■ホスィン・スラウイのレコード(追加情報1)
今年 4月16日にホスィン・スラウイ Houcine Slaoui の自主制作 CD をリリースしてからちょうど半年。おかげさまで大好評で嬉しい限りです。ただし、ホスィン・スラウイに関する情報を広く募ることも CD を制作した理由のひとつだったものの、残念ながら今のところ新たな情報はほとんど得られていない。宣伝やマーケティングを全くせず、世に出回った CD もまだ少ないので、まあそれも仕方ないか。引き続き気長に取り組み続けることにしよう。
リリース後に唯一得られた情報としては、ある映画の中でホスィン・スラウイの演奏シーンを再現しているとご教示いただいたことがある。3分程度の短いシーンなのだが、そのスラウイ役を実の息子であるムハンマド・スラウイが演じているのがちょっと興味深い。ホスィン・スラウイが歌い演奏する様子もこんな感じだったのだろうか。映像を観る限り、ムハンマド自身はウードの演奏はできなさそうであるのだが。(肝心の映画のタイトルはメモ仕損なった。)
いや、より遥かに重要なことがあった! パテ・マルコーニへの録音時期に関してである。
これまでにも書いてきた通り Ahmed et Mohamed Ehabib Hachlef "Anthologie de la Musique Arabe (1906-1960)" (Centre Culturel Algérien / Publisud, Paris, 1993) に掲載されたディスコグラフィーによると、彼の録音は 1948年から50年の3年間に集中している。しかしこの本、どうにも間違いが多いように感じられて、信用し切る気になれなかった。しかも、調べるほどにホスィン・スラウイの最初期の録音は 1942年前後だったと思えてくる。CD のライナーノートには「1948〜50年の録音」と書いたものの、それに自信がなくなり、印刷に出した後になって書き改め印刷し直すことを検討したほどだった。
ところがごく最近、とても重要な情報が送られてきた。それに添えられたデータは、先の本のディスコグラフィーとほぼ一致する。そればかりか、より詳細な驚くべき内容も含まれている。こうなると、パテ・マルコーニでの録音は 48〜50年と断定して間違いなさそうだ。ライナー執筆時に典拠としたディスコグラフィーは概ね正しかったことになり、ライナーも訂正不要ということか。今はただただホッとしているところである。
(しかし、だとすると、1940年代初期の録音はなかったのか? 彼の音楽は、実際の演奏だけを通じて、モロッコやフランスの庶民に親しまれていたということか? まだまだ謎は尽きない、、、。)
ホスィン・スラウイの録音履歴に関しては諸々追加調査&データ整理中で、現時点では詳しいことまで書けないが、追ってご紹介できると思う。そして、いつか完全なディスコグラフィーを作り上げたいと願ってもいる。
(続く)
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