2009年 10月 18日
Moussu T

この週末、フランスの映画会社とメールでやりとりした。この会社 Moussu T の映画を制作しているとのこと(2010年9月公開予定)。完成が楽しみ。
(この話、後で追記します。)
2009年 10月 15日
Habib Koite

彼のバンド、バマダ Bamada を率いてやってくることはないと誰もが想像するだろう通り、今回はギター1本のみでの弾き語りだったのだが、これが実に良かった。彼のライブは毎度楽しいものなのだが、正直物足りなさを感じていることも事実である。それは、バンドと一緒に穏やかな曲を演奏するともっと音のスペースが欲しくなるということもあるが、一番不満に感じるのはアップ目の曲で乗り切れない点だ。彼のギターやマリのパーカッションがリズミックに演奏され、グルーヴ感が増していくような曲でも、それが頂点まで達し切らない。これは、実際に観たライブでの感想だし(ちょうど10年前には、こんなことも書いている。拙い文章だ)、2003年にリリースされた2枚組ライブ盤 "Habib Koite & Bamada / Foly! - Live Around The World" でも同様な感想を抱き、通して聴くのが辛かったほどである。
それに対して、今回のソロでは、肩からちからがすっかり抜け、ゆったりとマイペースで演奏される音楽がとても心地よいものだった。完璧なテクニックとまでは言えないまでも、流麗に様々な表情の音を紡ぎ出す指さばきは抜群に素晴らしいく、彼のパーソナルな音楽を自然体で披露するかのような弾き語りが、とても愛おしいものに感じられた。英語で一曲ごとにその内容についてなされた丁寧な解説も、オーディエンスの笑いを誘うもので、語りの上手さも含めて彼のミュージシャンシップの高さを改めて認めたステージだった。
2009年 10月 15日
Sam Karpienia

まず、Sam の声。彼の声は Dupain 時代から大好きだった。乾いていて、鋭い刺に毒気を含んだような独得な声質、そこに哀感とセクシーさを感じる。微妙なビブラートのかかった節回しも魅力的だ。そして、2本のマンドーラのコンビネーション。どちらも、10弦張るところを複弦4コースの8本のみで演奏しているのだが、それらの太い音の響きあいが美しい。
ステージではその Sam の歌と、2本のマンドーラが大爆発する。Sam の激情ヴォイス、それを覆い伏せるかのように掻きむしられるマンドーラ。特にマンドーラのサウンドが凄まじい。まるで爆音ロックで、それがドラムスと一体となってループするときのドライブ感がもう最高。マンドーラ2本+ドラムスというシンプルな編成であるだけに、そのドライブ感の効果は絶大である。
そして、エフェクターを足で叩いた瞬間、弾く腕のストロークに力がこもり、コンソールのヘッドアンプがオーバーレベルとなったかのような痛いディストーションノイズが響き渡る。歌も演奏もひたすら熱い。台北では1曲目で Sam のマンドーラの弦が切れたほどだ。もう、ただただ音塊を浴びるばかり。それが突然ブレイクする。これの繰り返しで、聴くこちらもエクスタシーの絶頂!
ただし、こうしたサウンドは好みがはっきり分かれるだろうと思う。台北では客席最前列、PAの真ん前で聴いていたのだが、マルセイユのときよりもやや音がおとなしく聞こえた。それでも1曲目が終わった途端に、最前列の客がほとんどいなくなった。恐らくはあまりの大音量に耐えかねたに違いない。それまでの出演者が弾き語りなど、穏やかなものが続いたために、期待に反して驚いてしまったという理由もあるのだろうが。
台北での演奏の流れはマルセイユのときとほぼ一緒だったと思う。いずれともマンドーラを中心とする美しい爆音を浴びているだけで気持ちが良かったのだが、その一方でこのユニットにはこれから先にやり方は残っているのだろうかという疑問も浮かんで来た。シンプルな編成で音楽をやっているだけに、限界も感じられ、この先の展望が想像できない。レコーディングは "Extatic Malanconi" 1枚だけで終わる可能性もあると思う(幸先よく、このアルバムはフランスで好セールスとなっているらしいのだが)。
こんなことを危惧していたら、Sam は現ユニット以外にも複数のプランを持っているとのことで、そのあたりについても Sam と Manu Theron が話してくれた。彼らが語ってくれたことについては、整理して改めて紹介したい。
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つい先ほどマルセイユから Moussu T に関する面白い情報(初耳!)が関係者から入ってきた。今夜もかなり酒が進んできたので、これについても後日とします。
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(追記)
Toshi さん、同じタイミングでライブの感想をアップしたのは奇遇ですね。
・ サム、もう一度弾いてくれ
2009年 10月 14日
Autograph / Sam Karpienia (cont.)

