、バリでN氏から「既に出ている」と指摘を受けて慌てて取り寄せ、ほとんど一気に読み終えてしまった。
とにかく圧巻の構成力。19世紀末から20世紀初頭のインドネシア情勢を俯瞰する遠大な歴史絵巻であり、かつスハルト政権の問題点を鋭く糾弾する作品にもなっている。前作までの主人公ミンケがほとんど登場せずまま、終わり頃に犬死にし、今回の語り手のパンゲマナンが体制側の有力者でありながら、ひたすら苦しむ。良心を持つ者ほど救いが得られず、誰も勝者になれない悲しい時代が描かれている。
自分にとって最高の長編小説のひとつなのだが、さすがに大部分を忘れてしまったので、4部作を始めから再読したい。彼にはノーベル文学賞を与えて欲しかった。
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帰国してからというもの体調が優れず、なぜか身体が全然暖まらない。そのために、読書も思うようには進まず。最近買った『ロビンソン・クルーソー』などをツラツラ捲る。
2009年 11月 29日
Readings

『黄金探索者』読了。帰国前にほとんど読み終えていたのに、最後に来てペースダウンしてしまった。インド洋の西端、モーリシャスという、まだ見ぬ南海の島の景色に思いを巡らす。
ル・クレジオは初めて読んだが、物事は整理して完結に語れるものではないことを諭されるような「深さ」を感じさせられた。目的に向かって進んでいるつもりが、気がつくともう後戻りできない所に辿り着いてしまっている、人生とはそんなものなのかも知れない。
2009年 11月 27日
Readings - Chimamanda Ngozi Adichie

(追記)
早速読み始めたが、のっけからますます重い内容。さて、この英語本、いつ読み終えられるだろう。貸していた『アメリカにいる、きみ』も返ってきたので、一緒に写真をアップ。