綴っている途中で気がついたのだが、サインをもらう気が薄れた原因として、アルバムのフォーマットが12インチ盤LPからCDに移行したことが大きいのだと思う。アルバムジャケットならば部屋に飾りたいと思うけれども、それよりもずっと小さなCDでは飾ってもあまり絵にならない。確かにCDにサインしてもらったことはほとんどなく、Youssou N'Dour などもほとんど古いアナログ盤のジャケットにサインをいただいている。
今回台湾で Sam karpienia に会えるかも知れなかったので、新作CDを持っていって、それにサインをいただくことも考えた。しかしこれでは能がないというか、面白みに欠けるというか、そう思って、今度は違ったことを試みることにした。何かというと、自分が撮った写真にサインをいただくということ。昔フランスで撮った Dupain のステージ写真を A4サイズの印画紙にプリントし、コンサート会場まで携えていった。
その Sam はバンドとしての出番がなかった3日の夜、ロビーに出て来た姿を見つけ「日本から来たあなたのファンです。この写真にサインを下さい」とお願いした。その一瞬 Sam は変な顔。それはそうだろう。まさか台湾で自分のファンが現われることなど、想像していなかったはず。それ以前に、自分のことは全く知られていないと信じて疑わなかったことだろうし。それでも、ニコニコ顔で受付の女性に「ここにサインするんだって、、、」と語りかけながら、しばらく思案してサインしてくれた。これがきっかけとなったのか、すっかり打ち解けて、いろいろなことを語ってくれるまでになった。配色を考えて選んだ銀色のペンの文字もいい感じで、今回の作戦は成功だったかな。額装して飾ることにしよう。
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背景に使った布は、インドネシアのバリ島のすぐ南に浮かぶ小島 ヌサペニダ Nusa Penida(ペニダ島)のもの。私のコレクションの中心をなすイカットでもアンティークのものでもない。だけれど、色具合がとっても良くて、結構気に入っている。大振りな布で、オーダーメイドした180cm長のダイニングテーブルの上にかけるとちょうど良いあんばいの大きさであり、色の相性も良いために、自宅で登場する出番の多い一枚になっている。
2009年 10月 14日
Autograph / Sam Karpienia

それでも、これまでチャンスがある毎に度々サインをいただいてきた。Carla Bley に会った時には、好きなレコード全部にもらったし、機会があればお願いした Youssou N'Dour のサイン盤も4枚になった。Blue Note 盤にサインしてもらった Sonny Rollins のアルバムなどは、きちんと額装して飾りたいほどのもの。メンバー全員に寄せ書きしてもらった Orchestra Baobab のものや、同じくメンバーが揃ってサインしてくれた Chicago のものなどは自分にとっての宝物だ(昨日 10/13 は、リーダーの Bobby Lamm の65回目の誕生日でしたね)。だけれど、振り返ってみるとサインをもらわなかったことの方が圧倒的に多い。
近頃はサインよりもお願いすることの多いのは写真かも知れない。Youssou や Tatou との2ショット写真は、やはり自分にとっての宝物だし、OK Jazz の Simaro(@キンシャサ)だとか、Mongo Santamaria (@ニューヨーク)だとか、ブラジルの Guilherme de Brito(@リオデジャネイロ)だとか、ちょっと珍しい面々と並んで撮った写真もよい記念になっている。それに今回台湾で収まった Manu Theron と Sam Karpienia との3ショットは、普段知ることの出来ない2人の人柄が素直に捉えられた最高の瞬間だと思う(実際何人かの人に「いい写真だね」と言われた)。
他にも嬉しかったサインや写真はたくさんあるはずなのだけれど、すぐには思い出せない。それと言うのも、布と同様に全然整理できていないから。ミュージシャンに対しては、その音楽を熱心に聴くことこそが最大のリスペクトだとも思う(だから、こうしたものをお願いする基準のようなものを持っていないのだろう。それでも、時間を作ってサインや写真をきちんと飾る作業をしたいとは考えている)。
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さてここからが本題。Sam Karpienia にもらったサインにまつわる話を書こうと思っていたのですが、酔っぱらってしまったので、今夜はここまで。続きは明日にでも書くことにします。

